Internet of Things ルネサスが考える、IoT

ストラテジ: 2 of 2

Internet of Things ルネサスが考える、IoT

Autonomy IoTが実現する、モノが自律する時代

Q: ルネサスの考えるIoTが実現する社会とはどのような社会でしょうか。

一言で言うと、人々が今よりもより安心して、快適に暮らせる社会になるということです。すでにIoTの第一波としてスマートフォンや専用端末から送られた大量の情報(ビッグデータ)を分析し活用する動きが、エネルギやヘルスケア、流通、自動車などの分野で始まっています。当社としては、今後はさらに人がネットにつながっていることを意識しなくても、機器同士が自動的につながり、ダイナミックで自律的な情報のやり取りを行うことで、人の暮らしや仕事をサポートしてくれるような社会がIoTの普及によって実現すると考えています。

Q: 市場としてはどのように見ていますか?

A: 今、ネットワークにつながるデバイスは125 億台で、これは世界中で一人当たり1.84 台に相当するそうです。調査会社によれば、今後あらゆる機器がネットワークにつながるようになると、2020 年には全世界で500 億台、一人当たり6.58 台がつながる計算になります。市場として見ても、その規模は製造業やサービス業を合わせると2020年には200 兆円にもなると言われていて、急速な市場の立ち上がりが期待されています。

Creation お客様と連携して、IoT市場を創出する

Q: ルネサスとしてはその中でどの領域へターゲットを絞っているのでしょうか?

A: IoT 市場へ向けては、製造・流通・社会インフラや、あるいは新しい業態の中で、さまざまなデータを活用した新しいサービスが提供されるようになると考えています。当社のお客様は、こうしたサービスを提供する企業が必要とする機器やインフラを開発されていますから、お客様と連携して新しい事業の在り方を一緒に考えながら市場を創出していきたいと思っています。

Q: それは具体的にはどのような製品やソリューションになると考えていますか?

A: 「ITと制御の融合」によるエンド・ツー・エンドのソリューションになると考えています。例えば、見えているニーズとして、トンネルの事故や首都高速道路の老朽化という問題が表面化したことから、道路や橋の状態をモニタリングするシステムが求められています。対象にセンサを取り付けて振動や状況をモニタしますが、当社では、センサからの信号の意味をマイコンが理解して異常があった時のみ無線で知らせることで、ネットワークのトラフィックを低減できるよう、インテリジェント・センシング・モジュールとして開発しています。管理業者は異常の知らせを受け取ってから部品の交換や工事を行えばいいので、安全性を確保できるだけでなく、インフラを維持するコストを大幅に低減できるようになります(図1)。そのためには、いかにインテリジェントな制御を行うか、いかに低消費電力で確実にネットワークにつなげるかが重要になります。

図1:エンド・ツー・エンドのソリューション例

図1:エンド・ツー・エンドのソリューション例

Q: すでに実用化されているのでしょうか?

A: まだ、このインテリジェントなモニタリングシステムは実証実験を行っている段階です。異常なデータとはどのようなデータなのか、まだまだデータの蓄積と分析が必要です。そしてもちろん、そのコストを誰が支払うのか、という課題もあります。橋や道路のモニタリングのように、人が点検する作業をIoTが取って代わるというコスト削減効果があれば普及が進むかもしれませんが、「安全・安心」や「快適」を享受するために、誰がコストを負担するのかは、今後もIoT 普及の大きな課題の一つになると思っています。

Pioneer 業界に先駆けて展開する、IoTソリューション

Q: ではIoTの普及はどの分野から進むとお考えでしょうか。

A: やはり、具体的に効果の見えるような分野です。例えば、工場のIoT 化は大手産業機器メーカが強力に推進していることもあって、グローバルで急速に進みつつあります。IoT 化への第一歩として、中央の生産管理システムから末端のモータまでを産業用イーサネットでつなぐことで、工場全体の生産を最適化するものです。まさしく「ITと制御が融合」したエンド・ツー・エンドのシステムになります。生産効率を高めることこそコスト削減につながり、企業の競争力を高めますから、少人数でしかも低消費電力でスピーディに生産できる効率のよい工場を実現しようとしています。当社では、いち早く産業用イーサネットの各種規格に対応した高速かつ低消費電力なネットワーク用デバイスとモータ制御用マイコンを提供し、パートナ各社様とともにお客様に産業用ネットワークソリューションを提案しています(図2)。

図2: 産業用イーサネット対応デバイスやモータ制御用マイコンなどで構成する、ルネサスの産業用ネットワークソリューション。

図2: 産業用イーサネット対応デバイスやモータ制御用マイコンなどで構成する、ルネサスの産業用ネットワークソリューション。

関連リンク:産業用ネットワークソリューション

ルネサスの新製品:産業用イーサネット通信LSI

産業用ネットワーク

ほかにも、電力の効率化に欠かせない「スマートメータ」へのニーズも高まっています。通信方式が固まった国やエリアから順次普及へ向けて動き出しています。このスマートメータは、高精度に電力を測定できて、メータ自体の消費電力は低く、さらにデータ盗聴や改ざんの脅威にも対応するセキュリティ機能が求められます。ルネサスでは独自の高精度な測定アルゴリズムを搭載し、セキュリティへの脅威にも対応した低電力なソリューションをお客様へ提供しています(図3)。

図3: 高精度かつ高いセキュリティ機能を実現し、さまざまな通信方式に対応する、ルネサスのスマートメータ向けソリューション。

図3: 高精度かつ高いセキュリティ機能を実現し、さまざまな通信方式に対応する、ルネサスのスマートメータ向けソリューション。

関連リンク:スマートメータソリューション

メータ

Experience IoTを実現する、技術と経験

Q: IoTを実現する上で必要な要素技術は何になりますでしょうか?

A: そうですね。IoTに限ったことではないかもしれませんが、私は4つの要素を考えていて、1)モノとモノをつなぐネットワーク技術、2)センサやモータ、各種機器を制御する技術、3)エネルギ効率を高める低消費電力技術、4)そしてセキュリティ技術です。想像してみてください。たとえば先ほど述べたように、工場の無数のモータを正確に連動して効率的に動作させるといった場合は、すべての技術が必要になります。オフィスでも同じです。たとえばセンサが明るさを検知して、その情報をネットワークでつないで効率的に照明を制御して、消費電力を低減します。オフィスの中の人数や動きにあわせて勝手に考えて動くのです。IoTの実現が進めば、照度センサだけでなく、温度や煙、音量、臭いなど、さらに多くのセンサがネットワークにつながって人々が快適に過ごせるよう自律して動くことになりますから、センサを制御する技術と、情報の堅牢性を確保するセキュリティ技術は特に重要だと考えています。

Q: IoT 市場への今後の取り組みを教えてください。

A: 今後のIoT 市場での付加価値の高いサービスは、個々のデータが信頼できるデータでなければなりませんから、特にセキュリティとサービスとの連携が不可欠になります。ルネサスにはICカードやモバイル、自動車のETCなどで培ったセキュリティ技術と経験がありますから、付加価値の高いサービスを提供する支援ができると考えています。それはつまり、私たち一人ひとりが安心してIoTの実現するネットワーク社会の中で快適に暮らしていけるようにすることです。従来からのお客様やパートナ様はもちろん、さらにはエンドユーザにサービスを提供する企業の皆様とも連携して新しいサービスの創出を提案し、拡大の期待されるIoT 市場へいち早く参入し、今後の安心で快適な暮らしの実現に貢献していきたいと考えています。