第1回 中国巨大消費市場を牽引する80後

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第1回 中国巨大消費市場を牽引する80後 20世記80年代に生まれた人々を中国では「80後(バーリンホウ)」と呼ぶ現在トレンドの主役を担っており、その消費市場が益々注目されている。

80後の生活スタイル

「70後(チーリンホウ)の勤勉さと90後(ジュウリンホウ)の自己中心的な生き方と比べると、80後(バーリンホウ)の特徴はその中間的な存在である。彼らは生活を快適に暮らすだけではなく、生活を楽しもうとしている。生活の質を重視し、ファッションを求め、人に共感されたいという意識が強く、トレンドリーダーになりたいという強い願望がある。理性的かつ賢い消費の行動及び流行に敏感である。彼らは同世代及び他の年齢層の人々にとって、ブームの発信源であり拡散源となっている。80後をターゲットとした場合、シンプル、利便性、ハイセンス、スタイリッシュとデジタルが製品開発のキーワードである」と、中国新世代市場モニタリング機関(Sinomonitor)(*1)のアナリストは述べる。80後は社会及び家庭の重責を担ったばかりの世代であるにもかかわらず、「忙しい中から隙間時間を見つけ行動する」天才である。つまり、限られた時間と戦い、仕事も、プライベートも両立し成功させようという意識に満ちている。

写真1:忙しい中から隙間時間を見つけ行動する中国80後

写真1:忙しい中から隙間時間を見つけ行動する中国80後

イーコマース市場における80後を狙った新サービス

現在、新たな成長領域となるオンラインショッピングにおいて、80後がその主な利用者であることは間違いない。中国インターネット情報センター(CNNIC)の調査によると、オンラインショッピング利用者の年齢構造において、25-30歳と31-35歳の80後消費者層が全体の52.5%を占めているという(図1参照)。さらに、スマートフォンの普及によるモバイルインターネット利用者の拡大により、オンラインショッピングが増えると見られている(図2を参照)。こうした背景の中、、「支付宝」(*2)を代表とするオンライン決済プロバイダーはサービス品質の向上をより一層図っており、ユーザーの消費行動、生活スタイルの分析に基づき、ヒューマンフォーカスに立脚したスマート電子サービス製品の開発はより多くのチャンスをイーコマース市場に作り出すと考えられる。

図1:2011-2012年オンラインショッピング利用者の年齢構造

図1:2011-2012年オンラインショッピング利用者の年齢構造
出所:CNNIC2012中国オンラインショッピング市場に関する調査報告

図2:モバイルインターネット利用者数

図2:モバイルインターネット利用者数

出所:中国インターネット市場の発展状況に関するCNNIC統計報告

80後が望むソーシャルショッピング

80後の生活スタイルと消費活動を狙って、中国イーコマース分野のリーディングカンパニーであるアリババが5.86億米ドルで「新浪微博(Weibo)」の株を18%取得し、80後を主なターゲットにファッション市場を先取りしようとしている。中国で最も影響力を持つイーコマースプラットフォーム「淘宝(タオバオ)」と王道のモバイルソーシャルメディアである「新浪微博(Weibo)」とが連携することによって「微淘(ウェータオ)」が誕生し、「モバイル+ソーシャル+イーコマース」のビジネスモデルが作り出された。

微淘(ウェータオ)は「ショッピング情報、インターラクティブツール、文化情報、生活サービス、使用経験と口コミ情報」という六つのサービスから構成されており、「ソーシャルショッピングプラットフォーム」へと進化した。イーコマースをソーシャルネットワークと結びつけるこの取り組みは、隙間時間でソーシャルネットワークによる利便性の高く信頼性あるショッピングができるという80後のニーズをとらえたサービスといえる。

Weitao

写真2:「モバイル+ソーシャル+イーコマース」の新しいビジネスモデルの「微淘(ウェータオ)」

80後が望むデジタル化サービス体験

I生活サービス分野において、80後の体験型消費ニーズに基づき、デジタルとサービスを融合させることも、近年中国市場で活躍している国内外企業が推し進めるビジネスの主流となっている。2013年の初めに、イケア(IKEA)(*3)が中国地域で使う製品カタログでは、AR技術(Augmented Reality、拡張現実技術)が採用されている。AR対応のシンボルマークが印刷されているのに気づき、モバイル端末のアプリを起動すると、隠れていた面白い動画やデジタル説明書を見ることができる。つまりパソコンのデータ処理を通じて、バーチャル情報を現実世界に応用し、消費者がイケアのカタログとアプリを持つだけで、家具を立体的に見たり、内部を見たりすることができ、製品の実際の使用効果を利用者に確認してもらうことができる。

この新しいカタログは驚くほど人気を集め、2.5億部が発行されており、業界の注目を集めた。これはただデジタル化の流れに応じた形式上の試みではなく、主要消費者層の本質的な消費ニーズを研究し、デジタルメディアの形態を通してサービスを向上させる革新的な取り組みであるといわれている。

Usage example of AR technology

写真3:AR技術の利用イメージ

80後が望む快適な住居環境

前述したとおり、ほとんどの80後は仕事上、多忙を極めているため、複雑で面白みのないものに時間を費やしたくない。生活テンポが速まるにつれ、彼らはシンプルかつ快適な家庭生活を求めているため、ワイヤレス環境とスマートな暮らしのスタイルを重視している。今後数年間に、実用的な機能を持つ手頃な価格のスマートホーム関連製品を開発することが一つのトレンドになるであろう。また、ウォーターサーバーや炊飯器、床暖房、エアコン、空気浄化システムなどの遠隔操作やスマートコントロールを実現し、家電稼動中の安全安心と、健康で快適なスマートホームの実現も潜在的な消費トレンドであるに違いない。

図3:2009-2015 中国スマートホーム関連製品市場規模(億元)

図3:2009-2015 中国スマートホーム関連製品市場規模(億元)

台頭する80後

中国の80後消費市場には2.8億人の規模がある。社会での役割とマーケットポジションが重要になったことで、その旺盛な消費意欲と購買力はより多くの中国企業と海外企業に注目されるに違いない。中国市場攻略において、現在の製品・サービス各々をネットワークにより連携させること、または分野・業界間の連携等により80後のニーズを満たすことは新たなビジネス開発にとって特筆すべき重要な視点である。

*1.新世代市場モニタリング機関:1998年に設立された中国有数のマーケティングリサーチ会社。北京、上海と広州に200名を超える技術者と研究員を有しており、市場研究、メディア研究、消費と社会研究、マーケティングコンサルティングの業務を展開している。劉璇氏が新世代市場モニタリング機関のシニアメディアアナリストである。

*2.「支付宝」は、中国有数の独立第三者決済プラットフォームであり、中国のイーコマースビジネス向けに「便利・安全・迅速」なオンライン決済ソリューションを提供している。
進んだ技術、鋭い市場予測力と高い社会的責任感で、銀行等のビジネスパートナーに認められており、オンライン決済分野において金融機関より最も信頼されているパートナーである。

中国の大手オンライン決済プロバイダー—「支付宝」

支付宝

*3: イケア:スウェーデンの家具小売大手。2010年8月現在、38カ国で事業展開しており、そのうち26カ国での280ストアがイケアグループの直営店舗である。1998年に中国一号店を開設して以来、中国市場に受け入れられており、中国家具小売業界のトップランナーの地位を築いている。