~車載・モバイル・産業機器向けに、リアルタイム映像伝送に適した最小1msの処理遅延を実現~
2013年3月7日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、このたび、ハイビジョン画像等に対応した車載情報端末やスマートフォン、タブレットなどのモバイル機器、および産業機器等向け に、低遅延処理に対応したマルチフォーマットビデオコーデックハードウェアIPを開発し、2013年4月よりサンプル出荷を開始いたします。

 新ハードウェアIPは、(1)車載エンタテインメントシステムのリアシートディスプレイへのワイヤレス伝送やテレビ会議システムなど、映像のリアルタイム伝 送に適した最小1msの低遅延処理の実現、(2)マルチフォーマット対応の拡充としてWEBサービスでの展開が期待されるVP8™ 動画コーデックのエンコード機能への対応を追加、(3)当社従来ハードウェアIP比2倍となるフルHD解像度(1920×1080)の60フレーム/秒(以下1080p60)の性能、などの特長を有しております。

 加えて、新ハードウェ アIPは、当社モバイル向け従来SoC(System On a Chip、以下システムLSI)搭載IPと同等レベルのハードウェア規模・低消費電力や、128ビット幅の広帯域のデータバスの対応,Android™ モバイルテクノロジープラットフォーム等が採用する画像フォーマットの対応等を実現しています。これらの特長により、様々なアプリケーションで用いられるビデオエンコード及びデコードを単一ハードウェアで処理することができるため、高いコストパフォーマンスを提供できます。

背景

 車載情報端末やスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器の高性能化から、従来の映像コン テンツの記録や視聴だけではなく、それらの機器間で複数の映像を伝送する要求が高まってきています。それらを実現する手段として、映像の圧縮・伸長を伴うピアツーピアのビデオ伝送があります。その圧縮・伸長をおこなうビデオコーデック技術は、従来からある動画圧縮規格の拡充や性能向上・省電力化に加えて、 極めて低い処理遅延の実現が必要とされています。

 こうしたニーズに対応するため当社では、リアルタイム映像転送に適した低遅延処理を実現するハードウェアIPを開発・製品化したものです。

特長

 新ハードウェアIPの主な特長は以下の通りです。

(1) 最小1msの処理遅延を実現

データ制御方式の最適化により、データの入力開始から対応する出力が開始するまでの遅延 が、最小1msとなるコーデック処理を実現します。これにより、無線による映像伝送システムや高品位ビデオ会議システムなど、リアルタイムで圧縮された映像データを低遅延で伝送することが要求されるシステムの開発が可能です。

(2)対応する動画像圧縮規格を強化

従来のH.264 AVC、MPEG-4、MPEG-2等に加えて、新たにVP8のエンコード機能を追加し、インターネットコンテンツへの対応を強化しています。また H.264 MVCによるフルHDのステレオ3Dコンテンツの記録も対応しています。デコード機能は、当社従来ハードウェアIPと同等の規格に対応しており、様々なコ ンテンツの再生が可能です。

(3)ハードウェア規模・消費電力そのまま、当社従来比2倍へ性能を強化

当社従来ハード ウェアIP比の2倍となるフルHD映像の60フレーム/秒相当(以下1080p60)のエンコード・デコード処理性能を、従来同等のハードウェア規模と消費電力で実現しています。圧縮トランスコードやビデオチャットなど、同時に複数の映像をエンコード・デコードすることが要求されるアプリケーションを、単一のハードウェアIPで実現可能です。

 当社では、車載・モバイル・産業機器分野向けIPと位置づけ、今後 積極的な拡販を行っていきます。合わせて、Linux®、Android、Windows® Embedded Automotiveなどの汎用OSで動作するOpenMAX™ ILに準拠したミドルウェア群を製品化していきます。

 また今後、高解像度化・高ビットレート化等の性能向上や次世代動規格HEVCの対応等の動画圧縮規格の充実化を図るとともに、リアルタイムビデオ伝送に最適なIP開発を進め、市場のニーズにタイムリーに対応していきます。

 新ハードウェアIPの仕様は、別紙をご参照ください。

以 上

*VP8,AndroidはGoogle Inc.の商標です。 Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

Windowsは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。

OpenMAXおよび関連するロゴはKhronos Group Inc.の商標です。

その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする