ユーザ紹介① 横河電機株式会社様

顧客事例

プラントの操業を支える高信頼性システムに採用

横河電機株式会社 IAプラットフォーム事業本部 システム事業部 PAハードウェア技術部 マネージャー 赤羽 国治様

赤羽 国治 様

横河電機株式会社

IAプラットフォーム事業本部 システム事業部 PAハードウェア技術部 マネージャー

プラント操業の制御システム分野で長い歴史を持つ横河電機様は、世界初の分散型制御システムを開発した企業としても知られている。プラント設備の安全操業と停止を司る制御システムや安全計装システムには、いくつものルネサス製プロセッサが採用されている。その採用の決め手を、横河電機株式会社IAプラットフォーム事業本部システム事業部PAハードウェア技術部の赤羽国治マネージャーにうかがった。

プラントを「確実に動かし、確実に止める」

―プラントの操業を支える制御システムとは、どのようなものでしょうか。

赤羽様: 処理が連続的に進むプラントにおいては、温度や圧力、流量などさまざまな要素を制御しながら製造が続けられます。以前は、プラントの各所に置かれたセンサからの情報を中央に送る集中制御が主流でした。しかし、プラントの大型化が進むにつれ、より現場に近い所で細やかな制御を行うニーズが高まり、弊社では1975 年に世界初の分散型制御システム(DCS: Distributed Control System)を開発しました。弊社の分散型制御システムは、「プラントを止めない」を合言葉に世代を重ね、現在の「CENTUM VP(センタム・ブイピー)」はシリーズの第8代目です。

また、安全計装システム(SIS: Safety Instrumented System)「ProSafe-RS」シリーズも開発しています。安全計装システムは緊急時にプラントを安全確実に停止させるためのシステムであり、ProSafe-RSは国際安全規格IEC 61508の安全度水準SIL3レベルに適合しています。

分散型制御システムと安全計装システムは、システムの性質上から別系統で運用し、独自の操作環境で運転や保守を行うのが一般的でした。弊社がご提供するシステムは、両方を一つのコンソールから統合的に扱えることで、操作性の向上と維持コストの削減を実現し、お客様から高い評価をいただいています。

図1:横河電機様の分散型制御システム「CENTUM VP」のシステム構成イメージ

図1:横河電機様の分散型制御システム「CENTUM VP」のシステム構成イメージ

下記の4つのコンポーネントで構成される。
1. HIS: プラントオペレーションのための操作監視機能
2. ENG: システムの構築と保守管理を行うエンジニアリング機能
3.  FCS: プラントの制御機能
4. ネットワーク(通信システム)
また、安全計装システム「ProSafe-RS」も操作環境を統合して運用が可能。(SCS)

―確実に動かし、確実に止めるためのシステムなのですね。

赤羽様: そうです。それがゆえに、分散型制御システムと安全計装システムのシステム自体の故障率を極めて低く抑える必要があり、そのための高信頼設計が重要になります。

高信頼設計の基本は、
1. 信頼性が高い部品を、信頼性を維持できるように余裕を持って使用する「故障回避設計(フォールト・アボイダンス)」の実施。
2. システムの多重化を図り、その共通部分を極小化し、万が一に故障が発生した場合でも安定した動作を継続する「故障の影響が無い設計(フォールト・トレランス)」の実施。
3. システムが故障を自ら発見する「誤り検出能力」の搭載。
4. システムのユニット等を交換する際に、システムを動作させたままで交換を可能にする、分散型制御システムや安全計装システムの「保全性設計(メンテナビリティ)」の実施。これにより、一度組み込まれたシステムは、長期にわたって休むことなくそのプラントのオペレーションを支え続けます。

これらの設計技法を組み合わせた結果、「CENTUM VP」では99.99999%(セブンナイン)の稼働率を達成しています。

高信頼性システム実現のための選択

―素晴らしい実績ですね。高信頼性を追求するプラント制御の世界で、ルネサスのマイコンはどのように働いているのでしょうか。

赤羽様: 私は、1991~92年頃にルネサス製マイコンをCENTUMの通信モジュールに採用しました。これが、私とルネサス製品との出会いです。マニュアルがよくできていたことが印象的でした。

