HMIソリューション(1):スマホ並みGUIを組み込み機器に搭載しよう

ソリューション: 11 of 20

シリーズ1:スマホ並みGUIを組み込み機器に搭載しよう

この「ルネサスのHMIソリューション解説」シリーズでは、全3回にわたり、高まり続けるユーザ要求に応える、ルネサスのHMI開発ソリューションを紹介する。初回の今回は、スマートフォン並みの滑らかで美しい2Dグラフィックスを組み込み機器に搭載できるGUI開発ソリューションをご紹介しよう。

製品価値を定める大きなファクターになったHMI

私たちの社会はさまざまな電子機器で溢れている。それらの電子機器に「人が意志を伝え操作する」、そして「電子機器が自らの状態を人に伝える」こと、それが「HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)」と呼ばれる、文字通り、人と電子機器(コンピュータ)をつなぐ技術である。

古くは、メカニカルなスイッチや表示ランプがその役割を果たしていたが、実用的なコンピュータの完成と共にディスプレイやキーボード、マウスといったツールが考案され、HMIの発展が始まった。さらに、タッチキーやタッチパネルなど、その進化は続いている。

こうしたHMIの進化は、家電や工業製品などの組み込み機器の分野に大きな影響を及ぼしている。HMIの良し悪しが、製品価値を大きく左右するようになってきたのだ。人々はスマートフォン並みのHMIに慣れ、より視認性や操作性の高いHMIへと要求を高めている。また、「Internet of things(モノのインターネット)」が社会の隅々まで進んでいくこれから、HMIには「人が意識することがない、社会とのインタフェース」としてのさらなる役割(機能)が求められるだろう。

進化するHMIの開発は、さまざまなセンサやディスプレイをいかに上手く使うかがポイントだ。この「上手く使う」は、組み込みシステムの頭脳を担うLSI(マイコンやSoC)による制御を意味する。組み込み機器の求めるさまざまなHMI機能を実現するために、ルネサスではバリエーション豊かなHMI開発ソリューションを準備し、お客様の開発をサポートしている。

組み込み機器への、高レベル「グラフィカル・インタフェース」要求が高まる

スマートフォンの出現は、ユーザのHMIへの意識、中でもグラフィックスやタッチパネルに対する要求を劇的に高めた。スマートフォンのようなGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)が家電などの民生品だけでなく、医療機器やFA機器など、あらゆる組み込み機器に求められているのだ。

もはやユーザの誰もが高解像度ディスプレイをタップやスワイプなどのタッチで動かす操作感を当たり前としてとらえている。そのため、従来は簡単な液晶表示を搭載していた機器でも、スマートフォン並みのGUIが求められるようになってきた(図1)。

図1:スマートフォン並みのGUIが産業機器へも搭載される(イメージ)

図1:スマートフォン並みのGUIが産業機器へも搭載される(イメージ)

「RZ」マイクロプロセッサが、スマホ並みGUIを可能にする

スマートフォンやタブレットPC、最新のカーナビなどの高度なHMI(GUI)は、主に高性能なマイクロプロセッサ(MPU)やSoC(専用LSI)によって設計されている。そのGUI を組み込み機器に搭載するのは、開発工数でもコスト面でも荷が重すぎるのが現状だ。しかし、昨年、ルネサスが発表したマイクロプロセッサ、「RZ」ファミリが、その業界の常識を覆し、開発の新たな可能性を生み出している。

まずは、滑らかで美しい高精細グラフィックスが、タップ、スワイプ、フリックといったスマートフォンでおなじみのタッチ操作によってキビキビと応答する。その様子を、デモボードを使った動画で実感して欲しい(動画1)。

このGUIデモシステムは、CPUボードとディスプレイ出力用のオプションボードだけで構成している(図2)。スマートフォン並みの滑らかで美しい2Dグラフィックスを実現するシステムとしては、驚くほどシンプルだ。その秘密は搭載しているマイクロプロセッサ「RZ」ファミリにある。

図2:GUIデモシステム構成イメージ</

図2:GUIデモシステム構成イメージ

CPU ボードとオプションボードの詳細はこちら:

