2011年8月12日

 ルネサス モバイル株式会社(代表取締役社長:川崎 郁也、以下ルネサス モバイル)とアンリツ株式会社(代表取締役社長:橋本 裕一、以下アンリツ)は、このたび、3GPP(注1) のRAN5(注2)が規定したMIMO(注3)テストケース(試験項目)を共同開発し、業界で初めて3GPPから認証されたことを発表いたします。

 本MIMOテストケースにより、データ転送容量増大を可能にするMIMO技術の市場浸透を図り、ユーザによるMIMO認証システムの開発期間短縮に貢献できます。

 MIMOはスループット(注4)の拡張とネットワーク容量を増大できる無線通信技術であり、各種移動通信ネットワークで利用可能となっていますが、これまで各移動通信ネットワーク間での相互接続性とMIMO機能の一貫性を保証する公的な認証条件は規定されていませんでした。

 3GPPは、この課題を解決し、MIMO技術の一層の市場浸透を図るために、端末メーカーや通信事業者の受け入れ試験用途で必要な認証規格を策定しました。

 ルネサス モバイルのモデムチームは、設立(注5)以前のノキア・コーポレーション(以下ノキア)ワイヤレスモデム事業部の頃より、アンリツと移動通信方式の認証テストケースの開発で協業しており、認証テストケースを用いた通信用半導体チップセットの開発は、現在もルネサス モバイルの強みとなっています。

 また、アンリツは、認証テストケースの開発に注力しており、世界各国の通信事業者、端末・チップセットメーカーに、各種コンフォーマンステスト(注6)システムを納入しています。

 ルネサス モバイルとアンリツは、MIMO規格においても強力な協業関係を生かし、テストケースを共同開発し、このたび本テストケースが試験規格に合致していることの認証を3GPPから取得しました。

 ルネサス モバイルは、MIMOテストケースを搭載したアンリツの測定システムを用いて、通信用半導体チップセットを評価します。これにより、ルネサス モバイルはユーザに3GPPのMIMO認証を取得したチップセットを提供することが可能となりました。 本チップセットを使用することにより、端末メーカーは開発製品の3GPPによる認定を迅速に受けることが可能となることから、短期間で製品を市場に投入できるようになります。なお、ルネサス モバイルの製品はMIMOに加えてDC-HSPA+(注7)もサポートしています。

 ルネサス モバイル株式会社常務取締役のヘイキ・テンフネン(Heikki Tenhunen)は、次のように述べています。
 「認証テストケースにおけるルネサス モバイルとアンリツの業界最高レベルの協業は、当社モデムチームがノキアのワイヤレスモデム事業部であった時代から、製品開発手法の中核となっていました。今回のMIMOテストケースにより、当社は端末メーカーが製品認証にかかる時間の短縮化に貢献でき、通信事業者に端末の品質と完成度の高さを提供できます。」

 アンリツ株式会社R&Dディレクターのマイク・リー(Mike Lee)は、次のように述べています。
「トップレベルのモデムチームと協業したことにより、当社は業界で初めて、最先端かつ複雑なMIMOテストケースの導入に成功しました。アンリツの柔軟で十分な機能を備えた測定システムはMIMOのような新しい機能が規格に準拠していることを証明でき、チップセットメーカーがこうした新たな機能をいち早く市場に提供することを可能にします」

ルネサス モバイル株式会社について

ルネサス モバイル株式会社は、ルネサス エレクトロニクス株式会社の完全子会社であり、携帯電話、カーインフォテインメントソリューション、家電、および産業用途へ、高度で革新的な製品とサービスを提供しています。ルネサス モバイルは、通信分野向けを主とする半導体チップセットを開発、生産、供給し、これらのチップセットに搭載されたハードウェアとソフトウェアのプラットフォームを、各市場のお客様のニーズを満たすよう完成させる事を使命としています。ルネサス モバイルは、パワフルなアプリケーションプロセッサ、リーダーシップと業界基準のセルラーモデム、高度に統合された高周波デバイス、およびインテリジェントなパワーマネジメントソリューションを含む、完全なセルラーチップセットプラットフォームソリューションを提供します。また、フラッグシップ装置をより迅速に開発するための、完全なシステムとソフトウェアの専門知識をお客様に提供しています。

アンリツについて

アンリツ株式会社 は110年以上にわたり、革新的な通信ソリューションを提供し続けてきました。主力の計測事業では、無線計測器、光計測器、マイクロウェーブ/高周波計測器、デジタル計測器、オペレーションサポートシステムなどを提供しており、最先端の情報通信システムの研究開発、製造、建設、保守で使用されています。また、通信関連の製品やシステムに組み込まれるマイクロウェーブ/高周波用の精密部品、光デバイス、高速デバイス、OSSモニタリング事業も展開しており、既存および次世代の有線・無線通信システムで必要とされるソリューションを網羅しています。

詳しい情報は www.anritsu.com にてご覧いただけます。

以 上

用語解説

(注1)3GPP:3rd Generation Partnership Project
第3世代携帯電話システムの標準化プロジェクト。

(注2)RAN5:
3GPPの技術を検討するワーキンググループの一つ。携帯端末、チップセットのコンフォー マンステスト規格を策定している。

(注3)MIMO :Multi Input Multi Output
複数の送受信アンテナを使用し、データの送受信を行う無線通信技術。

(注4)スループット:
ある一定時間内に処理できるデータ量。通信分野では実効的な通信速度の意味でも使用される。

(注5)ルネサス モバイル設立:
ルネサス モバイルは、ルネサス エレクトロニクスがノキア・コーポレーションより買収したワイヤレスモデム事業と自社のモバイルマルチメディア事業を承継する形で設立した会社であり、2010年12月から営業を開始している。

(注6)コンフォーマンステスト:
3GPP規格に準拠した基地局と携帯端末との相互接続性を保証するための試験。

(注7) DC-HSPA: Dual Cell- High Speed Packet Access

複数の基地局...周波数帯を利用してデータ転送を高速化する規格の一つ。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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