~主要なリアルタイム産業ネットワークプロトコルと冗長ネットワークプロトコルにワンチップで対応することにより、Industry4.0をサポート~
2017年3月13日

 ルネサスエレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)はこのたび、新しい産業ネットワーク用通信プロセッサ「RZ/Nシリーズ」3品種を開発しました。日本国内では本年8月(注1)より順次サンプル、ソリューションキットの出荷を開始いたします。

 新製品は、ネットワークスイッチ、ゲートウェイ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、オペレータターミナル、リモートI/Oユニットなどの産業ネットワーク機器に向けたものです。(1)当社独自のイーサネット通信用IP(Intellectual Property)であるR-INエンジン(注2)と、5ポートのイーサネットスイッチの内蔵により主要な産業ネットワークプロトコルおよび冗長ネットワークプロトコルにワンチップで対応、(2)OS環境などのエコシステムに加え、業界をリードするパートナによるネットワークプロトコルスタックを統一してサポートする汎用API(Application Programmable Interface)の提供により、ユーザのソフトウェア開発を支援、(3)ハイエンド向けの「RZ/N1Dグループ」、ミッドレンジ向けの「RZ/N1Sグループ」、ローエンド向けの「RZ/N1Lグループ」の3種類のラインアップでスケーラビリティを提供、といった特長を有しております。

 新製品の採用によりユーザは、様々な産業ネットワークプロトコルと冗長ネットワークプロトコルに対応する機器の開発期間を短縮することが可能になります。

 当社は、RZ/N1SグループとRZ/N1Lグループのサンプルおよびソリューションキットを2018年前半に提供開始する計画です。サンプルソフトウェアとプロトコルスタックは評価ボードとともに提供されます。ソフトウェアパートナから提供されるプロトコルスタックは、2017年の後半より提供予定です。

 昨今Industry4.0の進展とともに、生産効率向上を目的としてネットワーク接続された工場を実現するため、ネットワーク機器には、リアルタイム処理用の産業ネットワークプロトコルのサポート、プロトコルゲートウェイ機能、保護されたネットワーク機能、さらには、信頼性が高くかつ効率的な通信を保証するために、冗長ネットワークプロトコルのサポートなどが求められています。

 工場の既存ネットワークにおいては、要求される時間制約やネットワーク制御技術の差異により、制御装置と機器間の通信を担うフィールドネットワークおよび制御装置間の通信を担うコントロールネットワークが存在しています。リアルタイム制御が必要とされる前者ではEtherCAT®、EtherNet/IP™、ETHERNET Powerlink®、PROFINET®、Sercos®、CANopen®などを含むリアルタイム産業ネットワークプロトコルが使用される一方、信頼性が求められる後者ではRSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)、PRP(Parallel Redundancy Protocol)、HSR(High-Availability Seamless Redundancy)などの冗長ネットワークプロトコルが使用されます。

 これまでは両ネットワークの技術の統一化は進展しておらず、ネットワーク機器を開発するためにはそれぞれのプロトコルに対応したデバイスを採用する必要がありましたが、新製品は、このような状況に応えるために開発されたもので、フィールドネットワークとコントロールネットワークを同時にサポートできる、ワンチップソリューションとして、産業ネットワーク機器の開発を飛躍的に容易にします。

 新製品の特長の詳細は以下のとおりです。 

(1)R-INエンジンとイーサネットスイッチの内蔵により、主要な産業ネットワークプロトコルおよび冗長ネットワークプロトコルにワンチップで対応

 新製品は、ARM® Cortex®-M3プロセッサを採用するR-INエンジンと、5ポートを有するギガビットイーサネットスイッチを組み合わせた構成となっている。これにより、通信データのリアルタイム処理と低消費電力を実現するとともに、様々な産業ネットワークプロトコルと冗長ネットワークプロトコルにワンチップで対応可能。