このGUIデモシステムでは「RZ」ファミリの中でも、高機能なHMI(GUI)を実現することを意識し、周辺機能を強化した「RZ/A1」グループを搭載している。最大10M バイトの大容量RAMを内蔵しており、ソフトウェアがその容量で収まる場合は外付けDRAMが不要となり、マイコンとROM、そして液晶パネルだけでこの高レベルな2Dグラフィックスが構築可能だ。最大でWXGA サイズ(1280x768)まで対応可能で、内蔵メモリによる高速アクセスは、グラフィックス性能向上と消費電力削減にも貢献する。

また、「RZ/A1」グループでは、グラフィックス性能強化のために、フレームバッファを内蔵し、高速描写を可能にする2D向けオープンAPI仕様「OpenVG1.1」に対応したアクセラレータ(画像処理エンジン)も搭載している。フリック動作やズームイン・ アウト機能なども容易に実現できる。

このデモシステムのCPUボードとオプションボード以外にも、HMI機能評価ボードをはじめ、さまざまなボード製品や開発環境がパートナ様からご提供されている。以下にご紹介しよう。

(1) GUIツール:PC上でGUIデザインが可能

(2) ミドルウェア

(3) LCD評価プラットフォーム

  • コア社 桐ASURAソリューションパック

    RZ/A1H搭載の桐ASURAボードをベースに統合開発環境(IAR)、RTOS(eForce)、各種ミドルウェア(ILC、図研エルミック、グレープシステム、CRI)をパッケージ化したSDKを提供。トータルに組込み表示システム開発をサポート。

(4) その他 評価ボード

  • アルファプロジェクト
  • コンピュテックス
  • シマフジ電機

組み込み機器にリッチなGUIを搭載できる可能性が広がる。ルネサスの実績豊かなサポート体制が心強い。

圧倒的な開発アドバンテージを提供する

「RZ」ファミリだけで、このような2DグラフィックスHMIが構築できることは、お客様にとって大きなアドバンテージとなる。SoC(専用LSI)によるシステム開発では、チップを専用に開発する。そのため、マイコンによる開発と比べると、開発コストは増大し開発期間も長期化するのが一般的だ。システムの実装にも技術と経験が求められる。「RZ」ファミリによる開発では、これらの課題をすべて解決し、ユーザからの高まり続ける要求にすぐさま応える製品開発が可能だ。「Time to Market」が製品価値を定めるいま、コストを抑えて、タイムリーな製品投入を可能にする開発が大きな利益を生む。

ルネサスの提供する2DグラフィックスHMI開発ソリューションは、お客様の組み込み機器の価値向上に確実に貢献する。ぜひ、評価してほしい。

お問合せ

次回の「ルネサスのHMIソリューション解説」シリーズ第2弾では、人感センサからジェスチャ操作まで、さまざまなHMI実現に欠かせないCMOSカメラによるソリューションをご紹介します。

※OpenVG は Khronos Group Inc. の商標です。

RZファミリについて:ルネサスマイコンの使いやすさをそのままにArmコア採用によるハイエンドな組み込みMPU

「RZ」ファミリはArm®社の高性能CPU「Cortex®-A9」を採用し、ルネサスマイコンの最上位にポジショニングされる。最大動作周波数400MHzで、1,000DMIPSを誇る高性能マイクロプロセッサだ。

また、「MPU」でありながら大容量RAMを内蔵しているため、外付けDRAMが不要なことが大きな特長だ。通常、「MPU」でシステムを設計すると、DDR2やDDR3などの高速な外付けDRAMが必要になる。そのため「MCU」による設計では不要な高周波設計やEMC対策が必要になり、開発期間が延びる。また、部品コストと必要な基盤面積も増大し、外付けDRAMの調達リスクも発生する。これらのマイナス面をすべて払拭するのが「RZ」ファミリだ。

さらに、Arm社のCPUを採用していることで、同じCPUを使用している世界中の開発資産の活用も可能だ。OSやコンパイラ、デバッガなどの開発環境のほか、さまざまな開発事例やノウハウがルネサスとArm社、両方のエコシステムから得ることができるのだ。

「RZ」ファミリの過去のEDGE記事はこちら: