R-Carで自動車の運転席はコクピットに進化する

ソリューション: 10 of 20

R-Carで自動車の運転席はコックピットに進化する

ルネサスの車載情報システム用LSI「R-Car」が、第二世代へと進化した。R-Carを搭載する自動車の運転席はもはやコクピットと呼ぶにふさわしい。高画質化するディスプレイ、高度化する運転支援技術など、進化を続ける車載情報システムの開発を実現する、「R-Car」プラットフォーム・ソリューションを車載情報システム事業部の吉田正康が語る。

講演で「R-Car」プラットフォーム・ソリューションを語る 自動車情報ソリューション部の吉田正康

講演で「R-Car」プラットフォーム・ソリューションを語る 自動車情報ソリューション部の吉田正康

車載情報システムの進化が止まらない

より安全で快適なスマートカーの実現に向けて、車載情報システム(CIS)が著しく進化しています。リアルタイムでの走行画像認識や複数のカメラを用いて自動車の真上にカメラがあるように表示するサラウンドビューなどの「車両情報」と、ナビゲーションやディスプレイオーディオなどの「エンタテイメント情報」、さらにクラウド上の動画や走行地域の情報などを得る「IT情報」といったさまざまな情報が統合され、全体が一つのシステムへと融合を進めています。

一方で、さまざまな情報を表示する車載情報システムのディスプレイは、ナビゲーションやメータクラスタ(インパネ)、後方座席用のエンタテイメント用モニターなど、数と種類が増えるマルチディスプレイ化が進んでいます。また、ドライバーの操作や車両の変化に追従させるなど、運転支援のHMI(Human Machine Interface)としての位置づけも強まり、フロントガラスに情報を映し出すヘッドアップディスプレイ等の普及も予測されます。消費者のグラフィックに対する要求も高まり、高精細で洗練された表示が必須となりました。

つまり、車載情報システムの高度化とともに、HMIに優れた、見やすいディスプレイが必要とされるようになり、自動車の運転席は「統合コクピット」へと進化を進めています。

図1:ITSやクラウドサービスと車両情報を連携し、より安全・快適な運転に必要となる情報を多面的に提供する統合コクピット。

図1:ITSやクラウドサービスと車両情報を連携し、より安全・快適な運転に必要となる情報を多面的に提供する統合コクピット。

「R-Car」にもいろいろあります

ディスプレイがマルチ化すると同時に運転支援などの機能も盛り込まれるため、そのシステム開発にはパソコンなどよりも高い情報処理能力が必要になりました。高性能CPUと高性能グラフィック、そしてマルチディスプレイ対応な先進の頭脳が求められています。ルネサスでは、こうした車載情報システムの進化に合わせて、より高性能・高機能化を図った「R-Car」を提供しており、自動車のグレードや地域によって異なる機能要求にお応えするため3つのレベルで展開しています(図2)。

図2:「R-Car」では、世界の4極市場の市場特性とお客様の要求に対応した、エントリーレベルからプレミアムレベルまでの各ソリューション・メニューをご用意している。Hがプレミアム、Mがミッドレンジ、Eがエントリーを意味する。続く数字の2は、第二世代を表している。

図2:「R-Car」では、世界の4極市場の市場特性とお客様の要求に対応した、エントリーレベルからプレミアムレベルまでの各ソリューション・メニューをご用意している。Hがプレミアム、Mがミッドレンジ、Eがエントリーを意味する。続く数字の2は、第二世代を表している。

最先端のコクピットなら―「R-Car H2」―

最もハイエンドの「R-Car H2」は、融合が進む車載情報システムに、運転支援システム(ADAS)を加えた、最新の統合コクピット向けソリューションとして提供します。カーナビやTV/DVDなどのインフォテイメントをはじめ、クラウド連携によるIT情報や、前方や後方視界などの運転支援まで実現します。

最大の特長はCPUに、高性能を追及するArm® Cortex®-A15 Quadを4コア、低消費電力で動作するCortex-A7 Quadを4コア、さらにリアルタイム処理用のSH-4Aを搭載した合計9コア構成のハイスペックであることです。特に、車載情報システム向けLSIとして世界で初めて(*)「big.LITTLEコンピューティング」技術に対応し、低消費電力と高性能を両立しています。一方、リアルタイム処理をSH-4Aに固定することで、運転者支援などに求められるリアルタイム性を保証します。

図3:動作状況に応じてCortex-A15の高い処理性能とCortex-A7の低消費電力性能を動的に切り替えて、低消費電力と高性能を両立している「R-Car H2」。

図3:動作状況に応じてCortex-A15の高い処理性能とCortex-A7の低消費電力性能を動的に切り替えて、低消費電力と高性能を両立している「R-Car H2」。

