仮想プロトタイピング技術:ASTC

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仮想プロトタイピング技術の活用がソフトウェア開発を変える

ASTC

製品の市場投入までに費やす時間(Time to Market)がビジネス成否の大きな鍵を握ることから、開発者が少しでも早く開発に着手することを望むのは当然のことだろう。今回は、最新の設計ツールと手法により生み出した「仮想プロトタイピング技術」を駆使して、ハードウェア実機の入手前にソフトウェア開発をスタートさせることができるというオーストラリアのASTC社に話を聞いた。ASTC社でマーケティング担当を務めるHolly Stump氏が、仮想プロトタイピング技術活用の利点、そしてルネサスとの協力関係について語る。

Holly Stump

Holly Stump

VP Marketing ASTC / VLAB Works

ハードウェア実機入手前のソフトウェア開発が可能になる!「VLAB仮想プラットフォーム」

— まず御社の概要を教えてください。

Stump氏: ASTC(オーストラリア・セミコンダクタ・テクノロジ・カンパニ)は、ハードウェアと組み込みソフトウェアのデザインサービスと開発ソリューションを提供しています。VLAB WorksはASTCのビジネス業務を担う子会社です。ASTC/VLAB Worksは、世界中の自動車、運輸、無線通信、マルチメディア・家電、そして組み込みソフトウェアメーカの皆様を顧客としています。

当社のビジネスの中で、大きな比率を占めるのが自動車分野です。ルネサスさんとのパートナーシップを軸として、仮想プロトタイピング技術を核とした開発ソリューション「VLAB™仮想プラットフォーム」を提供しています。自動車分野では、ソフトウェア開発が重要な課題となっていることはご存知でしょう。数百万行に及ぶ大規模なコードを開発し、テストとデバッグを繰り返す。また、AUTOSAR(標準化)やISO26262(機能安全)への適合も求められています。ですから自動車分野において、「VLAB™仮想プラットフォーム」が提供するハードウェア実機入手前からソフトウェア開発をスタートできるという時間の短縮は大きな意味を持ちます。

— お客様の開発時間の短縮に大きく寄与する製品のようですね。「VLAB™仮想プラットフォーム」についてうかがいしましょう。

Stump氏: 組み込み機器の開発効率の改善には、ESL(Electronic System Level)での仮想プロトタイピング技術の活用が絶大なる効果を発揮します。当社が提供する「VLAB™仮想プラットフォーム」は、高レベルの抽象化技術により、完全なシステムのシミュレーションとコードの実行が可能です。量産時に組み込むコードをそのまま実行し、ターゲットの動作を可視化して制御することで、プログラムの実行状況を明解に映し出します。「VLAB™仮想プラットフォーム」は、半導体のIPコアやSoC設計から、ハードウェアとシステム開発にまで至る設計過程において、お客様に新たな競争力をもたらします(図1)。他にも仮想プロトタイピング技術を提供する企業はありますが、当社の提供するソリューションの高機能さは抜きん出ています。

図1:ASTC/VLAB Worksは幅広い開発の工程でのサポートを提供し、競争が厳しい市場でのお客様の成功を支えている。

図1:ASTC/VLAB Worksは幅広い開発の工程でのサポートを提供し、競争が厳しい市場でのお客様の成功を支えている。

「VLAB仮想プラットフォーム」を武器に、市場競争に打ち勝つ

— 組み込み機器開発において、「VLAB仮想プラットフォーム」が評価される理由は何ですか。

Stump氏: 「VLAB仮想プラットフォーム」を活用するお客様の利益を述べましょう。

  • ソフトウェアとハードウェアの分割とそのアーキテクチャの解析と評価、そしてCAN(Controller Area Network)機能やモータ制御までを含んだ「もし~だったら(what-if)」解析を行えます。アルゴリズムの開発にも活用可能で、比較のための評価コードを走らせることができます。
  • ハードウェア実機の入手前から、組み込みソフトウェアの開発に着手することで開発期間を短縮します。また、ハードウェアとソフトウェアのバグを素早く発見でき、評価ボードのコストも削減できます。ハードウェアとソフトウェアの最適化や性能のチューニングが容易に行えること、リグレッションテスト(回帰テスト)が可能で高いスケーラビリティをもたらすことも評価されています。
  • 「VLAB™仮想プラットフォーム」を活用して設計資産を再利用(継承)することで、製品の機能拡張や複数世代の設計などを容易にします。

