自動運転・運転支援システム向け高機能安全マイコン(1/2)

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あらゆるシーンでクルマを安全に制御するハイエンドモデルの“自動車用セーフティマイコン”登場(1/2)

クルマの安全機能を一段上に押し上げるマイコンをルネサスが開発した。複数の安全機能の連携を実現する「判断」を担う、システムの頭脳だ。強固な機能安全と運転支援システムのさまざまなニーズを1チップに詰め込んだ、ハイエンドモデルの新シリーズ「RH850/P1x-C」マイコンを紹介しよう。

1、複数安全機能の連携がクルマの安全性をレベルアップ

電子化が推し進めるクルマの安全機能の進化

自動車の電子化により安全機能が急速に進化している。

たとえば、前方の車両に急激に接近するとブレーキがかかる「衝突被害軽減ブレーキシステム」は、すでにEUでは搭載が義務化されている。ブレーキがかかる(減速する)だけでなく自動的に停車するシステムも、日本では急速に価格低下が進み、最近では5万円程度のオプションとなった車種も目立ってきた。車両価格の低い軽自動車への装備も進んでいる。

クルマの走行速度を一定に保つ従来のクルーズ・コントロール・システムも「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC、Adaptive Cruise Control:車間距離制御装置)」に進化した。先行車との車間距離を一定に保って追従走行を行えるようになった。先行車がいない場合のみ、設定した一定速度での走行を行うものだ。疲労の軽減や燃費改善の効果が期待されている。

低価格化で普及が加速

クルマが車線をはみ出しそうになると、警報などで運転者に知らせる車線逸脱警報装置も、いまや車線を維持するためのハンドル操作をより少ない力で済むようにパワーアシストを行うものが出てきた。「レーン・キーピング・アシスト・システム(LKAS、Lane Keeping Assist System)」の名称が国際的に通用している。

これらの直接的な走行支援策に加えて、道路標識自動読み取りや歩行者自動検知といった情報提供、疲労や居眠りの検知といった運転者支援など、数多くの電子装置が安全運転を支援している。消費者は、従来は考えられなかったこうした安全機能を手軽な価格で手に入れられるようになってきた(図1)。

図1:装備が進む安全機能 衝突被害軽減ブレーキ 急接近すると自動停止 アダプティブ・クルーズ・コントロール 先行車がいると車間を保ち追随 いなければ設定速度で走行 歩行者検知/標識認識 歩行者/標識を検知 レーン・キーピング・アシスト 車線からはみ出ると警報

図1:装備が進む安全機能

安全機能の頭脳「マイコン」

安全機能は、レーダやカメラなどのセンサを用いて情報を得ている。たとえば、赤外線レーザ光の反射時間により測距するレーザレーダ、ミリ波帯の電波を用いるミリ波レーダ、超音波センサを使ったレーダなどが距離や相対速度の測定に用いられる。これらの中から複数のセンサを併用する場合も多い。一方、夜間の歩行者検知のために赤外線カメラが使われたり、道路標識や障害物などの認識には、レーダではなく通常のカメラが使われることも多い。複数のカメラで撮影すればより広い範囲の周囲の状況を認識することもできる。

これらのさまざまなセンサやカメラの情報がマイコンに送られ、処理がなされ、アクチュエータやECUに信号が送られてクルマを安全に制御することとなる。このシステムの要となる頭脳が、マイコンである。

追従していた先行車から落下物が! 隣の車線にも車両が!

複数安全機能の連携―「判断」が決め手

より高い安全機能を実現するための研究開発が加速している。今まで、「前の車を追随する」、「衝突しないようにブレーキをかける」といった一つの機能ごとの性能の向上がなされてきたが、今後は、「先行車との間に突然別の車両が割り込んだ時」や「先行車から落下物があったとき」など、ブレーキだけでは回避できないようなケースにも対応していかなければならない。

そこで、ハンドルを操作する機能も追加することを計画したとしよう。この場合、先行車だけを認識していたのでは不十分だ。クルマの周囲の車両状況、特に接近してくる車両の速度と位置を感知している必要がある。さらには、路肩やガードレールといった道路側の設備との距離も考慮しなくてはならない。これが行えないと、障害を避けようとハンドルを切った結果、他車やガードレールと接触や衝突といった事故につながってしまう(図2)。

図2:今後、複数の安全機能の連携が必要 さまざまなセンサを搭載し、全方位の道路状況やガードレールまでの距離などを監視、安全な回避行動を瞬時に判断する [安全な制御] 路肩に人や障害物がないことを確認して路肩へと車線変更し、安全に停車する [危険な制御] 落下物を回避するために隣の車線へとハンドルを切ると、隣の車線を走行中の車両と衝突してしまう!

図2:今後、複数の安全機能の連携が必要

複数の動作を行おうとすれば、途端に現在の何倍もの情報への対処が必要になる。このような処理を行うためには、複数のセンサからの情報を一箇所に集めて処理する強力なマイコンが必要になる。処理するマイコンが分散してしまうと、通信によるオーバーヘッドが生じ対応が遅れる。素早く確実な「判断」を下すためには、情報を集中させ一つの頭脳=マイコンで処理することが必要だ。