デモ機やプロトタイプ作成に使いやすいGR-SAKURAで魅力的なデモセットを開発

事例紹介:GR-SAKURA

電機・電子の技術商社として、優れた商品を最新の技術と共に産業界へ届け、社会の発展に貢献する株式会社立花エレテック。同社の半導体技術本部では、4年ほど前からGR-SAKURAを活用したデモキットを開発し、展示会などで多くの来場者から注目を集めてきました。そして2年前からRenesas Synergy S7を組み合わせて、画像認識とモーター制御などを統合した次世代HMIを開発しています。

株式会社立花エレテック

株式会社立花エレテック

会社紹介: 立花エレテックは、電機・電子の「技術商社」です。半導体デバイス事業のほか、工場の自動化を支えるFAシステム事業、エレベーターや空調などの施設事業などを展開しています。

課題のポイント

  • 単品の半導体商材を提案しても、顧客ニーズを発掘できなかった

解決のポイント

  • 『画像認識による次世代HMI』というニーズ目線の複合システムをGR-SAKURAで早期に実現

ソリューション提案の部門に求められていた顧客ニーズに沿ったデモセット

株式会社立花エレテックの半導体技術本部に所属する半導体技術開発プロジェクト部門は、半導体を利用したソリューションの提案を中心に事業を展開しています。同プロジェクトチームの古場貴雄リーダーは、デモセットを開発した背景について、次のように振り返ります。

「以前は、単品の半導体商材をお客様に持って行って、それぞれの機能や性能を説明していました。しかし、それではお客様に我々の商材がどのように効果的か伝えるのには、限界がありました。そこで、半導体商材を組み合わせて、見える形にしてお客様のニーズに沿った提案ができるデモセットを開発することにしたのです」

株式会社立花エレテック 古場氏

半導体技術本部
半導体技術開発プロジェクト
リーダー
古場 貴雄 氏

株式会社立花エレテック 堤氏

半導体技術本部
半導体技術開発プロジェクト
技術担当課長
堤 重憲 氏

古場氏たちのチームでは、デモセットの開発にあたり「できるだけたくさんの取り扱い商材を盛り込みたかった」といいます。そこで注目したのが、GR-SAKURAを活用したセンサー入力や音声再生にNFCなどの制御でした。開発を担当した半導体技術開発プロジェクトの堤重憲技術担当課長は、デモセットを開発した経緯について次のように説明します。

「我々の商材の中に、カメラを組み合わせて目の動きや手の動きを検知するセンサーがあります。このセンサーとGR-SAKURAを組み合わせ、さらに圧電ブザーで音声を鳴らす仕組みも活用しました。その他にも、DCモーターを制御するシステムにGR-SAKURAを組み合わせて、モーターを使ったデモセットのプロトタイプも開発しました。GR-SAKURAは、メーカーの提供する評価ボードと比べて、コンパクトで組込みのプロトタイプ製作に必要な最低限の機能を備えているので、限られた時間での開発にはとても活用できるボードです」

センサーと制御に分けて開発されたGR-SAKURAをRenesas Synergyで連携

GR-SAKURAを活用して、半導体商材を組み合わせたデモセットを開発していた半導体技術開発プロジェクト部門は、Renesas Synergyの登場をきっかけとして、新しいソリューションの開発に取り組みました。その結果、ハンドジェスチャーとDCモーターの制御を連動させた『画像認識による次世代HMI』が誕生しました。その基本的な構成は、センサー入力などを担当するGR-SAKURAとモーターを制御するGR-SAKURAをSynergyS7ボードのPE-HMI1で連携し、手の動きでモーターに取り付けられたアヒルが回転するデモセットです。実際のデモンストレーションについて古場氏は「はじめに、人の目の動きを検出してログインします。次に、人の手を写すカメラで、手の位置や指の本数と傾きを検知します。そして、得られた情報から、アヒルの乗ったDCモーターの位置と回転方向と出力を制御します」と説明します。