「VLAB仮想プラットフォーム」はさまざまな拡張機能を搭載しており(図2)、一度、仮想プラットフォームを構築してしまえば、それは小さな雪玉が転がりながらどんどんと大きくなるように加速的に充実してゆきます。組み込み機器を開発するお客様は、そのプラットフォームにさまざまなコンテンツ(ハードウェアとソフトウェアのモデル)を追加して、独自に拡張することが可能だからです。その固有の仮想プラットフォームをお客様のパートナ企業やティア1メーカ(大手部品製造事業者)に供給することで、共同開発も容易になります。これは、仮想プラットフォームを採用していない同業他社に対する、大きなアドバンテージと言えるでしょう。

図2:VLAB(仮想プロトタイピング)を中核とし、OSCAR™ SystemCシミュレータを搭載する。GenesisとProcessor Modeling Studioは、モデルの容易な作成とSystemCコードの自動生成をサポートする。VLAB Model Libraryと標準規格関連のツールボックスが、OSとアプリケーションの立ち上げを助け、AUTOSAR、CAN、FlexRay、ISO26262がサポートされている。

図2:VLAB(仮想プロトタイピング)を中核とし、OSCAR™ SystemCシミュレータを搭載する。GenesisとProcessor Modeling Studioは、モデルの容易な作成とSystemCコードの自動生成をサポートする。VLAB Model Libraryと標準規格関連のツールボックスが、OSとアプリケーションの立ち上げを助け、AUTOSAR、CAN、FlexRay、ISO26262がサポートされている。

自動車分野のお客様の開発工程とコストを大きく削減可能

— ルネサスとの協力関係はいかがですか?

Stump氏: ルネサスさんと当社は、長期的なパートナーシップで結ばれており、共同開発を行い、ルネサスさんのマイコンの多くを何世代にも渡ってサポートしています。ルネサスさんが仮想プラットフォームのような最新技術をお客様に提供するのは素晴らしいことです。また、技術スタッフの皆さんの能力が非常に高く、幹部やマーケティング担当者の方々が、有益な情報をお客様に提供してサポートしていると感じています。

— ルネサスの自動車向けマイコン「RH850」ファミリのサポートについて説明していただけますか。

Stump氏: 「RH850」ファミリをサポートする「VLAB™ RH850仮想プラットフォーム」は、仮想プロトタイピングシステムとRH850仮想プロトタイプ、それにソフトウェアとシステム開発、デバック解析などのさまざまなツールボックス群で構成されています。お客様は、自社のIPやECUのモデルを追加することで独自のECU仮想プロトタイプの開発や、デバッグおよび他のツールとの結合、システム・テストベンチの構築、そしてドライバ・ソフトウェア、OS、ECUアプリケーションといった開発アプリケーション用ソフトウェアの起動やテストなどを行うことが可能です。複雑なドライバやAUTOSARソフトウェアの開発、機能安全規格を満たすためのフォールト・インジェクション・テスティングやテスト・カバレッジが容易になることが大きな魅力です。

「RH850」ファミリを採用している自動車メーカさんやTier 1メーカさんに、ソフトウェア開発効率の改善とECUの組み込みやテストにかかるコストの削減、そして組み込みシステムの検証と妥当性確認作業の負担を減らすことができます(図3)。

図3:ECU設計サイクル全般に渡って開発コストを圧縮しつつ、製品投入期間短縮と品質の向上を達成する。

図3:ECU設計サイクル全般に渡って開発コストを圧縮しつつ、製品投入期間短縮と品質の向上を達成する。

— 本日はどうもありがとうございました。「VLAB™仮想プラットフォーム」がお客様の開発効率を改善し、期間とコストを短縮することを確信しました。

ASTC  
設立 : ASTC設立は2006年。
続いて2011年にビジネス事業子会社のVLAB Worksを設立。
本社 : Level 5, 76 Waymouth Street, Adelaide, South Australia, Australia, 5000
Australian Semiconductor Technology Company 株式会社:
130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1アルカセントラル14階
URL : http://www.astc-design.com
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