高集積のTW8844、業界標準の4倍の速度でリアビュー・カメラのライブ・ビデオを瞬時に表示し、後退事故を防止

2017年7月10日

ルネサス エレクトロニクス株式会社(TSE:6723)の子会社であるインターシルは、最新世代の車載SoCとのインタフェースを提供するTW8844 LCDビデオ・プロセッサを発表しました。その高集積化された新しいTW8844は、アナログ・ビデオ・デコーダ、2つのスケーラ、MIPI-CSI2 SoCインタフェースを搭載した初の高精細度(HD)1080p LCDビデオ・プロセッサで、車載インフォテインメント/ディスプレイ・システム向けビデオにおけるインターシルのリーダーシップを活かして開発されました。

TW8844は自動車の後退時による死傷事故防止のための米連邦自動車安全基準(FMVSS-111)準拠リアビュー・カメラ・システムの実現に向けて自動車メーカーが必要としている高い信頼性を提供します。アナログ・カメラ・システムからデジタル・カメラ・システムへの移行を可能にするほか、さまざまなビデオ・インタフェースと最大 1920 x 1080のフルHD LCDパネル解像度をサポートします。TW8844 LCDビデオ・プロセッサはセンター・スタック/ヘッド・ユニット、フル・ディスプレイ・リアビュー・ミラー、インスツルメント・クラスタ・ディスプレイ、後部座席のデュアル・ヘッドレスト・エンターテインメント・システムなどに最適です。TW8844ソリューションの詳細については動画をご覧ください。

全世界の自動車メーカーはすべての新車モデル向けに、リアビュー・カメラ・システムの標準装備化を進めています。米国では高速道路交通安全局(NHTSA)が2014年3月に、児童交通安全法(KTSA)の一環として、重量1万ポンド未満のすべての車両を対象に、自動車メーカーに「後方視認技術」の標準装備を義務付けました。新しいFMVSS-111規則は、クルマのギアがリアに切り替えられた際に、ドライバーがクルマの後方を視認でき、死角を最小化しなければならないことを定めています。この法律は、幼い子供を巻き込むことの多い後退による死傷事故を減らすことを目的としています。FMVSS-111規則は、2018年5月以降に米国内で販売されるすべての新車に対し、リアビュー・カメラの搭載と、ギアをリアに切り替えた際にリアビュー・カメラの表示を2秒未満に行えることを義務付けています。

MIPI-CSI2出力のTW8844ビデオ・プロセッサとBT.656出力のTW8845ビデオ・プロセッサはFMVSS-111規則の要件を大幅に達成しており、クルマの起動から0.5秒未満でグラフィック・オーバーレイが施されたライブ・ビデオを表示します。TW884xは堅牢性の高いリアカメラ・アーキテクチャを採用しており、より複雑になっている今日のセンター・スタック・システム固有の高速起動信頼性に関する課題を克服します。今日のヘッド・ユニットは、オペレーティング・システム(OS)ソフトウェアのフリーズやハングアップにより、表示画像がフリーズしたり、リアカメラによるライブ・ビデオ表示の妨害が発生しがちです。SoCが駆動するオペレーティング・システムが複雑さを増す中で、ソフトウェアのフリーズやハングアップが、より一般的な問題になっています。TW884xはSoCやカメラ出力を監視し、フリーズや破損状態を判断し、こうした課題を解消します。何らかの問題を検出した場合は、SoCをバイパスしリアビュー・カメラのビデオを瞬時に表示します。

インターシルのプレシジョン・プロダクツ担当シニア・バイス・プレジデントのフィリップ・チェスレイは「TW884xのフリーズ検出機能はハードウェアに組み込まれており、スレッシュホールドを超えた場合には割り込み信号を作動させます。これにより、クルマのリアビュー・カメラのFMVSS-111への準拠と、ライブ・ビデオの瞬時表示を実現します」と述べ、さらに「TW884xのリアビュー・カメラ・バイパス・アーキテクチャはカメラとディスプレイ間のシグナルパスを、インフォテインメント・システムのその他の部分からデカップリングします。これにより、自動車メーカーはカメラ・システムに対するISO 26262機能安全規格の取得が容易になります」と語りました。

