女子学生3人の「ガールズパワーチーム」がGR-KURUMIで「発表タイマー」を製作

事例紹介:GR-KURUMI

「個性の伸展による豊かな人間性と進取の精神に富んだ技術者」の育成に情熱を注ぐ学校法人 第一工業大学。アジアからの留学生が多く就学しています。同大学の「ロボットサークル」は、木下和歩教授の指導のもとで、東京上野のキャンパスで、組込みマイコンを使った電子工作やロボット製作に取り組んでいます。同サークルの女子学生3人による「ガールズパワーチーム」が、GR-KURUMIで「発表タイマー」を製作し、2017年のルネサスの電子工作作品コンテストで3位に入賞しました。

学校法人 都築教育学園 第一工業大学

学校法人 都築教育学園 第一工業大学

学校紹介: 都築学園グループ6大学の中で工学教育を専門とする大学です。建学の精神「個性の進展による人生練磨」のもと、技術的創造と実践的能力を持つ技術者育成に取り組んでいます。

課題のポイント

  • 大学での発表イベントでスムーズな進行を実現したかった

解決のポイント

  • GR-KURUMIで「発表タイマー」を製作してコンテストで3位に入賞

発表イベントが多くプレゼンテーションの時間管理が課題

第一工業大学では、学生のコミュニケーションスキルや技術の理解度を高めるために、スピーチコンテストやプレゼンテーションなどの発表イベントを数多く行っています。「ロボットサークル」に所属する3名の「ガールズパワーチーム」も、サークル活動だけではなく授業の一環として数多くの発表イベントに参加してきました。そうした経験から、インド出身のヒーナさんは「発表会では、発表時間の告知が課題でした。発表会で時間を測っている人は、時間の管理に集中するので、発表内容を聞けません。そこで、自動で発表時間をチェックするタイマーがあったらいいなと考えて、『発表タイマー』の開発にとりかかりました」と製作の経緯を説明します。

第一工業大学 4年生 ヒーナさん

第一工業大学 4年生
木下研 ガールズパワーチーム
ヒーナさん
(HEENA、インド出身)

第一工業大学 4年生 ルインさん

第一工業大学 4年生
木下研 ガールズパワーチーム
ルインさん
(HTET HTET LWIN、ミヤンマー出身)

「ガールズパワーチーム」は、ヒーナさんの他にハードウェアの設計と組み立てを担当したネパール出身のスレスタ デウキさんと、ソフトウェアを担当したミヤンマー出身のテツ テツ ルインさんの3名でチームを組んでいます。3名が協力し合い、発表会の進行を円滑にする「発表タイマー」を製作しました。

ヒーナさんは「父が日本に転勤になり、その後家族で日本に移住しました。初めて日本に来て驚いたのは、日本の技術の高さや品質やサービスへのこだわりです。お客様のためにスタッフのみんなが頑張っていることに感動しました」と日本の印象を話します。

ルインさんは「日本の企業がどんどん東南アジアに進出して来ていますので就職の面からも、母国の日本企業に就職するなら、日本で留学する方が有利と考えました」と留学の理由を振り返ります。

デウキさんは「日本の NARUTO やドラゴンボールなどの TV アニメを子供のころに見て、日本の服や生活に強い興味を持ちました。そして進学するとき、日本で IT やエレクトロニクスの勉強をしたいと思い日本留学を決めました」と説明します。

第一工業大学 4年生 デウキさん

第一工業大学 4年生
木下研 ガールズパワーチーム
デウキさん
(SHRESTHA DEWKI、ネパール出身)

ルネサスのコンテストへの参加も検討してGR-KURUMIで開発

ハードウェアの製作にあたり、デウキさんは制御用マイコンボードにルネサスのGR-KURUMIを採用しました。その理由について、チームを指導してきた木下教授は「『ルネサスナイト・電子工作作品コンテスト』への参加を考えていました。また、制御や電圧などの条件からも、GR-KURUMIの採用が適切だと考えました」と説明します。授業やサークル活動を通して、数々のマイコンボードを利用してきたデウキさんですが、GR-KURUMIの利用は今回が初めてでした。そのため「最初はピンの配置を確かめるのに手間取りました。慣れてしまえば、難しくはなかったです。あとは、ハンダ付けが大変でした」とデウキさんは振り返ります。

「発表タイマー」は、シンプルなユーザビリティとタイマーとしての機能を充実させるために、数々の工夫が凝らされています。まず第一に、ケースの両側に大きくて見やすいLEDパネルが配置されていて、発表の残り時間がカウントダウンされていきます。数字を両側から確かめられるので、発表者も聞き手も同時に残り時間をチェックできます。また、残り時間が1分を切ると、アラームで告知してくれるので時間を測る人がいなくても、発表者は確実に残り時間を確かめられます。そして、時間になると大きな音が鳴り、ケースの横の旗があがります。

