パワートレイン向けとして業界初の40nmマイコン「RH850/E1xシリーズ」および専用の電源管理ICを製品化

~キットソリューション提供で先端車載制御設計の開発工数削減に貢献~

2014年03月24日

ルネサス エレクトロニクス株式会社

 

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび 自動車のエンジン制御やトランスミッション制御等のパワートレイン制御向けとして回路線幅に業界で初めて40nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)プロセスを採用した32ビットマイコン「RH850/E1xシリーズ」を2品種開発し、「RH850/E1M-S」、「RH850/E1L」の名称で、本年6月からサンプル出荷を開始します。また、専用の電源管理IC「RAA270000KFT」のサンプル出荷を同日程で開始します。

 マイコン新製品は、(1)業界初の40nm先端プロセス技術と、フラッシュメモリに当社独自のMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)構造を採用することで大容量メモリの搭載を実現。(2)世界最高速 (注1)となる動作周波数320MHzを低消費電流(ターゲット値500mA)で実現。(3)実績ある90nm世代のパワートレイン用周辺機能の強化により高性能な制御が可能、などの特長を有しております。また、車載用途で求められる高温環境下(Tj=150℃、 注2)での高性能、高速処理制御を実現しています。

 電源管理IC新製品は、RH850ファミリ仕様に合わせた専用設計で開発されており、マイコン動作に必要なすべての電源、2つの外部センサ電源用トラッカおよび各種状態監視・回路診断機能を集積しているのが特長です。

 ユーザーは、これらの新製品をキットで使うことにより、エンジン制御など車載制御アプリケーションの開発設計の負担を軽減できるため、開発期間の短縮が可能になります。

 新製品の量産は、2016年3月より開始し、2017年3月にそれぞれ月産50万個を計画しております。新製品のサンプル価格はRH850/E1M-Sと電源管理IC各1個を合わせて10,800円となっております。

 

 近年、自動車分野では環境保全への対応として排ガス規制がますます厳しくなっています。そのため、エンジンやトランスミッション等のパワートレイン制御機器では、低排出ガスに向けた新たな機能やよりきめ細かな制御が求められています。これに伴い、パワートレイン制御用マイコンには、より一層の処理性能向上と、大規模化するプログラム容量、つまりプログラム格納用内蔵メモリの大容量化へのニーズが高まっています。当社はこれまでパワートレイン制御向けに「SH725xシリーズ」に代表される32ビットのフラッシュマイコンを多数量産し、2013年の世界シェアは36%(当社調べ)と業界第一位を獲得しております。

 このような状況のもと、ルネサスは従来製品で培った技術と経験を基に、最先端の40nmプロセスを採用し、高性能かつ大容量メモリを搭載したマイコンとして、リアルタイム制御に優れた新製品を開発しました。

 一方、マイコンの高性能化に伴い、マイコン電源の仕様は2系統以上が必要とされ、電源間の起動順番や時間制約が複雑になってきました。そのため、従来どおりマイコン電源を汎用電源ICと周辺ASICで実現する手法は、開発や検証におけるユーザー負担となってきております。このたびルネサスが提供するキットソリューションは、このような負担を軽減するものとして開発したものです。

 

 新製品の特長の詳細は以下の通りです。

 

(1)40nmプロセス技術と確立したフラッシュプロセスの採用で大容量メモリの搭載を実現

 最先端40nmプロセスに加え、フラッシュメモリに量産実績を多数保有する当社独自のMONOS構造を採用しているため、高速読み出しかつ低消費電力を実現。

 なかでもRH850/E1M-Sは、4MB(メガバイト)の大容量フラッシュメモリの内蔵により、エンジンやトランスミッションをきめ細かく高精度に制御するために大規模化しているプログラムの格納が可能。加えて、データ格納用途向けにEEPROM (Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)とほぼ同等機能のフラッシュメモリを64KB(キロバイト)内蔵している。この大容量フラッシュメモリを使用することで、データ格納用の外付けメモリが不要となるためシステムの低コスト化を図れる。

 

(2)世界最高速となる動作周波数320MHzのCPUをマルチコア化

 40nmプロセスの採用により、メインCPUはハイエンドパワートレイン制御向けにTj=150℃下で世界最高速の動作周波数320MHzを実現するため、より高精度な制御が可能となっている。またメインCPUに加え周辺制御用CPUを搭載し、マルチコア化することで、スケーラブルなCPU構成を採用。さらに、メインCPUには自動車用機能安全(ISO26262)対応を考慮し、ロックステップ方式(注3)を採用している。

