2年先を見据えた設計でRZ/A1がRobi2の「目」に選ばれる

事例紹介:RZ/A1

半導体製造工程におけるウエハテストおよびファイナルテストの受託を主事業とするテラプローブ。同社は2014年よりソフトウェア開発事業にも参入し、汎用マイコンで世界最高クラスの顔認証処理速度を実現したソフトウェア・ライブラリ「TeraFaces®」を開発しました。TeraFaces®をはじめとする笑顔認識、絵本認識、動体検出技術、合成写真技術などの画像処理技術も評価され、週刊ロビ2(DeAGOSTINI社)の画像処理基板(TeraFaces® Visual Unit)として採用されました。

※ TeraFacesはテラプローブの日本、中国、韓国、シンガポールおよび米国における登録商標です

Robi2の分解写真

株式会社テラプローブ

会社紹介:株式会社テラプローブ

国内最大級の半導体製品のテスト受託会社として、国内外のお客様にウェハテスト・ファイナルテスト・テストプログラム開発などの半導体テストサービスを提供しています。近年は、次の事業の柱とすべく、顔認証技術を中心に画像処理技術を駆使した組込みソフトウェアの開発等のソリューション事業を展開しています。

課題のポイント

  • 進化したRobi2の新機能として、高性能な顔認証や画像処理が求められていた

解決のポイント

  • GR-PEACHでデモキットを製作し、RZ/A1を採用した画像処理基板を開発した

Robi2の新機能として人の識別や写真撮影など高性能な「目」が求められていた

DeAGOSTINIが出版する週刊ロビは、二足歩行のコミュニケーションロボットとして、国内でNo.1の販売台数を誇ります。そのRobiの進化版となるRobi2は、2017年6月に創刊号が刊行され、雑誌と組み立て用のパーツが付録として週ごとに提供されてきました。Robi2では、顔の前面にカメラが装備され、家族全員の顔と名前を覚えたり、笑顔を見分けて写真を撮影したり、絵本を読み聞かせるなど、コミュニケーション力を加速する「目」が追加されました。Robi2のデザインと設計を監修したロボットクリエーターの高橋智隆氏は「新しいロビは、人を識別したり、写真を撮ったり、より家族の一員として溶け込めるロボットへと成長しました」と語っています。その高橋氏がRobi2に求めていた「目」は、クラウドなどを利用することなく、組込み処理で完結する高性能な画像処理でした。

2年前に5~6社から極秘の開発オファーを受けたTeraFaces®

テラプローブが開発したTeraFaces®は、これまでPCや高性能な専用ICが必要だった顔認証システムをマイコンに組込めるようにしたソフトウェア・ライブラリです。 Armコアのマイコンで、動作周波数200MHz以下で約0.3秒の照合時間という、世界最高クラスの高速処理を実現しています。

テラプローブでは、TeraFaces®の利用価値を広く紹介するために、数年前から展示会などでデモンストレーションを行ってきました。そうした取り組みの中で、Robi2への採用に至るきっかけについて、システムソリューションセンター センター長 古京直也氏は、次のように振り返ります。

「2年ほど前に、展示会でTeraFaces®を紹介した5~6社のお客様から、お問い合わせがありました。そのオファーの多くが、顔認証によるユーザーの照合と笑顔の認識など、共通する項目があり、疑問に思っていました。納期や生産台数なども、ほとんど同じだったのです。そこで、詳しく調べてみたところ、DeAGOSTINIが出版する週刊ロビ2の計画を知りました」

複数のメーカーから認められたことで、テラプローブの顔認証ライブラリTeraFaces®は、Robi2の新機能の中核を担うシステムの最有力候補となりました。そして、ロボットクリエーターの高橋氏による監修のもと、DeAGOSTINI本社のCEOが来日するタイミングで、マイコンだけで動作する顔認証システムを実演することになりました。

株式会社テラプローブ  古京氏

システムソリューションセンター
センター長 古京 直也 氏

GR-PEACHによるデモンストレーションの効果で採用が決定

株式会社テラプローブ  深澤氏

システムソリューションセンター
製品開発グループ 兼 応用技術チーム(チームリーダー)
グループリーダー 深澤 宏 氏

顔認証ライブラリTeraFaces®は、Arm系マイコンで動作する設計になっています。Robi2への搭載を決めるプレゼンテーションに参加するために、どこのマイコンを採用するかがテラプローブの社内で検討されました。その検討会で、ルネサスのRZ/A1LUが採用された経緯について、システムソリューションセンター 製品開発グループ 兼 応用技術チーム(チームリーダー)グループリーダー 深澤宏氏は次のように語ります。

