急拡大するスマートハウス市場 HEMS製品投入への「最短ルート」がここにある

ソリューション: 5 of 20

環境意識の高まりと公的な支援などに後押しされ、大きな市場形成が期待されているスマートハウス。制御プロトコルの標準化が進んだことでスマートハウス向け製品の市場投入は時間との戦いだ。「Time to Market」を短縮し、開発費を低減する、ルネサスのスマートハウス/HEMS向けソリューションを解説する。

スマートハウスの中核技術

快適制御と見える化を実現する「HEMS」とは?

環境問題への意識が高まる中、IT(情報技術)を活用して、住宅内エネルギ消費の最適化と快適性の両立を図る「スマートハウス」に注目が集まっている。

スマートハウスの中核技術は、「HEMS(Home Energy Management System)」と呼ばれており、太陽光発電などのエネルギ機器やエアコンなどの家電、給湯器などの設備機器をネットワークで相互接続することで、住宅内のエネルギ利用状況をモニタリング(見える化)し、消費電力を抑えつつ快適に生活するためのエネルギ制御を行うシステムだ(図1)。

図1:スマートハウスのイメージ

図1:スマートハウスのイメージ

外出時にはモバイル機器からのモニタリングとコントロールを行うなど、ニーズに応じたさまざまな活用が期待されている。さらに、住宅内のデータがインターネットを介してクラウドやビッグデータ(分析・解析)につながることで、ライフスタイルに合わせた情報発信などの新しいサービスの誕生も期待されている。

「ECHONET Lite」が標準プロトコルに採用決定!対応機器の開発が加速する

スマートハウス/HEMSに設置される装備や機能は住宅会社によってさまざまで、接続する各機器を「制御」するためのプロトコルが標準化されていなかった。そのため、メーカの異なる機器が接続された場合などに、制御が不完全なことがあり、問題視されていた。

そこで日本では2012年に、標準制御プロトコルとして、エコーネットコンソーシアムが策定した「ECHONET Lite(エコーネットライト)」の推奨を経済産業省と業界団体JSCA(Japan Smart Community Alliance)が決めた。ECHONET Lite関連製品の開発者にとっては、制御プロトコルが規格化されているので、対応製品の開発が今すぐにでも可能である。エンドユーザにとってみれば、相互通信の認証が実施されるので、ECHONET Lite対応製品であればどのメーカの機器であっても選ぶことができ、その対応製品(認証製品)は急速に拡大している。(図2)

同様に、米国では「SEP(ZigBee Smart Energy Profile) 2.0」や、欧州では「KNX」などの標準制御プロトコルが策定されている。今後は、日本のECHONET Liteがそれらの海外規格と融合、または連携を進めていくことに期待が高まっている。

図2:ECHONET Lite対応機器の構成

図2:ECHONET Lite対応機器の構成

お客様の開発課題を一気に解決!

ルネサスのソリューションが、「便利・簡単・安心」を提供する

大きな市場形成が期待されるスマートハウス/HEMSだが、機器開発を早期に実現するための課題は大きい。その一つが機器間通信部分の開発である。ECHONET Liteは、新たな配線工事を必要としない通信方式(電力線、無線、赤外線など)を採用しているのが大きな特徴のひとつだが、実際の住宅環境を考慮すれば、一つの通信方式でHEMSを構築するのは非常に困難な場合もあり、利点の異なる複数の通信を採用することになる。ルネサスは、この通信部分の開発の負担を大幅に軽減するソリューションを提供しており、これにより、お客様は新しい機能やサービスの開発に集中できる。

どの通信を使えばいいのか

では具体的に住宅内の温度と照度を制御するネットワークシステムを例にルネサスの提供するHEMS向けソリューションを解説しよう。(図3)実際の住宅環境では、無線通信「ZigBee RF4CE」、無線通信「Wi-SUN」、電力線通信「PLC」の三つの通信方式が今後ますますメジャーになっていくだろう。それぞれの機器に適した通信方式を提案することで、お客様の製品開発の負担を軽減する。

