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Ruggero Leoncavallo
Staff Product Marketing Manager
掲載: 2021年5月22日

よりクリーンな未来に向けた自動車の大きな課題
CO2排出量削減要求は、世界の輸送機器メーカに内燃機関の効率向上はもちろんハイブリッド車や電気自動車などの代替パワートレインへの移行により、燃費向上とより低い排出基準への適合を強く求めています。
これらの新しいパワートレインは、自動車産業において電気モータの需要をさらに増加させています。特にトラクションモータやスタータ・ジェネレータは、従来の自動車にも搭載されている電動パワーステアリングや電動ポンプ、電動パーキングブレーキなどに加えて、需要が高まっています。

既存のセンシング技術とその限界
ロータ位置センサはクローズドループ制御でのモータ性能を向上させるために用いられます。ロータ位置センサを用いる事により、起動時を含めた全ての負荷条件で優れたトルク制御を可能にします。そして、ブレーキと保持状態での高精度な角度制御と、高速回転下でのより良い回転制御が行えます。これにより、モータの総合効率を改善し、ノイズと振動、自己発熱を削減します。
具体的には、これらの新しいセンサは、精度向上、小型化と軽量化、そしてトータルのBOMコスト削減のために用いられます。浮遊磁場耐性は複雑な電磁環境で使用されるセンサの信頼性を向上させるだけでなく、より良いモータ開発のもう一つの重要な要件です。もちろんモータポジションセンサは長寿命と耐久性を保障するだけでなく、高温多湿やほこりなどの過酷な環境で動作する必要が有ります。
最近の自動車産業では、ホール素子やxMR素子を利用した磁気式位置センサかレゾルバを使用しています。磁気式位置センサは多数の極対数を持つモータでの精度限界とシャフト端のアプリケーションでしか用いれないという問題に直面しています。レゾルバは、シャフト貫通配置で多数の極対数を持つモータアプリケーションをサポート出来ますが、大きく重い上に非常に高価です。

モータ回転制御の新時代
ルネサスはモータのシャフト端でもシャフト貫通でも高精度な位置測定を行える位置センサへの要求に応えIPS2550を開発しました。この画期的な新製品は0.2%フルスケールの精度で600krpmの最大電気回転数をサポート出来るサイン/コサイン出力インターフェイスを備えた高速モータ用位置センサです。センサは標準的な2層プリント基板でIPS2550と外付け受動部品およびモータシャフトに取り付けられる金属片のターゲットで構成されます。
IPS2550は渦電流測定原理に基づいており、3つのコイルセット (送信用1つと受信用2つ) を使用しています。
IPS2550位置センサは最大1/10の薄さと1/100の軽量化を実現し、レゾルバソリューションからBOMコストを大幅に削減します。IPS2550を用いた位置センサはセンシングコイルのセクタ数を極対数に合わせる事で、磁気式位置センサを用いる事の出来ない多数の極対数を持つモータに最先端のソリューションを提供できます。この革新的なアプローチは精度を向上し、重量、大きさ、システムの全体コストを削減する大きな技術の進歩です。

センシング素子設計の課題
IPS2550のような渦電流に基づくセンサの場合、センシング素子設計は良い精度特性を得るための重要なタスクです。ルネサスは位置センサ設計のためのツールを開発しました。さらにルネサスにはカスタマー・リファレンス・ボード・カタログ (CRB)と呼ばれる、異なる寸法と極対数の組み合わせの、容易にモータへ使用できる多数のセンサ設計例データベースが有ります。それらのリファレンスデザインは顧客が基板製造するためのガーバーファイルの形で提供可能です。

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こちらのページにて、ルネサスの誘導型位置センサ技術がお客様の設計にどのように役立つか、より詳しくご紹介しています。

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