モバイル機器、特にウェアラブル機器の時代における電源システム設計は、かつてないほど複雑なものとなっています。 これらのデバイスのエンドユーザは、小型軽量化と同時にバッテリ寿命の延長を望んでいます。 これらの相反する目標、そしてコスト削減と回路基板の小型化の必要性は、電力システム設計者が直面する課題のほんの一部に過ぎません。 モバイル機器用電源システムの設計者が直面する課題を以下に示します。

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Flexible Power Islandsの例

こうした課題を克服するため、ルネサスは「Flexible Power Islands」(FPI)というコンセプトを開発しました。 FPIを使用することで、設計者は複雑な電源システムをいくつかのローカルな電力領域(またはアイランド)に分割することができ、各電力領域には、直近の負荷をサポートするために必要な電力制御、電力シーケンス処理、電力調整が含まれます。 この技術は、個々のシステムの要件に柔軟に対応できるより高性で、より効率的なソリューションをもたらします。

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GreenPAK Flexible Power Islands

場合によっては、FPIを使用することで、パワーマネージメントIC(PMIC)に含まれる機能を補強することができます。 この使用例では、FPIはローカルなポイント・オブ・ロード・レギュレーション、シーケンス処理、電力監視をサポートできます。 その結果、レイアウトがシンプルになり、エネルギー効率や熱効率も向上します。

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GreenPAK Flexible Power Islandsの使用例

小型でシンプルなシステム(最大6本の電源レール)の場合、FPIコンセプトは必要な電源システム機能のほとんどまたはすべてを提供することができます。 この場合、FPIは「μPMIC」の役割を果たすが、NREを必要とせず、より高いレベルの柔軟性とカスタマイズが可能という利点もあります。

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マイクロPMIC使用例としてのFlexible Power Island

SLG46580を使用すれば、電源監視、シーケンス処理、リセット、電源スイッチングなど、電源システムに必要な多くの機能を、すべて2.0mm x 3.0mm 20ピンの小型完全封止プラスチック・パッケージで実現できます。 ルネサスの使いやすいGUIベースのGreenPAKDesigner™とGreenPAK開発用ハードウエアを使用することで、設計者は素早く簡単にデバイスの独自のコンフィギュレーションを実装し、独自の電力要件に合わせて機能をカスタマイズすることができます。

SLG46580には4つのLDOがあり、それぞれの最大出力電流は150mAです。 各LDOの出力電圧はプログラマブルで、0.9V~4.35Vの32段階の値のいずれかに設定可能でっす。また、スルー・レート選択と故障検出のためのオプションもプログラマブルとなっています。

FPIのコンセプトは、以下に示すように、さまざまなエンドユーザ市場に幅広く適用できます。

  • モバイル用途デバイス
  • ウェアラブル
  • コンピューティングとストレージ
  • 家電製品
  • スマートホーム
  • ネットワークと通信
  • 医療・産業

LDO搭載のGreenPAKの利点

高集積化

  • 電原システムで一般的に多く見られるコンポーネントを含む
    • 電力制御
    • 電源シーケンス処理
    • 電力監視
    • 電力調整

小型

  • 2.0×3.0STQFNパッケージで小面積基板に対応

トライモード150mA LDOレギュレータ

  • モード0:150mA出力、静止電流は60μA
  • モード1:100μA出力、静止電流は6μA
  • バイパスモード:ロードスイッチのように動作

GreenPAKコンフィギュラブル・マクロセルの柔軟性

  • アナログコンパレータ
  • 組み合わせ機能マクロセル
  • 非同期ステートマシン(ASM)
  • I2C スレーブプロトコルインターフェース

電源シーケンス処理に非同期ステートマシンを使う

非同期ステートマシン(ASM)マクロセルは、柔軟な電源シーケンスアーキテクチャの駆動に最適です。 グラフィック・ユーザ・インタフェース(GUI)ベースの開発ツールにより、ユーザは動作状態、状態間の許容遷移、各状態遷移を駆動する信号へのリンクを迅速に定義できます。 他のGreenPAKマクロセルを使用すると、時間ベースの状態遷移(遅延マクロセルを使用)や論理関数(ルックアップテーブルを使用)を簡単に実行できます。 以下に示すステートマシンの例は、6つの電源レールの電源シーケンス処理信号と、4つのLDOを順番にオンにする信号の両方を駆動するためにデモプロジェクトで使用されているものです。

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非同期ステートマシンの例

GreenPAKリソースによるLDOの制御

これらのデバイスに含まれるLDOにより、ユーザは動作中に出力の多くの側面を動的に制御できます。

出力電圧の制御: 各LDOは、ユーザが選択可能な2つの出力電圧をサポートします。 接続マトリックスからの内部信号があり、動作中に出力電圧を切り替えることができます。

消費電力の制御: 各LDOレギュレータは、MODE0(150mAのフル出力をサポートする標準的なアクティブ・モード)のほか、MODE1(静止電流消費を低減した最大100μA出力の低消費電力モード)でも動作可能です。

負荷スイッチ・モード: 各LDOにはユーザが選択可能なオプションがあり、レギュレータはレギュレーションを停止し、パワーMOSFETがパワースイッチとしてオンになり、VINに印加された電圧を直接VOUTに渡します。

I2C経由でLDOの動作を変更する: 上記のすべての制御機能は、I2Cコマンドを使用して変更することもできます。

ドキュメント

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