TW8844 / TW8845ビデオ・プロセッサの特長と仕様

  • アナログまたはデジタルHDカメラからの複数のビデオ入力をサポート
    • 10ビットADC NTSC/PALアナログ・ビデオ・デコーダは差動、疑似差動、シングルエンド・コンポジット・ビデオ入力(2つの差動または4つのシングルエンド)をサポートし、バッテリ・ショート/グラウンド・ショート診断機能を内蔵
    • 各160MHz(1080p)で最大24ビットRGBをサポートする2つの独立デジタルRGB入力ポート
    • 1チャネルまたは2チャネル入力モードで2つのLVDS OpenLDI入力ポート(第2のDRGB入力とピンを共有)。1チャネル・モードでチャネルあたり最大100MHz、または2チャネル・モードで160MHz
    • 1つのフルHD入力(1080p)か、2つのHD入力(720p)のいずれかをサポート
       
  • ほとんどのLCDパネルを駆動するシステム柔軟性を提供
    • 最大24ビットDRGBのTTL/TCON向けLCDパス、最大160MHz
    • LVDS OpenLDI:デュアル・チャネルで、1チャネル・モードの場合チャネルあたり最大100MHz、あるいは2チャネル・モードの場合160MHz
    • TW8844は最大1080pの4レーンMIPI-CSI2出力をサポート、レーンあたり最大1Gb
    • TW8845はSoCに対しBT.656出力をサポート、解像度は最大720p
  • SoCとカメラからの入力を監視するため、フリーズ/異常画像検出診断機能を備えた2つの入力測定エンジン
  • EEPROM高速起動により、外付けマイクロコントローラが不要なレジスタ・プログラミングを可能に
  • 最大1080p(1920 x 1080)解像度の出力向けの2つの独立したH/VスケーラはSoCとディスプレイに異なるデータを出力するとともに、2つの異なるソースの同時プロセッシングが可能。あるいはコンテンツの異なる2つのディスプレイの同時駆動が可能
  • 自動コントラスト調整(ACA)、ホワイト・バランス、ガンマ補正によりビデオ品質を最適化
  • スムーズな入力スイッチングにより、スクリーンのちらつきを発生させずにさまざまな入力ソース間のスイッチングが可能
  • -40~+105℃の動作温度でAEC-Q100 Grade-2に準拠
     

TW8844とTW8845はインターシルのISL78302デュアルLDO、ISL78322デュアル2A/1.7A同期整流降圧レギュレータ、ISL78228デュアル800mA同期整流降圧レギュレータのほか、ルネサスのR-Car SoCファミリとの組み合わせにより、車載インフォテインメント・システム・ボードでTW884x、SoCなどの主要部品向けに電源レールを提供します。

MIPI-CSI2出力のTW8844ビデオ・プロセッサは14 x 20mmの156ピンLQFPパッケージで供給が開始されており、1,000個一括購入時の単価は10.00米ドルです。TW8844と評価ボードの詳細はhttp://www.intersil.com/products/tw8844をご覧ください。

BT.656出力のTW8845ビデオ・プロセッサは14 x 20mmの156ピンLQFPパッケージで供給が開始されており、1,000個一括購入時の単価は9.50米ドルです。TW8845と評価ボードの詳細はhttp://www.intersil.com/products/tw8845をご覧ください。

 

※Intersil、Intersilロゴはルネサス・カンパニーのインターシルの商標または登録商標です。そのほかのブランド名、製品名、マークなどは、それぞれの権利所有者が製品やサービスを表記するために使用している商標または登録商標の場合があります。

 


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