~通信および産業向けを中心に、世界No.1シェアを拡大できる市場に注力~
2010年9月30日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、クラウドコンピューティング時代を支える社会インフラストラクチャー(以下インフラ)、特に通信インフラと産業インフラ向けのSoC(System on Chip:システムLSI)事業の強化施策を策定いたしました。

 ルネサスは、本年4月1日にNECエレクトロニクス株式会社と株式会社ルネサス テクノロジが事業統合して発足して以来、事業方針や製品ポートフォリオについて、シナジー効果を最大限に発揮するよう検討を重ねてまいりました。その結果、SoC第一事業本部は、先端プロセス技術や豊富なIP群、高度設計技術、長期安定供給力を技術的優位性として、様々な分野にまたがって拡大成長が見込まれる社会インフラ事業に注力いたします。特に、PCやスマートフォン、携帯端末など多様な機器から、インターネットを介して様々なサービス・アプリケーションを利用できるクラウドコンピューティング社会を支えるインフラとして、市場成長を見込むことができ、かつルネサスが既存の強みをベースに世界No.1シェアを拡大できる、通信インフラと産業インフラ事業に注力します。注力事業へのリソース集中により、SoC第一事業本部の売上高を2010年度から2012年度にかけて年平均で6~7%成長させ、各注力市場でのシェア拡大を目指します。

1. 通信インフラ向けSoCソリューション:ネットワークメモリとUSB向けSoC

 通信インフラとして、現在世界No.1シェア(当社調べ)を有するネットワークメモリとUSB(注1)向けSoCに注力し、更なるシェア拡大を目指します。

 クラウドコンピューティング化の進展に伴い、スイッチやルータなどのネットワーク機器において大容量・高速・低消費電力のメモリが求められています。ルネサスは、事業統合によりQDR/DDR SRAM(注2)、LLDRAM(注3)、TCAM(注4)の主要なネットワーク機器向けメモリ全てを提供できる世界唯一のメーカーとなります。2011年には統合前の両社の技術を融合したQDR SRAMを市場投入するなど、世界No.1の品揃えに加えて、ネットワークメモリと周辺SoCを統合したSoCソリューションの提供を拡大することで、ネットワークメモリにおいて世界No.1である40%のシェアを2012年度には60%に拡大します。

 さらに、様々な機器間で大容量データをやり取りするための必須インタフェースとして、USBの拡大を見込んでいます。ルネサスは、世界に先駆けてUSB3.0ホストコントローラLSIを出荷したリーディングポジションを活かし、ハブコントローラや周辺機器向けのUSB3.0対応SoCを2011年より新たに市場投入し、USB向けSoCにおいて世界No.1である15%のシェアを2012年度には30%に拡大します。

2. 産業インフラ向けSoCソリューション:産業向けSoCとスマートグリッド向けSoC

 工場内のオートメーション化が幅広く進展し、産業機器において、イーサネットをベースとしたネットワーク化が進んでいます。ルネサスでは、生産ライン向けネットワークで強く求められるリアルタイム性と高い信頼性をイーサネットに組み込んだ、産業向け通信規格イーサネットPHYを新たに開発すると共に、イーサネットPHY搭載SoCのサンプル出荷を2010年11月より開始します。同SoC等の販売推進により、産業向けSoCの現在25%(世界No.1)のシェアを2012年度には30%に拡大します。

 また、電力の効率的な利用を目指して、世界各国でこれから普及するスマートグリッド(次世代電力網)市場が注目されています。ルネサスは、イーサネット、ZigBeeやPLC(注5)など多彩な通信機能を搭載したSoCを、電力測定機能を実現するマイコンなどとセットで提供し、今後成長が見込めるスマートグリッド市場へ展開を拡大します。

 ルネサスは、統合シナジー効果として、両社がそれぞれ培ってきた優れた技術を融合し、製品ラインアップ・IPを拡充することで、クラウドコンピューティング社会の実現に貢献いたします。

以 上

(注1)USB: Universal Serial Bus

(注2)QDR/DDR SRAM: Quad Data Rate/ Double Data Rate Static Random Access Memory

(注3)LLDRAM: Low Latency Dynamic Random Access Memory

(注4)TCAM: Ternary Content Addressable Memory

(注5)PLC: Power Line Communication

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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