PCのデモでは伝えにくかったサーモパイル型赤外線アレイセンサーの魅力をGR-PEACHで引き出す

事例紹介:GR-PEACH

「信頼とスピード」を旗印とした半導体商社の株式会社ルネサスイーストン。同社は、ルネサス エレクトロニクスをはじめとして、お客様の多様なニーズにワンストップソリューションでお応えできるよう半導体製品を広範囲に取り扱っています。同社のシステムソリューション本部では、数年前から非接触で温度を測定できるセイコーNPC株式会社(以下セイコーNPC)製サーモパイル型赤外線アレイセンサーに注力してきました。その温度センサーにGR-PEACHとカメラを組み合わせた『イメージングソリューション』のデモキットを開発しました。

株式会社ルネサスイーストン

株式会社ルネサスイーストン

会社紹介: 当社は半導体・電子部品の技術商社として、ルネサス エレクトロニクス製品をコアに幅広い商材を取り揃え、FAEのサポート力やソフトウェア・LSIの開発力、パートナー企業の技術力を融合させ、お客様の多様なニーズにお応えし、ご満足戴けるシステムソリューションを提供しています。

課題のポイント

  • PCのデモ画面では温度センサーによる非接触温度測定の効果を伝え切れなかった

解決のポイント

  • GR-PEACHでカメラ映像と温度センサーの計測値を重ねて表示するデモキットを開発

防犯や異常熱検知などに効果が期待できるサーモパイルの可能性を伝えたかった

株式会社ルネサスイーストンのシステムソリューション本部では、熱源の赤外線を非接触でセンシングするサーモパイル型赤外線アレイセンサーの機能や性能を展示会で提案するために、以前はセイコーNPC製SMH-01B01-01というデバイスをPCにUSBで接続して、簡易なデモキットを使用していました。簡易デモキットの画面は、64個の温度センサーを8 × 8マスで温度表示する方眼グラフに測定温度値を表示しました。同本部のシステム営業部でシステム営業1課の小川正直課長は、簡易デモキットが抱えていた課題について、次のように説明します。

「非接触で温度を測定できるサーモパイル型赤外線アレイセンサーには、物体の温度を計測して空調機を制御したり、人の体温を検知してカメラを起動するなど、防犯や異常熱検知のような用途にも使える幅広い応用性があります。しかし、展示会で温度センサーとPCをUSBでつないでいるだけの簡易なデモキットでは、用途や応用例を視覚的に理解してもらうことが困難でした。デモキットによる提案方法に悩んでいたときに、ルネサスエレクトロニクスのGR-PEACHを紹介してもらい、その性能を活かして新しいデモキットを作るプロジェクトがスタートしました」

株式会社ルネサスイーストン 小川氏

システムソリューション本部
システム営業部
システム営業1課 課長
小川 正直 氏

GR-PEACHのカメラ機能を活かして温度センサーの利用価値を伝えるデモキットを開発

株式会社ルネサスイーストン 飛島氏

システムソリューション本部
システム第一開発部 システム2Gr
飛島 崇志 氏

実際のプロトタイプ製作にあたり、ボードやデバイスを選定した研究開発本部のグループリーダーでリードエンジニアの近藤文仁氏は、GR-PEACHを採用した理由について、次のように話します。

「GR-PEACHの前に、音声系の「D-amp Driver」用にGR-SAKURAを採用していたので、映像系としてGR-PEACHを採用するのはスムーズな流れでした」

「2017年の11月に発表したAeropoint GUIでは、そのエンジンでOpenGL ES 2.0をサポートしていました。しかし、よりコンパクトで高いパフォーマンスを実現するために、我々の技術部門でRZ/Aシリーズへの対応を行ってきました。その結果、新たに開発した『リージョン制御技術』により、RZ/Aのグラフィックハードウェア性能を最大限に引き出せるようになりました。そこで、その性能を実感してもらえるように、GR-PEACHを活用したプロトタイプを製作しました。」

研究開発本部が開発した『リージョン制御技術』は、RZ/Aのグラフィック性能を引き出し、透過表示が可能な3つのUI画面と、カメラ映像の重ねあわせに、タッチパネル操作を実現しています。その性能の高さを実感してもらうために、試作機でGR-PEACHが選ばれました。さらに、GR-PEACHを選んだ理由には、「起動の速さも重視しました。Linuxベースの組込みデバイスでは、どうしても起動に時間がかかります。それに対して、RTOS対応のGR-PEACH ならば、USB電源をつなぐと同時に画面が表示されるので、すぐにデモを見てもらえます。また、実際の組込み機器として動作するときの速さも実感してもらえます」と近藤氏はGR-PEACHを採用したメリットについて補足します。

展示会での提案力も大幅に向上し新たな『イメージングソリューション』も製作

GR-PEACHを活用したデモキットの効果について小川氏は「新しいデモキットを展示するようになって、サーモパイル型赤外線アレイセンサーを説明しやすくなりました。お客様が実際に見て体験できるので、非接触温度測定の利用価値を提案しやすくなりました」と成果を語ります。

さらにシステムソリューション本部では、GR-PEACHで製作したデモキットの知見を活かして、さらなる『イメージングソリューション』も製作しました。それが、ドアホンをイメージしたソリューションキットです。サーモパイル型赤外線アレイセンサーで熱源を検知すると、CMOSカメラが起動して来訪者を撮影し、タブレットなどの情報端末で相手を確認できるシステム構成になっています。飛島氏は「ドアホンのソリューションキットは、社内で独自に製作しました。液晶画面を2分割して、右側にはサーモパイル温度分布を常に表示し、熱源を検知した時にだけカメラの映像が表示される仕組みになっています」と話します。

体温にもよるが約3m先の人物を検知できる

体温にもよるが約3m先の人物を検知できる

人物の顔を検知、測定中­

人物の顔を検知、測定中

測定物なし­

測定物なし

16 × 16マスに対応するデモキットを計画

今後の展開について飛島氏は「16 × 16マスまで計測できるセイコーNPC製サーモパイル型赤外線アレイセンサーSMH-02B01が開発されているので、多画素化に対応できるデモキットの製作も検討しています。GR-PEACHをそのまま利用できるか、高性能なGRシリーズを採用するか、検証中です」と計画を話します。

小川氏は「GR-PEACHを活用したデモキットのおかげで、サーモパイル型赤外線アレイセンサーを拡販しやすくなりました。すでに、複数のデモキットを製作して、各地の展示会で活用しています。今後は、多画素化への対応も含めて、『イメージングソリューション』を効果的に提案できるデモキットを企画していきたいと思います」と展望を語ります。

株式会社CRI・ミドルウェア

株式会社ルネサスイーストン 飛島氏、小川氏 他

『イメージングソリューション』の動態デモはこちらからご覧いただけます。

関連リンク
  • GR-PEACH
    GR- PEACHは32ビットArm®コア RZ/A1Hを搭載したボードで、400MHz動作、10MB RAMを内蔵しています。EthernetやマイクロSDを搭載。カメラやLCDなども拡張接続でき、画像処理を行うプロトタイピングに適しています。