画像
Kenji Morio
森尾 健司
Staff Specialist, Automotive Business Planning
掲載: 2022年3月22日

昨今の自動車業界は、自動運転や電気自動車といったトレンドが加速し、従来のヒトが運転するガソリン車から、未来の“クルマ”へと、自動車が大きく変容を遂げようとしています。その変革を支えるのは、他ならぬ半導体です。

当社は2022年3月3日にAnalyst Dayを開催し、執行役員 兼 オートモーティブソリューション事業本部長 片岡健、同副本部長Vivek Bhanより、将来のルネサスの車載事業の戦略に関し説明致しました。このブログでは、Analyst Dayの内容を改めてご紹介いたします。

新興顧客、新興地域へのエンゲージメント

当社の車載事業は従来、日本や欧米の比較的大口のTier1/OEM向けの事業を中核に据えてきました。しかし近年、従来のガソリン車から電気自動車(xEV)へのシフトのトレンドが加速するなか、中国やインド、東南アジアといった新興地域にて、新しい自動車メーカが多数誕生しています。当社のDesign-Inも、新興顧客/地域からの商談が2019~21年にかけ約3倍に拡大しており、新興の顧客/地域に対する事業をより積極化させることを、当社は将来の事業成長に向けた一つの柱と捉えています。

新興顧客/地域における商談獲得の牽引材として、当社はデジタル製品とアナログ、パワー製品を組み合わせたWinning Comboと呼ばれるセット・ソリューションの提供に注力します。単体の製品をお使いいただくのではなく、このシステムレベルで最適化されたセット・ソリューションをお使いいただくことで、機能安全や電力効率といった自動車向けならではの課題も簡単に解決することができ、お客様の開発コスト/工数の削減に寄与します。自動車業界の新興のお客様は、既存のOEMに比較して、製品企画から市場投入までの迅速さを重視しており、Winning Comboにより大きなメリットを享受することができます。

当社は昨年、新興顧客/地域に対するエンゲージメントを目的とした新組織を発足し、今後よりスピード感をもって新規商談の獲得に努めます。

注力分野

既述のとおり、自動運転や電気自動車といった新しいテクノロジが昨今、自動車の在り方を大きく変革させています。このような新しいテクノロジを実現するため、自動車内部の電気/電子(E/E)アーキテクチャが刷新されようとしています。(E/Eアーキテクチャの進化に関しては、こちらの記事を参照

自動車業界を取り巻くこのような変化のなか、当社は、①E/Eアーキテクチャ、②自動運転、③電気自動車、の3つを注力分野と捉え、お客様の課題解決に向けソリューションを展開します。

E/Eアーキテクチャ

ECUが高度に分散した従来のアーキテクチャから、ドメインごとにより集約されたアーキテクチャへ進化するにあたり、お客様はECUごとの最適化ではなく、システム全体として設計開発する必要性に直面しています。

当社はMCU、SoCに加え、アナログ、パワー製品を有し、この幅広い製品ポートフォリオ故、Central ECUからZone ECU、アクチュエータに至るまで、E/Eアーキテクチャ全体をサポートすることが可能です。加えて、製品を跨いでIPを共通化させており、お客様のソフトウェアの再利用性、及びスケーラビリティを確保しています。

画像
E/E Architecture: Unified Environment/SW Platform

また従来のようなECUごとの開発ではなく、複数のECUに跨って開発が出来るよう、各種ソフトウェア群を拡充させており、統合開発環境を提供します。これによりお客様は、自社で差別化を希望されるアプリケーションの開発に専念することが可能です。

E/Eアーキテクチャ分野での当社のDesign-Inは、2019~21年にかけ2倍以上に拡大しており、今後更なる事業の拡大を目指します。

ADAS(先進運転支援システム)

ADAS分野では、当社はこれまで国内外の主要なTier1/OEMに、低消費電力のSoC(R-Car)、MCU(RH850)、及びパワーマネジメントICやAHL(Automotive High-definition Link)といったアナログ製品等を展開し、ADASドメインを束ねるCentral ADASや、カメラ向けのソリューションを提供してまいりました。

これら製品群に加え、2019年のIDT社買収により、業界最先端のRFプロセスである28ナノのRF-CMOSを使用した、低消費電力且つ低ノイズのレーダー向けMMICが拡充されました。これによりADAS分野で当社は、従来のCentral ADASとカメラに加え、レーダーも含めたフュージョン対応のトータル・ソリューションを展開することが可能になりました。このような製品群の拡充から、市場成長率を上回る売上高成長を見込んでいます。

画像
ADAS: Content Expansion With Radar

xEV(電気自動車)

 xEVの分野でも、近年の買収により拡充されたアナログ製品を展開し、BMS(バッテリー・マネジメント・システム)における高い検知性能や、様々なセル数のバッテリーに対応するスケーラビリティ等を当社の新たな訴求点として、拡大しつつある市場の獲得に努めます。また、当社が従来強みを持っていたMCUと、買収により強化されたBMICによるWinning Comboにより、ASIL-Dを満たす高度な機能安全をサポートすることができ、お客様の開発コストの削減に寄与します。

加えて、パワー製品に対しても投資を加速させており、IGBTやMOSの生産能力を拡充させている他、従来のSi(シリコン)より電力効率の高い、化合物半導体素材のSiC(シリコンカーバイド)製のパワー製品の提供に向け、社外パートナーシップも活用しながら、取り組みを強めています。

当社のxEV分野のDesign-Inは2019年から21年にかけ約4倍に増加しており、今後この市場での更なるプレゼンス拡大を目指します。

画像
Key Advantage: Winning Combos for xEV

当社の車載向けソリューションに関する詳細は、当社Webのソリューションページ、またはWinning Comboのページをご参照ください。

この記事をシェアする