GR-SAKURAを活用して教員の在室をリモートで確認する「先生いるかなボード」

事例紹介:GR-SAKURA

「個性の伸展による豊かな人間性と進取の精神に富んだ技術者」の育成に情熱を注ぐ学校法人 第一工業大学。アジアからの留学生が多く就学しています。同大学の「ロボットサークル」は、木下和歩教授の指導のもとで、東京上野のキャンパスで、組込みマイコンを使った電子工作やロボット製作に取り組んでいます。同サークルの製作した「先生いるかなボード」は、GR-SAKURAを活用して教員の在室をネットワーク経由でモニタできる便利な表示板です。

学校法人 都築教育学園 第一工業大学

学校法人 都築教育学園 第一工業大学

学校紹介: 都築学園グループ6大学の中で工学教育を専門とする大学です。建学の精神「個性の進展による人生練磨」のもと、技術的創造と実践的能力を持つ技術者育成に取り組んでいます。

課題のポイント

  • 離れた校舎間で教員の在室を確かめるのが不便だった

解決のポイント

  • 圧力センサーを取り付けたホワイトボードとドットマトリクスLEDボードで在室を表示

離れたキャンパス間で教員の在室を確認する方法が求められていた

第一工業大学の東京上野キャンパスは、JR上野駅から徒歩1分の距離に本館があります。本館の他に、図のように東京上野キャンパスには離れた場所に2号館と3号館があります。授業やゼミを除いて、学生が教員と会うためには、主に3号館に出向いていきます。そのため、学生が目的の教員に会うためには、3号館まで移動して行動予定表の在室をチェックしてから、各部屋を尋ねなければなりませんでした。

上野駅前の第一工大キャンパスマップ。教員室は3号館にある。

上野駅前の第一工大キャンパスマップ。教員室は3号館にある。

第一工業大学 4年生 李 榮璡さん

第一工業大学 4年生
木下研 ロボットサークル 部長
李 榮璡さん(韓国出身)

そこで「ロボットサークル」では、韓国出身の李 榮璡(イ ヨンジン)さんが中心となって、GR-SAKURAと圧力センサーを組み合わせて、マグネットの位置から在室と不在と帰宅をインターネット経由で通知するシステムを開発しました。

李さんは「母国のアルバイト先で自動車に乗る機会が多くあり、日本の技術力、特に自動車の制御技術が圧倒的に自国の自動車より発展していると思いました。なので、日本の大学でロボット制御や電子制御技術を習得したいと思いました」という理由で、日本に来ました。

GR-SAKURAのHTTPサーバー機能を活用してウェブサーバーに在席状況を表示

教員行動予定表ボードの開発にあたり李さんが配慮したのは「以前のホワイトボードと同じ使い方で、在席などを確認できること」でした。在席確認のためにスイッチやパネルなどを新しく製作するのではなく、あくまでもホワイトボードそのままの使い勝手を踏襲して、教員の在席を通知する仕組みを開発しようとしたのです。 事務局・教員の「作っても何も変えてくれるな」という要望を受けて、ホワイトボードをそのまま使えるようにすることで、ユーザ目線でのモノづくりを推進したのです。

そこで注目したのがマグネットの有無を検知できる圧力センサーの利用でした。「ロボットサークル」では、以前にメンバーの出席ボードを圧力センサーとマグネットで製作した経験があり、そのノウハウを活かして行動予定表を改造できると考えたのです。ただし、教員の在室確認では、圧力センサーで検知したマグネットの位置を他の学生に通知しなければなりません。そこで、李さんたちはGR-SAKURAのHTTPサーバー機能を活用して、マグネットの位置から各教員の在席か不在か帰宅かをPCやスマホのブラウザから閲覧できるようにしました。開発にあたり李さんは「マグネットの置き方が先生によってまちまちなので、どこの位置でセンスするかの調整に苦労しました」と話します。

従来通りホワイトボードの様式を活かしたソリューション

従来通りホワイトボードの様式を活かしたソリューション

ウェブよりも的確に把握できる「先生いるかなボード」を製作

「先生いるかなボード」のファンクション図­

「先生いるかなボード」のファンクション図

ホワイトボードを改造した「教員行動予定表ボード」は、一定の成果をあげたものの、学生が教員の在室確認をするためには、ウェブブラウザを起動してチェックする手間が発生していたので、さらなる利便性が求められていました。そこで「ロボットサークル」では、李さんが中心になって「先生いるかなボード」の製作に着手しました。ウェブブラウザを開かなくても、ひと目で教員の在室を確認できるように、GR-SAKURAとLEDドットマトリクスを組み合わせて、ホワイトボードのマグネットの状況をLED表示したのです。「先生いるかなボード」の製作にあたり、それまでHTTPサーバーとして機能していた「教員行動予定表ボード」側のGR-SAKURAをHTTPクライアントに切り替えて、圧力センサーの情報を一定のタイミングで送信する設計に変更しました。そして「先生いるかなボード」側のGR-SAKURAをHTTPサーバーにして、HTTPクライアントから送られてきたデータをもとに、LEDドットマトリクス表示を切り替えるプログラムを開発したのです。その結果、本館に設置された「先生いるかなボード」により、学生は3号館まで移動することなく、本館のロビーで教員の在室を確認できるようになりました。

GR-CITRUSとWi-Fiモジュールを組み合わせた在席システムに取り組む

「先生いるかなボード」は、教員も学生も便利に利用するようになりましたが、ひとつだけ課題がありました。その点について、木下教授は「センサーとポートの関係から、最大で対応できる人数が8名に限られているのです」と説明します。GR-SAKURAによる制御では、最大で16枚の圧力センサーに対応しています。そのため、ホワイトボードで実際に機能しているのは、在席と不在の圧力センサーだけで、そのどちらの位置にもマグネットがない状態を帰宅と判定しています。もしも教員の人数が増えてしまうと、現在の設計では対応できなくなるのです。そこで木下教授は「GR-CITRUSとWi-Fiモジュールを組み合わせた在席システムを検討しています」と話します。具体的には、各教員の研究室の前に「先生いるかなボード」の個人版を製作して配備する計画です。各研究室ごとの在室や不在をWi-Fi経由で収集することで、人数の制限から開放されます。

李さんは「ロボットサークルでは、C++言語と Arduino や GR-KURUMI ベースでプログラミングをしたのでリアルタイム制御の方法が手に取るように分かりました」と話し「わたしはこれからも日本で暮らして行きたいので、日本の企業で組込みマイコン制御やロボット制御の分野でエンジニアとしてキャリアを伸ばしたいと思います」と今後の進路について語ります。

学校法人 都築教育学園 第一工業大学
木下教授 (右)、李さん (左)

学校法人 都築教育学園 第一工業大学
木下教授 (右)、李さん (左)

『先生いるかなボード』の動態デモはこちらからご覧いただけます。

関連リンク
  • GR-SAKURA
    GR-SAKURAは32ビットRX63Nを搭載したボードで、96MHz動作ができ、GPIOが豊富にあります。EthernetやマイクロSDを搭載。無線モジュールのXBeeも接続可能です。IoTプロトタイピングに適しています。
  • GR-CITRUS
    GR-CITRUSは32ビットRX631を搭載したボードで、VS Code上でmRubyによるプログラミングができます。別売のWA-MIKANを接続するとWi-Fi拡張ができるため、IoTセンサーノードのプロトタイピングにピッタリ!