市場および技術トレンド

「サラウンドビュー」とは、トップビュー、リアビュー、パノラマビュー等の様々な角度からの映像を映し出す車載カメラシステムのことで、 車体外部の映像をドライバーに見やすく変換することによって、駐車時の操作をアシストします。 また、危険を即座に検出してドライバーに通知します。 車内のディスプレイには、両フェンダーミラーとクルマの前後に搭載されている4台の広角レンズカメラで撮影した映像が表示されます。

現行品のサラウンドビューシステムは、駐車時のドライバーをアシストするための映像が表示されます。 次世代のサラウンドビューシステムでは、自動駐車への発展が期待されています。自動駐車はリモートパーキング(遠隔操作駐車)、そしてバレットパーキングへと発展していくことになるでしょう。

今日実装されている最もシンプルな機能は、"トップビュー"と呼ばれる真上からの360度の2次元映像です。 4つの異なる映像(ビュー)を幾何学変換させあたかもバードビューのような映像に変換させます。明るさや色は調整され調和した映像が作成されます。

3D view

3Dビュー

Top view

トップビュー

このトップビューは既にドライバの駐車時のアシストとして用いられており、2Dオーバーレイやリアカメラのみを使用した明確な(特殊な)リアビューなどの追加情報によってより鮮明な映像が可能になります。

次に目指すのは、3次元映像を用いた描写と任意の視点を改善することになります。 これにより、ドライバーは自動車周辺の視点を任意に選択し、より正確な周辺映像を見ることができるようになります。

さらに、駐車時に障害物からの距離をより正確に判断できるようになります。 視覚描写だけでなく障害物を自動で検知することにより、ドライバーへの自動警告が付加されることで、運転の安全性が向上することになります。 さらには、障害物が非常に近くにある場合、自動的にブレーキをかけることも可能になります。

自動駐車、遠隔操作駐車、およびバレットパーキングは次に発展していくステップとなります。 ドライバーが車内にいる状態での自動駐車では、縁石等に限ることなく、他のクルマや歩行者などの物体認識に基づいた自動駐車を可能にします。 次のステップは遠隔操作駐車で、ドライバは車を降りた後、クルマがガレージなどの狭い駐車エリアに自動的に移動します。 バレットパーキングは遠隔操作駐車の機能を越え、ドライバーが駐車場の入口で車を降りた後、クルマは自動的に駐車スペースを探し、そこまで移動します。 しかし、これには車内のセンサーだけでなく、駐車場のインフラ整備が必要となります。

ルネサスのサラウンドビューシステム

ルネサスは車載コンピューティングプラットフォームとして車載SoC R-Carで市場を牽引してきました。 最新シリーズのR-Car Gen3は、Arm社の64ビットアーキテクチャCPUコア「Arm® Cortex®-A57/A53コア」を採用しています。 R-Car Gen3 は自動車に搭載されている複数のセンサーからの膨大な量のデータを処理する性能を備えています。

エントリークラスからハイエンドのシステムを開発する際に、グラフィックとコンピュータヴィジョンの両立は難しくトレードオフの選択が必要です。エントリークラスのシステムでは一般的に機能要求は少ないですが、ハイエンドのシステムではより優れたグラフィック性能が要求されていています。 OEMはエントリー、ハイエンドの両方に対応可能なスケーラブルなデバイスを求めらることでしょう。 R-Car Gen3 SoC ファミリーには、エントリークラスの自動車を対象とするR-Car V3Mからプレミアムセグメント用のR-Car H3が含まれます。

R-Car H3でこれまでにない体験を

自動車市場のハイエンドユーザを対象に、R-Car H3は40,000DMIPS (Dhrystone Million Instructions Per Second)以上の処理性能を実現します。 業界最高レベルのGPU性能実現を目指し、R-Car H3はイマジネーションテクノロジーズ社製のPowerVR™ GX6650 3D グラフィックエンジンを搭載しています。

また、複数のカメラからの最大8つの入力に対応し、高性能車の複数ディスプレイ(最大4Kの解像度)にも対応しています。

車載空間における実績に基づき、R-CAR Gen 3は高度な画像認識技術を有する並列プログラマブルコア「IMP-X5」を搭載しています。 車載コンピュータヴィジョンハードウェアは、オプティカルフローと複数物体の検知を必要とする駐車支援機能に適しています(図4参照)。

R-Car H3 SoC

図4: R-Car H3 SoCは業界最高レベルの3Dグラフィック描画用の8つのカメラに対応可能

部品コストを抑えたV3M

資材購入費を削減することは競争の激しい自動車市場において重要な要素となります。システムを統合することによってスペースおよび費用を削減可能になります。

CAN -FD (Controlled Area Network-Flexible Data-rate)、 FlexrayおよびEthernet バスの車載ネットワークをサポートするチップに画像信号処理(ISP)を統合することはシステム全体の部品コスト削減を可能とします。 R-Car Gen3 SoCシステムアーキテクチャはシステムコストの削減を可能とする機能と特徴があります。R-Car V3Mは、これら全ての特徴を有するR-Car Gen3の第1弾製品です。

R-Car V3M

図5:エントリークラスのR-Car V3Mはサラウンドビューシステムによる部品コスト削減

開発サポート

PCから組み込みシステムまでのシームレス開発においては、マイグレーションソリューションが必要です。研究および先進技術サポート、評価ボード、シミュレーション、Software in the loop (ソフトウェア・イン・ザ・ループ)、および最終組み込みオペレーティングシステム(OS)まで考慮した開発前段階から最終開発に至るまでのサポートによりマイグレーションソリューションを実現しています。

図6:研究開発から最終導入までの開発


サラウンドビュー ソリューションキットは、スタータキット Premierの拡張版で、最大8つのカメラが接続可能、サラウンドビュー、ミラーリプレイスメント(ミラーレス)やドライバーモニタリングなどの複雑システムの評価開発に最適です。

ルネサス製R-Car H3スタータキット等のスタータキットは、車内テストに使用可能で、センサーから処理ユニットまでのアルゴリズムの検証に使用可能です。 R-Car H3 SoC用のR-Car スタータキット Premier は、ハイエンドのグラフィックプロセッサーを搭載し、OpenCLとOpenGLES 3.1の両方に対応しています。