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アナログ回路の構成や特性をマイコンからの制御で変更可能な新タイプの製品群「Smart Analog」を展開

~第一弾製品として、アナログIC「Smart Analog IC」を製品化し、システムの開発期間短縮とコスト低減に貢献~

2011年10月24日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、マイコンとアナログ半導体とを組み合わせたシステムソリューションとして、回路構成や特性を変更可能な新タイプのアナログ回路を搭載した製品群を「Smart Analog」として展開していきます。

 今回第一弾として、マイコン周辺のアナログ回路を1チップ化し、かつその回路構成を用途に応じてマイコンからの制御で変更できるアナログIC「Smart Analog IC」を製品化しました。温度センサや光センサなどのセンサアプリケーション対応版を2012年1月より順次サンプル出荷します。

 今回発表する「Smart Analog IC」センサアプリケーション対応版は、センサが感知した微小なアナログ信号をマイコンで処理できるよう増幅するアナログフロントエンド回路を1チップ化したICです。白物家電、ヘルスケア機器、防犯装置など、センサを搭載したさまざまな機器向けに次のような特長を有し、システム開発期間の大幅な短縮、システムの小型化、コストの低減が可能となります。

主な特長

(1)マイコンからの制御で、アナログフロントエンド回路の構成変更や特性の設定が可能であり、本製品ひとつで温度センサや光センサなどの様々なセンサアプリケーションに対応できます。
このため、専用ICの開発に(当社の場合)3~8ヶ月程度必要としていた開発期間と開発費用を不要にでき(注1)、ユーザは即座にシステム開発が可能となります。

(2) アナログフロントエンド回路を1チップ化していることで、ディスクリート部品で構成した場合に比べ、部品点数で約90%、基板サイズで約75%の削減(当社比)が可能です。
加えて、複数センサを搭載したシステムに対応すべく、アナログ回路の構成や、特性を動作中に時分割に切り替えできると共に、複数のセンサ入力端子を有しているため、複数のセンサに接続するアナログフロントエンド回路の数を1つに低減可能であり、システムコストの低減を図ることができます。

(3) センサのばらつきを吸収する製造段階のトリミングをマイコンの制御プログラムとの組合わせにより自動化できるため、製造コストの低減が可能となります。
さらに、出荷後のセンサの経時変化に対する補正も可能で、システムの長寿命化も図れます。

 なお、「Smart Analog IC」センサアプリケーション対応版では、回路構成を変更できるタイプのほか、1つの方式に固定したタイプを2品種揃えており、システムにより最適な製品を提供可能です。

 サンプル価格は、回路構成可変型が400円/個となっております。量産は、全品種を2012年5月より開始し、2013年8月には月産30万個を生産予定です。

背景

 近年、使い勝手の向上やエコシステムの拡大、ヘルスケアの浸透、セキュリティの強化などから、民生、産業、医療を始めとした各種機器でセンサ搭載が進んでおり、タイムリーな市場投入のために短期間でセット開発を行うことが望まれています。しかし、センサには温度センサ、赤外線センサ、光センサ、衝撃センサなど、様々な種類があり、センサに応じて異なる回路構成、特性設定を行うことが必要となることからアナログ設計にはノウハウを要し、アナログ回路の設計期間を短縮できないをという課題がありました。

 こうしたニーズに対応するため当社では、長年培ったアナログ設計技術と、高い実績のあるマイコンの技術とを組み合わせることでアナログフロントエンド回路の構成や特性をマイコンからの制御で変更可能とし、アナログ回路およびシステムの設計期間短縮や低コスト化に貢献する「Smart Analog IC」を製品化したものです。

特長

 「Smart Analog IC」センサアプリケーション対応版の主な特長は、以下の通りです。

(1)センサシステムの開発期間短縮に貢献

新製品は、アナログフロントエンド回路を1チップ化しただけでなく、マイコン制御によりセンサの種類にあわせて回路構成を変更でき、かつ特性も変更できます(注2)。このため電圧、電流、差動出力といった各種センサの異なる出力に対し本製品一つで対応可能となります。

また、回路構成変更、特性設定用のGUI(Graphical User Interface:情報がグラフィックスで表示され、直感的に操作することができる)ツールと評価ボードを新製品のサンプルの配布に合わせ準備しています。これらをセンサに直接接続し、回路構成が示されるGUI画面上で回路構成の変更や特性の設定が容易に半日程度で実現できるため、従来、アナログフロントエンド回路を1チップ化した専用ICを開発する場合(仕様決定後からサンプル完成まで当社の場合)に3~8ヶ月程必要としていた開発期間、開発費を不要にできます(注1)

(2)センサシステムの小型化・低コスト化が可能

新製品は、アナログフロントエンド回路をオペアンプ(アナログ演算回路)などのディスクリート部品で構成した場合に比べ、当社比で部品点数を約90%、基板サイズを約75%それぞれ縮小することが可能です。

加えて、動作中にも回路構成の変更や特性の設定を行なえるため、周囲温度や電源電圧などの変化に対応可能なうえ、複数のセンサを新製品に接続し、センサに応じた回路構成や特性を動作中時分割で切り替えることもできるため、複数のアナログフロントエンド回路の機能を1チップで実現可能です。センサ入力端子も複数有しており、複数のセンサからの信号にスムーズに対応できます。

これらにより、センサシステムの小型化・低コスト化が図れます。

(3)トリミングの自動化、経時変化補正による長寿命化が可能

センサ搭載製品を製造する際、センサの特性ばらつき吸収を目的としたトリミングを手作業で行なうのが一般的ですが、「Smart Analog IC」は、マイコンがソフトウェアにより様々な状況に応じて判断し、アナログ回路の構成変更や特性設定を行なえるため、製造段階でのトリミングの自動化が可能となり、製造コストの低減が図れます。また、出荷後のセンサの経時変化に対する補正による長寿命化が可能となるなど、センサ搭載製品の高価値化を図ることができます。

なお、「Smart Analog IC」では、システムの様々なニーズに対応すべく、次の3品種を揃えています。

i)回路構成可変タイプ

  1. 「回路構成可変型」:回路構成と特性を変更できるセンサ信号増幅回路に加え、ノイズを除去するフィルタ回路を内蔵
    (微弱な信号の増幅に適した計装アンプ方式、反転方式、差動方式等のアンプ回路構成に変更可能)

ii)回路構成固定タイプ

  1. 「汎用計装アンプ型」:微弱な信号の増幅に適した計装アンプ方式の回路構成で、特性変更のみ可能
  2. 「高速計装アンプ型」:「汎用計装アンプ型」の高速版

 「Smart Analog IC」を制御するマイコンを含めたソフトウェア開発環境としては、ルネサス新統合開発環境「CubeSuite+」とオンチップデバックエミュレータ「E1」を揃えており、GUIツールと合わせ容易にシステム制御等のプログラムを開発できます。

 「Smart Analog IC」は今後、さらに対応できるセンサ種類の拡充を行うと共に、低電圧、低消費、高機能、高耐圧化や、当社マイコンとの一体化を含めた製品の開発を進め、よりユーザのニーズに合った製品をタイムリーに展開してまいります。

新製品の仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注1) 開発期間、開発費を削除:アナログ回路の仕様決定後、回路設計からマスク設計を経てサンプル製品を開発するまでの期間の短縮と開発費の削減が可能。

(注2) マイコン制御によりセンサの種類にあわせて回路変更、特性設定:「Smart Analog IC」内に搭載されるレジスタをマイコンがソフトウェア(プログラム)により命令を与え設定。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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