Renesas Synergy™で次世代農業! 「House NAVI ADVANCE」のクラウド化を短期間で実現

事例紹介:Renesas Synergy™

電子技術のスペシャリスト集団として昭和39年に創業した株式会社ニッポー。同社は、「世界的視野に立ち、お客様の喜びのために、卓越した技術と特長ある製品を供給する」を社是として、人々の生活や労働環境の向上に役立つ製品開発に取り組んでいます。その中で、農業ハウス内の環境をモニタリングするEyeFARM touch や、ハウス内の窓などを制御するHouse NAVI ADVANCEは、同社のオリジナル商品として国内農家に導入が進んでいます。この農業用制御機器に、クラウド対応を実現するために、ニッポーはRenesas Synergy™プラットフォームを採用しました。

株式会社ニッポー

会社紹介:株式会社ニッポー

温度・湿度調節器の製造、マイクロコンピュータ応用製品開発、超音波加湿器・洗浄機の製造、その他電子機器の開発・製造・販売をしています。

課題のポイント

  • 農業向けコントローラーのHouse NAVI ADVANCE をクラウド化したかった

解決のポイント

  • Renesas Synergy™プラットフォームを採用し、House NAVI ADVANCEとクラウドの接続を実現した

電子技術のノウハウを凝縮したHouse NAVI ADVANCEのクラウド化への挑戦

株式会社ニッポーは、農業用ハウスの統合環境制御盤のHouse NAVI ADVANCEをはじめとして、飽差コントローラーや炭酸ガスコントローラーに熱交換器やデータ収集システムのEyeFARMなど、数多くの農業用制御機器を開発し販売しています。同社が電子技術のスペシャリスト集団として成長してきた経緯を取締役工場長の内田博隆氏は、次のように話します。

「4ビットや8ビットマイコンの時代から、アセンブラ言語で数多くの制御装置を開発してきました。2000年あたりから、マイコンも16ビットから32ビットが主流となり、当社の開発スタッフも増えてきました。代表的な製品としては、上下水道関係のポンプ制御システムのように、24時間365日ノンストップで稼働する信頼性の高い制御機器の開発と販売で実績があります」

株式会社ニッポー  内田氏

島根工場 取締役工場長
内田 博隆 氏

株式会社ニッポー  砂田氏

島根工場 商品開発課 農事機器グループ長
砂田 敏彰 氏

高性能で高信頼のマイコンを採用し、安定した制御システムを開発してきた同社は、2012年から農業ハウス向けの製品開発に取り組んできました。その背景について、商品開発課の農事機器グループ長の砂田敏彰氏は、次のように振り返ります。

「農業ハウスは、農家さんが天窓・暖房・炭酸ガス・換気扇などに、状況をみて制御を指示しないといけませんが、当社のHouse NAVI ADVANCEは、標準的なビニルハウスの構成に仕様を合わせることで、低コストで導入できる統合環境制御盤として製品化し、煩わしい制御の自動化に成功しました」

ニッポーのオリジナル製品のHouse NAVI ADVANCEは、36点の制御チャンネルを搭載した制御盤により、農業用ハウスの温度・湿度・CO2・日射・土壌水分・地温などを正確に測定し、天窓・カーテン・暖房・炭酸ガス・かん水・換気扇・冷房などをコントロールします。技師の杠(ゆずりは)明彦氏は、販売実績と既存製品の抱えていた課題について、次のように説明します。

「House NAVI ADVANCEは、他社製品に比べて7割以上の低コストを実現し、対応する農業用ハウスの豊富さから、農家の方々からの評判と口コミを中心に、販売を伸ばしてきました。そうした中で、多くのお客様からHouse NAVI ADVANCEが収集するデータを『ハウスまでに行かないで確認したい』とか『ハウスの制御も遠隔操作したい』という要望をいただくようになりました」

少子高齢化により多くのハウス栽培農家でも、人手不足や後継者の問題が起きています。こうした課題を解決するためには、これまで以上に効率化や正確性を追求した農業用ハウスの遠隔制御が求められていました。そこで同社の商品開発課では、House NAVI ADVANCEのクラウド化プロジェクトを2015年にスタートしました。