 

(3)パワートレイン制御向け周辺機能の充実

 燃費向上や排ガス対策に直接関係するため、パワートレイン制御には、きめ細かな制御が求められている。これらのニーズに対応するためマイコン新製品には、エンジンやトランスミッション制御に有用な多機能タイマユニットATU-Ⅳ(Advanced Timer Unit-Ⅳ)や高速12ビットA/D変換器などを搭載しており、様々な運転状況に応じたエンジン制御が可能となる。

 ①⊿Σ型(デルタシグマ)A/Dコンバータ(注4)とDFE(Digital Filter Engine、注5)の搭載により高精度ノック制御(注6)が実現可能

 ⊿Σ型A/Dコンバータには、外付け部品点数削減のため、PGA(Programmable Gain AMP、注7)やオーバーサンプリング機能(注8)を搭載。またDFEと組み合わせることでCPUの処理負荷を低減できる。

 ②ATU-ⅣとAPA(Autonomous Pulse Adapter、注9)によりきめ細かなエンジン制御が可能

 実績あるエンジン制御用タイマATU-Ⅲ(Advanced Timer Unit-Ⅲ)をさらに進化させたATU-Ⅳを搭載。従来からのソフトウェア互換性を保ちつつ、高精度かつきめ細かなエンジン制御を実現できる。

 また、新たにハードウェアシーケンサ付きパルス出力用タイマAPAの搭載により、CPU処理負荷を低減しつつ、ΔΣ型A/Dコンバータと連携して電流フィードバック制御等を実現できる。

 

(4)機能安全対応(ISO26262)に向け、安全機構を多数搭載

 近年、自動車に搭載される電気・電子機器の増加に伴い、機能安全規格への取り組みが重要になっている。マイコン新製品ではフラッシュメモリに代表される各種メモリに対し、ECC(Error Check and Correct、注10)機能によるデータの誤り訂正・検出が可能。ECM(Error Control Module、注11)を搭載しており、各モジュールからのエラー信号入力に対してエラー端子出力やリセット発生等の設定が可能であるため、システムの安全性確保に貢献する。また、CPUコアの故障検出のためのセルフテスト・プログラムも提供する予定となっている。

 これらマイコン新製品の豊富な診断機能とコア診断ソフトに加え、電源管理IC新製品のウオッチドッグ、電源監視機能、リセット生成機能などを使用し、ユーザーの「機能安全」の実現を支援する。

ルネサスは新製品を、パワートレインなど機能安全を伴う高機能な自動車制御向けキットソリューション提供の第一弾と位置づけ、拡販活動を積極的に推進してまいります。

 

 新製品の主な仕様は 別紙をご参照下さい。

 

RH850/E1M-Sの製品情報は、 https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rh850/rh850e1x/rh850e1ms.htmlをご覧ください。

RH850/E1Lの製品情報は、 https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rh850/rh850e1x/rh850e1l.htmlをご覧ください。

 

以 上

 

(注1) 2014年3月24日時点。パワートレイン向けのマイコンとして世界最高速の動作周波数を実現する。

(注2) Tj:ジャンクション温度。

(注3) ロックステップ方式:2つのプロセッサで全く同じ処理を実行し、その差を検出する方式。

(注4) ⊿Σ型A/Dコンバータ:非測定電圧をサンプリングして積分し、一定電圧の基準電圧と比較(微分)しながらデジタルに変換する方式。逐次比較型より高分解能な変換を行うことが可能。

(注5) DFE:内蔵ADコンバータから取得した連続するデジタルデータに対し、自動でフィルタリングする機能。

(注6) ノック制御: エンジンの異常振動を検知し、点火時期を遅らせノッキングを回避する制御。

(注7) PGA:アナログスイッチ等を用いて増幅率(利得)を外部から設定できるようにしたアンプ。

(注8) オーバーサンプリング処理:アナログ信号をデジタル信号に変換する際、通常のサンプリング周波数を整数倍した、より高い周波数での処理。

(注9) APA:複雑なパルス波形をCPU の介在なしにリアルタイムで生成することができ、エンジン制御に応用できる。

(注10) ECC:メモリに誤った値が記録されていることを検出し、正しい値に訂正すること。

(注11) ECM:様々なエラーソースやモニタ回路で発生するエラー信号に対し、割り込みや内部リセット信号を発生するモジュール。

 

*  本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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