太陽光発電や産業用モータ等の省電力化に貢献する、650Vと1250V用低損失のパワー半導体「第7世代IGBTシリーズ」を発売

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~低損失化に有効な飽和電圧を低減し、650V品で1.6V、1250Vで1.8Vを10マイクロ秒の高負荷短絡耐量と共に実現~

2012年07月11日

ルネサス エレクトロニクス株式会社

 

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、高電圧・大電流を扱う太陽光発電のパワーコンディショナ(電力変換装置)や産業用モータの大電流インバータ(直流を交流に電力変換する装置)など、高電圧・大電流を扱う機器向けに、使用するパワー半導体(IGBT)として、このたび業界世界最高レベルの高性能を実現した当社の第7世代IGBTシリーズを製品化し、650V対応の「RJH/RJP65Sシリーズ」と1250V対応の「RJP1CSシリーズ」など13製品を本日より順次サンプル出荷を開始いたします。

 

 新製品は、(1)電力の低損失化の指標となる飽和電圧(IGBTの動作に必要な電圧)(注1)を当社従来の1.8Vから1.6Vに約12%低減し(650V品の場合。1250V品は2.1Vから1.8Vに低減)、かつ(2)IGBTでは重要な破壊耐量である負荷短絡耐量(注2)も改善し、10マイクロ秒(μs)以上を実現しています。このため、機器の低消費電力化と安定動作の両立に貢献できます。また、様々な機種に対応すべく、30Aから200A(Tc=100℃時)までの豊富なラインアップを揃え、出荷形態も「RJH65Sシリーズ」はパッケージ、それ以外はウエハ/チップを揃えております。

 新製品の量産は2012年9月から順次開始し、2013年4月には月産50万個を生産予定です。今後、積極的な拡販活動と併せて、製品シリーズのラインアップ展開を推進してまいります。

<背景>

 近年、環境保全等のために様々な電気機器における省エネ化や、太陽光、風力発電などのクリーンエネルギーへの転換が進められております。特に、ルネサスが取組みを強化しているスマート社会市場では、太陽光発電や、水流ポンプ、大電流インバータ制御モータ等の高電圧・大電流機器における省電力化が強く推進されており、電力を直流から交流に変換する際に使用されるIGBTにも大幅な低損失化が要求されております。しかし、低損失化のキーとなる飽和電圧は、大電流機器で要求される高い負荷短絡耐量とはトレードオフの関係にあるため、太陽光発電のパワーコンディショナ等で要求される負荷短絡耐量10マイクロ秒を実現した場合、さらなる低損失化は困難でした。 

 上記のニーズに対応するため、ルネサスは、これまで数多くの低損失IGBTを量産した設計ノウハウと、高効率化が図れる極薄ウエハ技術を用い、低飽和電圧と高負荷短絡耐量を両立した高性能IGBTを製品化したものです。

 

<製品について>

 新製品の主な特長は次の通りです。


(1)650V品で1.6V、1250V品で1.8Vの低飽和電圧を実現し、機器の省電力化に貢献

ルネサスの独自技術である極薄ウエハ構造を本用途にも採用し、(1)650V品の飽和電圧を当社従来の1.8V(標準値)から1.6V(標準値)に、1250V品では2.1Vから1.8Vに、それぞれ約12%および約15%低減しています。これにより、導通損失を低減できることから、機器の省電力化が図れます。


(2)高負荷短絡耐量10マイクロ秒を実現し、機器の高信頼化に貢献

大電流用途で必要とされる高負荷短絡耐量を表面セル構造の最適化技術により、当社従来品の8マイクロ秒(μs)から10μs以上まで向上しています。これにより、大電流インバータ等で必要とされる耐量を確保できます。


(3)高速スイッチング化を実現

表面構造の最適化により帰還容量(Cres)(注3)を当社従来品から約10%低減して高速スイッチング化を図っており、電力変換回路の高効率化が図れます。

 

 これらにより、特に太陽光発電パワーコンディショナの大電流インバータ部や、産業用途などのインバータ制御モータに多用される3相インバータ回路などの低損失化と安定動作の両立に貢献いたします。

 また新製品は、業界標準パッケージであるTO-247Aを採用した「RJH65Sシリーズ」とユーザの基板への直接実装や、周辺部品とのモジュール化等に対応するため、ウエハ/チップ出荷形態を標準仕様とした「RJP65Sシリーズ」および「RJP1CSシリーズ」を揃えており、製品展開を図ってまいります。

 サンプル価格は、コレクタ電流や出荷形態などにより異なりますが、例えば定格コレクタ電流が表面温度 (Tc)100℃時100A(25℃時200A)でウエハ出荷の650V「RJP65S06DWA」はチップ1個が350円、1250Vの「RJP1CS06DWA」はチップ1個が400円となっております。

 

 ルネサスは、マイコンとアナログ&パワーデバイスのトータルソリューションの提供によるユーザへの貢献を目指しており、パワーデバイスでの世界トップグループに入るべく新製品の高性能「第7世代IGBTシリーズ」を高耐圧パワーデバイスの中核製品シリーズとして位置付け、今後も製品展開を強化してまいります。 併せて、新製品とRL78、RXファミリ等のモータ、インバータ制御用のマイコンや、パワーデバイス駆動用のフォトカプラ等とのキットソリューションの拡充を進めるべく、今後、新製品を搭載したリファレンスボードなどを準備し、ユーザにおけるキット評価やセット設計のサポートを進めてまいります。

 

 なお、ルネサスは7月11日から7月13日まで、東京ビッグサイトで開催される「第27回電源システム展」に出展し、新製品をパネル展示いたします。

 

新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

 

以 上

 

(注1)飽和電圧 VCE(sat): IGBTの性能を示す最も重要な指標で、動作状態におけるコレクタ-エミッタ間の電圧を示し、小さいほど、素子に電流を流した際の導通損失が小さい。

(注2)負荷短絡耐量(tsc): IGBTの破壊耐量を示す指標の一つで、負荷短絡により、IGBTに無制限に電流が流れた場合、破壊し ないで耐えられる時間を示し、一般的に大電流、高信頼性の用途ほど、高い耐量を要求される。

(注3)帰還容量 (Cres): IGBTの構造的に付加される容量値で、一般的にゲート-コレクタ間の容量に左右され、小さいほど高速なスイッチングが可能。

 

* 本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

 


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