~TV、ブルーレイディスクレコーダ、エアコンなどの家電機器向けに、業界トップクラスの低消費電力と小型化を実現~
2010年12月2日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、TV、ブルーレイディスクレコーダ、エアコンなどの家電機器向けに、家電用RFリモコンの国際規格ZigBee/RF4CE(注1)に対応し、業界トップクラスの低消費電力で指向性のない双方向無線通信を実現する小型フラッシュメモリ内蔵マイコン「R8C/3MQグループ」を製品化し、2010年12月よりサンプル出荷を開始します。

 「新製品は、(1)安定した送受信と低消費電力化を実現するために新規開発したZigBee/RF4CE対応RFトランシーバ回路の内蔵により、送信時18mAと業界トップクラスの低消費電力を実現、(2)1.8Vで書き換え/消去が可能な最大128KバイトのフラッシュメモリとBGO(バックグラウンドオペレーション(注2))機能付き4Kバイトのデータフラッシュ(注3)内蔵、および(3)6mm角と業界最小クラスの小型パッケージを実現しました。これにより、TVなどの双方向無線通信を採用した機器の「低消費電力化」と「省スペース化」に貢献します。サンプル価格は、1個あたり600円となっており、量産は2011年6月から開始し、月産50万個を計画しております。

 最近、TVの大型化に伴い、従来の指向性のある赤外線リモコンは、受光部の位置がわかりづらくチャンネルが切り替わらないことがある、有料コンテンツやインターネットショッピングの普及による課金を伴う双方向通信ができない、といった課題があります。このような課題を解決するため、ZigBee Allianceが家電機器に適した双方向無線通信対応の規格としてZigBee/RF4CEをリリースしています。ZigBee/RF4CEは、TVの他にエアコンなどにも採用可能であり、温度、電力の使用量などのデータをリモコンへ送信し、「エネルギーの見える化」を実現することにより、電力使用量を把握して省電力への取り組みをサポートすることも可能です。
 ルネサスでは、2004年より低消費電力と豊富なネットワークを構成することが可能となるZigBeeに注目してソリューションを提供してきましたが、家電機器に適したZigBee/RF4CEを採用した双方向無線通信機器の市場が拡大しつつあることに注目いたしました。これらに搭載するLSIには、「低消費電力化」と「省スペース化」の要求が強くなってきています。このような要求に応えるため、今回「R8C/3MQグループ」を製品化しました。主な特長は以下のとおりです。

(1)業界トップクラスの低消費電力を実現

 新規開発したZigBee/RF4CE対応RFトランシーバ回路を内蔵することにより、送受信時の消費電力を従来製品(M16 C)の約55%に削減し、送信時18mA、受信時25mAを実現しております。さらに無線通信特性として受信感度-95dBm、送信出力レベル0dBmを達成しており、IEEE802.15.4の規格である受信感度:-85dBm以下、送信出力レベル:-3dBm以上を満たしております。これにより、システムの低消費電力化と安定した双方向送受信が可能となります。

(2)1.8Vで書き換え/消去が可能な最大128Kバイトのフラッシュメモリを内蔵

 1.8Vで書き換え/消去が可能な最大128Kバイトのフラッシュメモリと4Kバイト(1Kバイト×4ブロック)のBGO機能付データフラッシュを内蔵しております。従来のM16C/6Bでは、フラッシュの書き換え/消去は2.7Vでの動作を保証しておりましたが、低電圧化の強い要求があり、1.8V動作に対応しました。これにより、電池による動作が可能となります。さらに、この動作電圧を下げることで消費電力を削減することができ、家電機器が目指すエコに繋がります。BGO機能はデータフラッシュが1.8Vで書き換え/消去中でもCPUが命令を実行できる機能です。これにより、ユーザはデータフラッシュの書き換え/消去を意識することなくプログラムの開発が容易となります。加えてデータフラッシュを内蔵することで、外付けのEEPROMを削減することが可能となります。

(3)小型パッケージを採用し豊富な周辺機能を1チップに内蔵

 ZigBee/RF4CE対応RFトランシーバ回路、フラッシュメモリの他に、パワーオンリセットやBGO機能付データフラッシュなどの豊富な周辺機能を、40ピン小型(HWQFN)パッケージに搭載しました。パッケージサイズは6mm×6mm×0.75mmで実装面積を従来M16C/6B比約45%に削減しました。これにより、システムの省スペース化が可能となります。

 「R8C/3MQグループ」は、フラッシュメモリ/RAMサイズの組み合わせとして5品種を揃えております。このほかに、評価環境として、ZigBee/RF4CE対応プロトコルスタックソフトウェア、評価ボードを準備しております。

 なおルネサスは、本年12月1日~3日に横浜市パシフィコ横浜で開催される「組込み総合技術展(ET2010)」に新製品を出展いたします。

 新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。

以 上

(注1) ZigBee/ RF4CE:ZigBeeは、ホームネットワークやセンサーネットワークに向けた近距離無線通信ネットワーク規格。ZigBee Allianceにより仕様が策定されている。
・ZigBee Alliance:米国カルフォルニア州に所在する非営利団体。IEEEで規格化されたIEEE802.15.4を物理層として、ネットワーク層とアプリケーションインタフェースの標準化に取り組む。
・ZigBee AllianceのWebサイト:http://www.zigbee.org/
・ZigBee SIGジャパン(略称:ZigBee SIG-J)のWebサイト:http://www.zigbee.org/
また、RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)は、IEEE802.15.4に基づきRF無線通信を家電用リモコンに活用した規格。
・IEEE802.15.4: IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc、米国電気電子学会)における近距離無線によるPAN(Personal Area Network)のワーキンググループ802.15.4で策定された通信仕様。

(注2) BGO機能:データフラッシュの内容書換え時においても、CPUからプログラム格納用フラッシュメモリにアクセスでき、アプリケーションの実行を可能にする機能。

(注3) データフラッシュ:通常外付けのEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などに格納しているデータを格納するための当社独自の内蔵フラッシュメモリ。

*ZigBee は ZigBee Alliance, Inc. の登録商標です。
その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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