株式会社ニッポー  杠氏

島根工場 技師
杠(ゆずりは) 明彦 氏

充実したミドルウェアとコストメリットでRenesas Synergy™プラットフォームを採用

砂田氏は「クラウド化プロジェクトの当初は、汎用のマイコンとカスタマイズしたモバイルルーターを開発すれば、House NAVI ADVANCEのデータを容易にクラウドにアップロードできると考えていました。しかし、すべてを独自に開発しようとすると、ミドルウェアの購入も含めた開発コストが膨大になることがわかりました。そこで、クラウドと制御盤を中継するゲートウェイ機能を低コストで開発できるマイコンやシステムを探していたところに、Renesas Synergy™プラットフォームを紹介してもらいました。その仕様を調べてみると、無償で利用できるミドルウェアが充実していて、イーサネットにUSBポートも標準で装備されているので、これはドンピシャなゲートウェイを開発できると判断しました」と採用の経緯を説明します。

株式会社ニッポー  土江氏

出雲オフィス 商品開発課
土江 隆文 氏

開発プロジェクトを担当した商品開発課の土江隆文氏は、その経緯を次のように振り返ります。

「Renesas Synergy™プラットフォームによる開発は、2017年7月からスタートしました。当初は、10月に控えていた展示会に向けて、3ヶ月の短期間でゲートウェイを開発しました。Renesas Synergy™を採用しなければ、他社も考えられないスピードだと思います。おかげで、並行して構築していた当社のクラウドサービスEyeFARM Cloudへの接続デモを短期間で製作できました。ゲートウェイとして1分間隔で多くのデータを送信するので、高性能な処理と安定した動作が求められていました。Renesas Synergy™プラットフォームは、そうした要件に充分に応えてくれました」

2017年のプロトタイプ開発から約1年を経て、Renesas Synergy™プラットフォームによるゲートウェイEyeFARM Cloud通信ボックスの開発が完了し、House NAVI ADVANCEのクラウド化が実現しました。

農家からの期待と注目の高さに販売への確かな手応えを実感

2018年10月からEyeFARM Cloud通信ボックスの販売がスタートしました。その反響について杠氏は「すでに商社や農協から、見積の依頼は数多く来ています。展示会でも、『この価格でクラウドに対応できたの?』という反響も大きく、農家さんからも注目されています。EyeFARM Cloud通信ボックスを導入すれば、農業用ハウスに行くことなく自宅や出先からでも、そのハウスの状況を的確にモニタリングできます。温度や湿度に換気なども、リモートで制御できるので、若者の農家が趣味の時間を持てたり、十分な余暇を取れるようになるなど、農家の働き方改革を実現します」と話します。

また、実際のEyeFARM Cloud通信ボックス設計において、砂田氏は「基板のノイズ対策には、細心の注意を払いました。ハウス内では、農家さんがラジオを聴きながら作業をする機会が多いため、電波を妨害するようなノイズを発生する製品は嫌われます。高い信頼性と低ノイズ対策が、EyeFARM Cloud通信ボックスの設計ポイントになっています」と補足します。

システム構成図

図1: システム構成図

ラインナップの充実と息の長い製品供給に期待

クラウド化の実現により、ニッポーの農業用制御機器は新たな価値をハウス栽培農家にもたらします。そのメリットについて土江氏は「今後は、EyeFARM Cloud通信ボックスで集約したデータをもとに、高い生育率を達成しているハウス制御のノウハウを数値化できれば、農家の人手不足の解消や後継者への知識の継承につながると思います。さらに将来的には、深層学習やAI(人工知能)を活用して、生産性の向上にも貢献できればと考えています」と抱負を語ります。

そして、クラウド化に大きく貢献したRenesas Synergy™プラットフォームに対して、内田氏は「これからも、当社の制御機器にクラウド化という付加価値を提供していく上で、Renesas Synergy™プラットフォームの活用が進むと思います。私たちの希望としては、より個々の目的に合った製品ラインナップの充実と、長期にわたって継続的にお客様に商品を提供していくために、安定した半導体製品の供給を期待しています」と要望を述べます。

株式会社ニッポー

株式会社ニッポー 内田氏, 杠氏, 砂田氏, 土江氏

House NAVI ADVANCE 外観

House NAVI ADVANCE

図2: House NAVI ADVANCE

EyeFARM Cloud通信ボックス

図3: EyeFARM Cloud通信ボックス

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