(2)エコシステムの提供により効率の高いソフトウェア開発を支援

 ルネサスは、ユーザの評価用に、新製品を搭載するCPUモジュール、各種周辺機能を搭載したボード、パートナ製プロトコルスタックの試作版を含む汎用APIで構成されるソリューションキットを準備している。

 当社は、EtherCAT、EtherNet/IP、ETHERNET Powerlink、PROFINET、Sercos、CANopen、CC-Link IE フィールドネットワーク Basic(注3)などの産業ネットワークプロトコルを機器へ導入する作業を支援するため、業界をリードするプロトコルベンダと協力しており、PORT GmbH社、TMG Technologie und Engineering GmbH社、CANNON-Automoata、Net Module社などの企業がプロトコルスタックを提供する。

 ルネサスは、性能のトレードオフなしに様々な産業ネットワークプロトコルを統一してサポートする汎用APIを提供する。これに、対応するプロトコルを組み合わせることにより、ユーザは産業ネットワーク機器の開発時間を最大50%短縮できる(注4)

 さらに、高度なアプリケーション開発をサポートするために、ユーザはIAR Systems®のコンパイラであるEmbedded Workbench®や、Linux®、Wind River®社のVxWorks®、Express Logic社のThreadX®といったリッチなOS環境を利用可能(注5)

(3)ハイエンドからローエンドまで3つのラインアップでスケーラビリティを提供

 新製品は、スケーラビリティにより、幅広い性能レンジの産業機器を統一アーキテクチャでサポートする。これにより、ソフトウェア資産の再利用が容易となるため特定のニーズに合わせたプロセッサの選択が可能となる。

 RZ/N1Dグループはネットワークスイッチ、PLC、ゲートウェイなどのハイエンドアプリケーションに適している。RZ/N1SグループはナノPLCやオペレータターミナルなどのミッドレンジアプリケーションに適している。RZ/N1Lグループは主に産業機器の通信部およびリモートI/Oユニットなどのスレーブ機器のアプリケーションに重きを置き、コンパクトで低コストな機器開発が可能。

 ルネサスは、新製品を、工場ネットワークにおいて主要な産業ネットワークプロトコル、最新の冗長ネットワークプロトコルに対応可能なワンチップソリューションと位置づけ、拡販活動を展開してまいります。

 新製品の主な仕様は、 別紙(210KB)をご参照ください。

 ルネサスは、本年3月14日から16日にドイツ・ニュルンベルクで開催される組み込み機器の専門展「Embedded World 2017」の当社ブースで新製品のデモンストレーションを紹介する予定です。 

RZ/Nシリーズの製品情報は、​https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rz/rzn/rzn1d.htmlをご覧ください。

以 上

(注1) 販売開始日程は国や地域により異なります。

(注2) R-INエンジンは、32ビットマイコンとリアルタイムOSアクセラレータ、イーサネットアクセラレータを統合した、ネットワークのソフトウェア処理を効率的に実行する当社独自のIP(Intellectual Property)です。

(注3) 順次対応予定。

(注4) ルネサス調べ。

(注5) ルネサスは、Linuxのサンプルコードを提供していますが、すべてのオペレーティングシステムはそれぞれの所有者から提供されています。

* EtherCATは、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。PROFINETは、PROFIBUSおよびPROFINET International (PI)の登録商標です。Sercosは、SERCOS International e.Vの商標です。CANopenはCAN in Automation e.V.の登録商標です。EtherNet/IPはODVAの商標です。ETHERNET Powerlinkは、ETHERNET Powerlink Standardization Groupの登録商標です。ARMおよびCortexは、ARM Limited(またはその子会社)のEUまたはその他の国における登録商標です。All rights reserved. Linuxは、米国及びその他の国におけるLinus Torvaldsの登録商標または商標です。IAR Systems、IAR Embedded Workbenchは、IAR Systems ABが所有権を有する登録商標です。Wind River、VxWorksは、Wind River Systems, Inc.の登録商標です。ThreadXは、Express Logic社の登録商標または商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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