ソフトウェアの開発を担当した ルインさんは「ウェブコンパイラと書き込みツールを使うのが初めてだったので、最初は少し戸惑いました」と感想を述べます。

授業やサークルなどで自分のプロジェクトについてプレゼンする機会が多い

授業やサークルなどで自分のプロジェクトについてプレゼンする機会が多い

『ルネサスナイト・ライトニングトーク(発表)』で3位に入賞

筐体も手作り。機能を絞り込んで誰でもすぐ使えるシンプルなインターフェースを目指した

筐体も手作り。機能を絞り込んで誰でもすぐ使えるシンプルなインターフェースを目指した

GR-KURUMIを利用した「発表タイマー」を製作した「ガールズパワーチーム」は、ヒーナさんがプレゼンテーターとなって、『ルネサスナイト・ライトニングトーク(発表)』に参加しました。そして、みごと3位入賞を果たします。受賞の理由は、発表に特化した機能と使いやすい操作性にありました。

「発表タイマー」は、ケースの上部に4つのボタンしかありません。タイマーを起動するボタンと、発表時間を増減させるボタン、そしてスタート/ストップのボタンだけで、発表に必要な時間をセットできるシンプルなユーザインターフェースになっています。このシンプルな使い勝手と実用性の高いタイマー機能が評価されて入賞したのです。

ロボットサークルでの活動を通して、ヒーナさんは「就活で企業面接のとき、ロボットサークル活動のことを細かく聞かれました。そして、チームで熱心にデザインコンテストのプロジェクトに関わったことが採用の1つのポイントになりました」と成果を振り返ります。ルインさんは「サークルでは、年2回(夏と冬)に、開発報告会のプレゼンテーションがあります。こういったことを通して、発表力が身についたと思います」と感想を述べます。

デウキさんは「ルネサスデザインコンテストに出るために、チームでプロジェクトに取り組んでチームワークの大切さを実感しました。私はハードウェア担当を任されました。半田付けとかやったことが無かったのでやけどとかして大変でしたが、これからももっとやりたいと思うようになりました。何かものを作るのが大好きになりました」と話します。

GR-SAKURAを使った音声タイマーにも挑戦

「発表タイマー」の製作を指導してきた木下教授は「タイマー製作の目的の一つは、ユーザビリティの研究です。少ないボタンでいかに実用的な機能を実現するかが重要でした。そこで次世代タイマーでは、ボタンを3つにするとか、LED表示の代わりに音声を使うような製作にも取り組んでいます」と新しい取り組みに触れます。

「ロボットサークル」では、数々のマイコンシステム開発で多様なマイコンボードを活用してきました。コンテストに入賞した「発表タイマー」は、GR-KURUMIを採用していましたが、今後はGR-SAKURAなどの活用にも取り組んでいく予定です。その理由について木下教授は「音声で時間を知らせる『放送ちゃん』というタイマーは、視覚障害者でも発表時間を確かめられるように、音声で時間を知らせる機能を実現します。そのためには、SDカードの読み出しや音声出力がハードウェアで実現できるマイコンボードが最適です。そこで、GR-SAKURAを採用しました」と説明します。

そして今後の「ガールズパワーチーム」は、ルインさんがゲームの製作に取り組んでいきます。木下教授は「テトリスのようなブロックゲームの製作でも、GR-SAKURAの利用を考えています。ゲームの処理では、LEDモジュールの表示更新を1秒間に10回書き換えなければなりません。それだけの高速処理を行うためには、GR-SAKURAのハードシリアルを使う性能が求められます」と解説します。

また、ヒーナさんは「GR-COTTONと超音波センサーなどを組み合わせて、眠気防止センサーを開発中です」と話します。そして、デウキさんは「インターネット在室表示板の新しいバージョンの開発を担当します」と話しました。

さらに、今後の進路についてヒーナさんは「わたしはこれからも日本で暮らして行きたいので、マルチナショナルな社員を必要としている企業で働いて、「日本」と「自分の生活」が豊かにっていくように努力したいです。まずはエンジニアとして技術力を付けて、自分のコミュニケーション力を活かして海外マーケティング部門でキャリアを伸ばしたいです」と語ります。

ルインさんは「自分の母国でビジネスを展開する企業に入りたいと思います。そして自分の手で、日本の技術を母国に普及させて、自分の生活や母国を豊かにしたいと思います」と話します。

デウキさんは「エンジニアになって何かを開発する仕事に就きたと思います。いつか母国に帰ったら、日本で身に着けた技術を母国の教育に役立てたいと思います」と展望を述べます。

学校法人 都築教育学園 第一工業大学

学校法人 都築教育学園 第一工業大学
木下教授、デウキさん、ルインさん、ヒーナさん

『発表タイマー』の動態デモはこちらからご覧いただけます。

関連リンク
  • GR-KURUMI
    GR-KURUMIは16ビットRL78/G13を搭載したボードで、32MHz動作ができ、サイズは33mm x 18mmと非常に小型です。時計用クロックを搭載し、省電力化をサポートするライブラリもあるため、IoTセンサーノードのプロトタイプに向いています。
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