その後もいくつかの製品でルネサス製マイコンを使用しましたが、高い信頼性がルネサス製品の大きな魅力のひとつです。システム設計においては、個々の部品故障率よりシステムの信頼性を計算しますが、ルネサス製マイコンの実際の故障率は、想定する故障率を大幅に下回る高品質というのが使用した印象です。その品質の高さは、半導体の設計から製造までの全工程で作り込まれていると感じています。

図2:ルネサス製品は、製造・ウェハテスト・LSIテストの各所における厳しい品質マネージメントと不良製品の十分な解析をもとに、テスト検出率の向上を図り、トラブルの水平展開を徹底して行うことにより継続的な工程品質改善を行っている。品質改善のためのフィードバックは、設計部門に確実に展開される。

図2:ルネサス製品は、製造・ウェハテスト・LSIテストの各所における厳しい品質マネージメントと不良製品の十分な解析をもとに、テスト検出率の向上を図り、トラブルの水平展開を徹底して行うことにより継続的な工程品質改善を行っている。品質改善のためのフィードバックは、設計部門に確実に展開される。

図3:継続的な工程品質改善の結果、ルネサスマイコンの不良率は1ppm(100万個に1個有るか無いか)を下回り、さらなる改善を続けている。(ルネサス社内データ)

図3:継続的な工程品質改善の結果、ルネサスマイコンの不良率は1ppm(100万個に1個有るか無いか)を下回り、さらなる改善を続けている。(ルネサス社内データ)

-ソフトウェアの面では、ルネサス製品はいかがでしょうか。

赤羽様: ソフトウェアもルネサスはよいものを供給してくれています。統合開発環境High-performance Embedded Workshopは、文字通り統合的に開発をサポートしてくれるので、開発作業を効率よく進められます。特にプロセッサが変わっても、移行が楽なことがユーザとして嬉しいところです。プロセッサ毎の環境の構築に一苦労させられる開発ツールがある中で、ルネサスの統合開発環境は上手に移行をサポートしてくれます。

もう一つ、ルネサスの環境で評価しているのが、自社製の組み込みOSも用意されていることです。手軽で使いやすい組み込みOSが半導体ベンダーから提供されていることは、コスト面等でユーザにとって大きなメリットがあり、また、品質に対しても安心感を覚えます。

開発環境がよく出来ていて、組み込みOSとも相性が良い。そうなると、ユーザは設計が楽になり、工期短縮が期待できます。

期待する、性能向上を続けるロードマップ

―高い評価を頂けてありがたいことです。では、今後のルネサス製品には、どのような点を期待されていますでしょうか。

赤羽様:  弊社が作る装置は、プラント全体の環境問題に直結しています。そのため、前世代の同等機よりも消費電力を下げるという指針があります。処理の増大につれてクロック周波数は高くなりますが、それでも消費電力を下げていただけると期待しています。実際、上位機種で消費電力が下がったケースがあり、これが採用の決め手になったこともありました。消費電力の削減は、今後も継続的にお願いしたいところです。

また、上位機種が互換性を維持してくれていることもありがたい。弊社の装置は信頼性を重視しますから、部品採用時に徹底的な信頼性の検証を行います。その際に互換性を保っている場合とそうでない場合とでは検証にかかる時間もコストも大きく違ってきます。例えば、機能拡張によりプロセッサを変えた場合でも上位互換であれば、ソフト資産が流用できる場合があります。また、バスの仕様が同じならば、外付けのASICは変更不要ということも起こります。このような流れを是非とも続けて頂ければと思います。

弊社のようにライフサイクルが長く、高い信頼性を誇るシステムを支える製品を今後も安定して供給していただけることを期待しています。

―ルネサスのマイコンが果たす役割の重さを再認識いたしました。今後も、さらなる技術開発を進めながら、お客様がシステムの高機能化や高信頼性の開発に集中できるよう、マイコンの「継承性」を維持していきます。

図4:横河電機様のルネサスプロセッサ採用のポイント

図4:横河電機様のルネサスプロセッサ採用のポイント

  • - 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
  • - この事例の取材は2013 年5 月21日に行われました。文章中の数値等はこの取材時に得られた情報に基づいています。
  • -記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。