「顔認証に加えて、笑顔を認識してカメラで撮影したり、専用の絵本のページを判断して読み聞かせたり、メールマガジンで配信されるQRコードを読み取るなど、Robi2の『目』に求められる機能が、当初の設計よりも広がっていました。そうした状況を踏まえたときに、80週かけて完成する週刊ロビ2が、2年後に陳腐化していない設計にするためには、将来性のある高性能なマイコンを採用するべきだと判断しました。その結果、CPUの処理スピードが速く、大容量のメモリを搭載し、コストパフォーマンスに優れ、コードの暗号化というセキュリティ対策も充実していたルネサスのRZ/A1LUが最適だと評価しました」

ルネサスのRZ/A1LUの採用を決めたテラプローブの開発チームでは、DeAGOSTINI本社のCEOへのプレゼンテーションにあたり、GR-PEACHでデモンストレーションキットを製作しました。その製作にあたり、システムソリューションセンター セールスエンジニアリンググループ グループリーダー 白垣眞氏は注力したポイントを説明します。

「プレゼンテーションまでの時間が迫っていたので、できるだけ余計な開発工数はかけたくなかったのです。その意味でも、GR-PEACHとライブラリの利用は、大きな救いでした。また、液晶ディスプレイで、実際の動作の様子をDeAGOSTINIのCEOにも見てもらえたことで、当社のTeraFaces®を評価していただき、RZ/A1LUによるモジュール開発が決定しました」

株式会社テラプローブ  白垣氏

システムソリューションセンター
セールスエンジニアリンググループ
グループリーダー 白垣 眞 氏

Robi2で高めた認知度でTeraFaces®+RZ/A1LUの顔認証システムを訴求していく

株式会社テラプローブ  刀禰氏

システムソリューションセンター
製品開発グループ 応用技術チーム
刀禰 文彦 氏

TeraFaces®+RZ/A1LUによるRobi2の画像認識モジュールは、2019年2月に発行されます。採用から開発を経て製造に至るまでの道のりをシステムソリューションセンター 製品開発グループ 応用技術チーム 刀禰文彦氏は、次のように振り返ります。

「開発にあたっては、チーム全員がRobiの気持ちになって仕様を検討しました。Robiは5歳の男の子というコンセプトになっています。そこで、画像認識の動きや写真のフレームなどの仕掛けについて、Robiならこんな風に動いたり考えたりするのではないだろうか、と想像して機能を作りこんできました」

Robiの気持ちになって開発してきたことで、開発チームではちょっとイタズラ心のあるフォトフレームのデザインに関する提案も行い、ロボットクリエーターの高橋氏に採用されるという成果も得ています。

古京氏は「Robi2の顔認証という新しいコミュニケーション能力が評価されることで、我々のTeraFaces®も業界から注目されると思います。今後は、その知名度を活かしてTeraFaces®+RZ/A1LUの顔認証システムを積極的に訴求していきたいと考えています」と抱負を語ります。

株式会社テラプローブ

株式会社テラプローブ
刀禰氏, 白垣氏, 古京氏, 深澤氏

Robi2試作機のデモ動画はこちらからご覧いただけます。

関連リンク
  • GR-PEACH
    GR- PEACHは32ビットArm®コア RZ/A1Hを搭載したボードで、400MHz動作、10MB RAMを内蔵しています。EthernetやマイクロSDを搭載。カメラやLCDなども拡張接続でき、画像処理を行うプロトタイピングに適しています。
  • GR-LYCHEE
    GR- LYCHEEは32ビットArm®コア RZ/A1LUを搭載したボードで、384MHz動作、3MB RAMを内蔵しています。カメラが付属されているほか、Wi-FiやBLEによる無線通信、SDソケット、オーディオ入出力用ジャックを搭載しているため、カメラを使用したIoTシステムのプロトタイピングに適しています。
  • RZ/A1H
    RZ/A1HはArm® Cortex®-A9 を搭載し、最大400MHzで動作可能な32bitマイクロプロセッサ―です。10MBの内蔵RAMをもち、外付けSDRAM無しでWXGAサイズ(1280x768) 2画面分を1チップで処理可能です。
  • RZ/A1LU
    RZ/A1Hの機能、ピン数シュリンク版です。3MBの内蔵SRAMにより、外付けSDRAMなしでWVGA (800x480) サイズ2画面分またはWSVGA (1024x600) サイズ1画面分の画像表示に必要な画像情報を記録可能です。
  • 週刊ロビ2
    DeAGOSTINIが出版する週刊ロビは、二足歩行のコミュニケーションロボットとして、国内でNo.1の販売台数を誇ります。こちらは、そのRobiの進化版となるRobi2紹介ページです。