先進の技術を結集した「R-Car H2」を、高性能で評価を得ていた第一世代の「R-Car H1」と比較すると、2倍以上のピーク性能により応答性能を最大で50%改善し、約2倍の最高性能(25000DMIPS)を有しています。また、最先端のGPU(Power VR G6400)を搭載して、応答速度は 最大10倍の性能向上を果たしました。さらに、最新組み込みAPIの OpenGLES3.0に対応、アンチエイリアスも強化され、より滑らかな線描画を実現しています。

機能面でも4系統の高画素デジタルカメラ入力を装備し、従来比性能4倍の画像認識コアとサラウンドビューに対応し、運転支援機能統合を実現します。

ミッドレンジの「R-Car M2」だって相当出来る

「R-Car M2」は、車載情報システムが融合する統合コクピットに向けたミッドレンジのソリューションです。センターディスプレイを中心に、エアコンやバッテリなどの車両情報、クラウドから得た走行地の天候や渋滞状況に即したナビゲーションなどのIT情報、同乗者が楽しむWebコンテンツやDVDなどのエンタテイメント情報を統合した表示を実現します。

マルチディスプレイに対応しており、ヘッドアップディスプレイなど、2つのLCDを直接接続できるほか Ethernet-AVBやMOST経由での後部座席へのマルチメディア配信にも対応。CPUにはCortex-A15のDualが2コア、GPUにはSGX544MP2を採用し、高い総合性能を実現しました。

重たい開発も効率の良い開発サポートがあれば安心

車載情報システムのプラットフォーム・ソリューションである「R-Car」では、お客様である車両メーカの指定するOSに対応したソフトウェアパッケージを用意し、同時に、車両メーカのデザイナが活用しているデザインツールをサポートすることで、高効率なソフトウェア開発が出来る仕組みを整えました。

また、車載情報システムに求められる機能を、複数のモジュールにしてオープンなプラットフォーム上で展開することにより、柔軟で効率的なソフトウェア開発を可能にしています。組み合わせる機能の種類を変えたり変更したりすることも容易です(図4)。

図4:例えば、「R-Car M2」は「R-Car H2」の周辺IPをサブセット化してIOレジスタマップを共通にした。これにより「R-Car H2」と同じソースコードで「R-Car M2」を動かすことが可能。

図4:例えば、「R-Car M2」は「R-Car H2」の周辺IPをサブセット化してIOレジスタマップを共通にした。これにより「R-Car H2」と同じソースコードで「R-Car M2」を動かすことが可能。

お客様の開発を支援するという意味では、OSプロバイダやミドルウェアプロバイダ、システムインテグレータなど、多くのパートナ様とのコラボレーションにより多様なツールやソフトウェアを提供するコンソーシアム「R-Car Consortium(コンソーシアム)」が大きな存在と言えるでしょう。コンソーシアムでは、継続的にオープン化の拡大とパートナの倍増を図っています。

コンソーシアムの実績の一例を挙げましょう。従来の車載情報システムではHMI設計とソフトウェア設計とで作業が分断されがちという問題を抱えていました。これに対し、両方のデザイナが連携して開発しできるデザインツールをコンソーシアムのパートナが提供して、シームレスな開発を実現しました。

このように、ルネサスは第二世代で残るエントリークラスの「R-Car E2」も含めて「R-Car」で、スマートカー戦略を強力に推進していきます。

(*) 2013年11月当社調べ

Arm、CortexはArm Limitedの登録商標または商標です。その他、本記事中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

開発の効率化に不可欠なR-Carコンソーシアムを知っているか?

車載情報システムの開発に膨大なコード数が必要となり、開発に要するコストと時間が製品価値をも左右している。「R-Car Consortium(コンソーシアム)」では、「R-Car」を中核としたさまざまなパートナ様との連携でその開発課題に立ち向かい、高効率な開発を支援している。さまざまなソフトウェアコンポーネントを提供し、システムインテグレータも参加していることで、お客様の要求仕様に応じて最適化したプラットフォームの提供とサポートも実現している。その参加社数は急速に拡大している(図A)

図A:拡大を続けるコンソーシアム。参加社数は2013年9月に99社を数え、今年度中に120社に拡大する見込みだ。また、日本以外の参加社も15社から30社へと、倍増の計画。

図A:拡大を続けるコンソーシアム。参加社数は2013年9月に99社を数え、今年度中に120社に拡大する見込みだ。また、日本以外の参加社も15社から30社へと、倍増の計画。

コンソーシアムでは、パートナ様の最新ソリューションを展示、紹介する場として、定期的にフォーラムを開催している。2013年10月23日には「R-Car Consortium Forum 2013」が開催され、会場は大勢の参加者の熱気に包まれ、至るところで意見の交換が行われ、新しいソリューションの息吹を感じることができた。

R-Carコンソーシアム