『画像認識による次世代HMI』デモセットでは、センサーに加えて圧電ブザーから音声を再生するミドルウェアも活用して、ログインの要求や検知したハンドジェスチャーのデータを「声」で通知するHブリッジ回路もGR-SAKURAで制御しています。開発を担当した堤氏は「短期間でデモセットを開発するために、GR-SAKURAの利用は効果的でした。加えて、Synergyを簡易Webサーバーとして活用し、2つのGR-SAKURAを連携させて集中制御することで、デモンストレーション効果の高いプロトタイプを短期間で製作できました」と振り返ります。

『画像認識による次世代HMI』デモセットのファンクション図­

『画像認識による次世代HMI』デモセットのファンクション図

創意工夫に満ちたデモセットが商談のきっかけを作る

優れたソリューションも気づいてもらえなければ意味がない。人目をひく創意工夫は立花エレテックの真骨頂

優れたソリューションも気づいてもらえなければ意味がない。人目をひく創意工夫は立花エレテックの真骨頂

複数のGR-SAKURAとRenesas Synergyを効果的に組み合わせたデモセットは、ソリューションとしての構成に優れているだけではなく、展示会などで人目をひく創意工夫も凝らされています。その一つが、DCモーターの上に取り付けられたアヒルの人形です。アヒルを選んだ理由について堤氏は「当初は、モーターに付箋などをつけて回転の方向や速さを示そうと考えていました。しかし、それよりも視覚的なインパクトがあり、安定して回転する人形としてアヒルを選びました。最近では、お客様から『アヒルの立花エレテックさんですよね』と社名とソリューションを覚えていただく機会も多くなりました」と話します。

アヒルだけではなく、ハンドセンサーをイメージした手の置物に、センサーカメラを保護しているコスメケースなどは、100円ショップで販売している商品を応用しています。また、PE-HMI1のカバーにはA4ファイルホルダーを活用するなど、限られた予算の中で見栄えのするデコレーションやアクセサリーを組み合わせて、展示会でも目立つ工夫を凝らしています。

実際の商談の効果について古場氏は「デモセットをきっかけとして、商談に結びついた案件も数多くあります。お客様の中には、実際に『画像認識による次世代HMI』のようなことをやりたいと考えていても、社内にエンジニアや経験者がいないために自社の製品に反映できない、という案件もありました。そういうケースでは、半導体製品を提供するだけではなく、我々の技術開発部も協力して、お客様の製品のIoT化に協力しました」と説明します。

クラウドへの展開も考慮してGRシリーズとRenesas Synergyを活用していく

『ルネサスナイト』に親娘で参加して入賞した経験もある堤氏は「GRシリーズのボードは使い勝手が良いので、今後も継続してデモセットの開発に活用していく考えです。これまで、GR-SAKURAを中心にプロトタイプを開発してきましたが、今後は他のシリーズも使う機会が増えると思います」と話します。

古場氏は「GRシリーズとRenesas Synergyを活用して、クラウドを組み合わせたソリューションのデモセットの開発を検討しています。まだ具体的な内容は発表できませんが、『画像認識による次世代HMI』を超えるデモセットを形にできるように頑張っています」と今後に向けた展望を語ります。

株式会社立花エレテック 伊藤氏、堤氏、古場氏、梅木氏、中村氏

株式会社立花エレテック
伊藤氏、堤氏、古場氏、梅木氏、中村氏

『画像認識による次世代HMI』の動態デモはこちらからご覧いただけます。

関連リンク
  • GR-SAKURA
    GR-SAKURAは32ビットRX63Nを搭載したボードで、96MHz動作ができ、GPIOが豊富にあります。EthernetやマイクロSDを搭載。無線モジュールのXBeeも接続可能です。IoTプロトタイピングに適しています。
  • Synergy S7
    Synergy S7はArm® Cortex®-M4コアをを搭載し、最大240MHz、4MBのフラッシュメモリと640KBのSRAMを搭載。動作保証されたソフトウェアの組込みによる安心のRenesas Synergyプラットフォーム、最高性能のS7シリーズです。
  • PE-HMI1
    PE-HMI1は、Renesas Synergy S7を搭載したボードで、240MHzで動作し、グラフィック処理用に32MBのSDRAMも搭載。7インチタッチパネルに加え、Wi-Fi、BLE、Ethernetなどの通信も可能で、まさにIoTとHMIを融合するためのボードです。