~動作保証されたソフトウェアパッケージと、ソフトウェア開発者が使いやすいAPIにより、IoT製品や組み込み機器の早期市場投入、TCOの低減、時間や労力、費用などイニシャルコストの極少化を実現~
2015年6月16日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび、成長を続けるIoT (Internet of Things)や組み込み機器市場に向け、ユーザが開発する製品の早期市場投入、製品開発とメンテナンスにかかる総費用(Total Cost of Ownership、以下TCO)の低減、時間や労力など開発着手の際のイニシャルコストの極少化を実現するため「Renesas Synergyプラットフォーム」を開発しました。この新たな「Renesas Synergyプラットフォーム」は動作を保証されたソフトウェアパッケージを核とし、ソフトウェア開発者に対して使いやすい API(Application Programming Interface)を提供します。これによりユーザはAPI層からの開発が可能となり、開発期間の短縮や早期市場投入の実現に貢献します。さらには開発期間の短縮により創出されたリソースを製品のイノベーションや付加価値の向上に振り向けることも可能になります。

 現在、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT機器の開発では、通信やセキュリティなどの新規技術の導入が必要になるため、システムの複雑化が進んでいます。この複雑化により、機器開発のTCOが増大する傾向にあります。「Renesas Synergyプラットフォーム」は動作保証されたソフトウェアパッケージをワンストップで提供することにより、ソフトウェアの選定やライセンス契約に伴 うコスト、システム検証コスト、メンテナンスコストを低減します。

 「Renesas Synergyプラットフォーム」は、(1)動作保証されたソフトウェアパッケージ、(2)新しいMCUファミリ(Renesas Synergy MCU)、(3)ツールとキット、(4)ソリューション、(5)ギャラリーで構成されています。中核を成すソフトウェアパッケージには、市場で十分な実績 を持つリアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS)やTCP/IP、USBなどの通信スタック、ファイルシステム、GUI(Graphic User Interface)ライブラリが含まれており、ユーザは量産数の制限を受けずにこれらのソフトウェアを使用することができます。本プラットフォームに関する技術サポート、ライセンス契約もルネサスが一元化して行うため、ユーザはこれまで複数の企業との調整等に費やしてきたコストや時間を軽減することができます。

 「Renesas Synergyプラットフォーム」は2015年中に発売を開始する予定で、価格は未定です。

 「Renesas Synergyプラットフォーム」を構成する主要な要素は以下のとおりです。

(1) Renesas Synergy ソフトウェアパッケージ

 「Renesas Synergyプラットフォーム」は動作保証された組み込みソフトウェアを使用しており、規格に基づいた検査を実施、すべてのRenesas Synergy MCU上での互換性を保証します。Renesas Synergyソフトウェアパッケージ(SSP)として提供されるソフトウェアは、Express LogicのX-Ware™とルネサスのアプリケーションフレームワークで構成されます。X-Ware™とは、ThreadX®リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)とNetX™/NetX DUO™ IPv4/IPV6 TCP/IPスタック、USBX™ USB Host/Device/OTGプロトコルスタック、FileX® MS-DOSファイルシステム、Windows® ベースのGUIX™ GUIライブラリです。SSPは、IEC/ISO/IEEE-12207ソフトウェアライフサイクルプロセス規格に準拠しています。ルネサスはこのソフトウェアパッケージを公開仕様に則って動作保証し、さらに定期的なメンテナンスとバージョンアップを行います。ユーザは量産モデルにそのまま適用することが可能です。

(2) Renesas Synergy MCU

 「Renesas Synergyプラットフォーム」では、ルネサスの新しいMCUファミリを採用しています。ローエンドのバッテリ駆動製品から複雑な通信やユーザインタフェース・ハブ機器まで、複雑で多岐にわたる組み込み機器を開発するユーザからの要望に応えるため、性能、消費電力、安全性、セキュリティ、暗号技術、コネクティビティなどの各機能における幅広い選択肢をユーザに提供します。

(3) Renesas Synergy ツール、キット

 Renesas SynergyのEclipseベースの統合ソリューション開発環境(ISDE)は、GNUまたはIAR Systems社のCコンパイラに対応しています。また、Express LogicのGUI開発ツールであるGUIX™ Studio、同じく同社のリアルタイムイベント解析ツールであるTraceX®も使用できます。ユーザは安価な開発キットまたはスタータキットを購入す ることで、本格的な開発を始めることができます。

(4) Renesas Synergy ソリューション

 最終製品の開発例やアプリケーション応用例をソリューションとして今後、多数提供する予定です。ユーザはこれらの情報を製品開発の参考にすることができるため、アプリケーション開発のノウハウが無くても簡単に開発を始めることができます。

(5) Renesas Synergy ギャラリー

 複雑化が進むIoT機器、組み込み機器向けのソフトウェア開発では、開発時間を短縮するためにプラグ&プレイ可能なアドオンソフトウェアが切望されています。これに応えるためルネサスは、「Renesas Synergyギャラリー」を用意します。このギャラリーは、クラウド上のライブラリからルネサス製ソフトウェアをシンプルなライセンス形態でダウンロー ドすることができます。さらに、パートナ企業による動作検証済みソフトウェア製品のオンラインライブラリとしても機能します。ユーザは、例えば通信用プロ トコルスタックや、制御アルゴリズム、そしてセキュリティ機能など、「Renesas Synergy プラットフォーム」に準拠したソフトウェアを、このギャラリーから簡単にブラウズ、ダウンロードすることができます。

 ルネサスは、従来からの半導体デバイスの提供に加えて、「Renesas Synergyプラットフォーム」を提供することにより、アプリケーション・サービスレイヤに強みを置く企業や、設計リソースや時間に制約のある企業のシステム機器開発を推進し、IoTや組み込み市場への参入を加速させ、市場の拡大と活性化に貢献します。

 Renesas Synergyプラットフォームの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/synergy.htmlをご覧ください。

以 上


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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