図3:住宅内を快適制御するホームエリアネットワーク

図3:住宅内を快適制御するホームエリアネットワーク

  • ①スイッチのオン/オフや調整などの無線リモコンに最適:無線通信「ZigBee RF4CE」

    無線リモコン用の低コストで低消費電力、高速応答を特長とする、低転送レートの近距離無線通信規格。世界で2.4GHz帯を使用。

  • ②センサネットワークに最適:無線通信「Wi-SUN」

    1GHz未満の周波数帯を用いる、障害物に強い無線通信方式。干渉が激しい2.4GHzを使用しないことで安定した通信と、同距離であれば2.4GHzに比べて電力消費を抑えられる。日本では920MHzを使用。

  • ③エアコンと照明器具などの制御ネットワークに最適:電力線通信「PLC」

    電力線を媒体とする通信方式。AC電源ラインとコンセントを利用するため、新たな配線等が不要。無線では障害となる、住宅内の壁や天井、床を越えた通信に強い。

すぐに評価できる

ルネサスでは、これらの通信方式を実現する機能をモジュールとして提供している(図4)。通信モジュールは、電波法の技術基準適合証明や総務省による型式指定などの必要な認証を取得済みのため、お客様はその一切の手間が不要だ。サンプルソフトウェアを活用して、一足飛びに評価を始めることができる。

図4:技術基準適合証明、型式指定を取得済みの通信モジュール一覧

図4:技術基準適合証明、型式指定を取得済みの通信モジュール一覧

安心サポート

そして、ECHONET LiteをはじめWi-SUNやPLCなど、比較的新しい規格は修正や拡張などのスピードが速い。常に情報をアップデートして対応を続けることは、お客様にとって大きな負担だ。ここでもルネサスが活躍する。ルネサスがさまざまな規格策定団体に参加することで、お客様に代わり、規格の標準化や情報のアップデートに対応するのだ(図5)。

同時に、ルネサスの豊かなエコシステムを生かして、さまざまなパートナ様と協力した多方面からの最新ソリューションを提供することは言うまでもない。

図5:ルネサスの加入している主なアライアンス

図5:ルネサスの加入している主なアライアンス

HEMS専用コントローラの開発も楽々

家庭内の設備や機器の状況を把握するのに欠かせないHEMSの中央コントローラの開発もルネサスのマイコンを使えば容易になる。ルネサスの高性能、低消費電力を誇る16ビットマイコン「RL78/L1C」の豊富な周辺機能を活用して、LCD表示と音声出力、タッチキー操作、センサ制御、USB通信・充電、そして通信モジュールの制御をワンチップで構成可能だ(図6)。

タッチキー入力は汎用のI/Oポートで制御(*1)し、音声はPWMでデジタルアンプを介して再生するため、それら機能のための外付けICは不要、また、通信モジュールはUART接続のため、シリアル通信で簡単に利用できる。

図6:RL78/L1C HMI ソリューションキット ブロック図

図6:RL78/L1C HMI ソリューションキット ブロック図

(*1)RL78ファミリで、タッチキー機能をソフトウェアで実現する「ソフトウェア・タッチキー」を利用。

さらに、HEMSの中央コントローラを高機能にしたい場合は、RZ/A1などを使用すれば タッチスクリーンなどにも対応できる。その際は、RL78を使用したコントローラーは、家庭内全体ではなく、各部屋のコントローラとして使用。 そして各部屋のコントローラとHEMSの中央コントローラを通信するといった使用方法も考えられる。

急速な市場拡大に、お客様の注目が集まるスマートハウス/HEMSに向けたルネサスの開発ソリューションを紹介してきた。そのソリューションは、通信の新しい規格を採用する際の技術的ハードルを押し下げ、エコシステムのパートナ様とともにお客様の市場参入のスピードを後押しする。スマートハウスのみならず、さまざまなセンサネットワークや制御ネットワークへの応用が期待できる。

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