~高集積ISL72814SEHにより、コマンドとテレメトリシステムのサイズ、重量、消費電力を大幅に低減~
2019年5月30日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、衛星コマンドおよびテレメトリシステムのサイズ、重量、消費電力を低減する、4ビットデコーダ内蔵の耐放射線パッケージ16チャネル カレントドライバの出荷を開始しました。ISL72814SEHは、デコーダ、入力レベルシフタ、および16のカレントドライバアレイを1つのモノリシックICに集積しています。本デバイスにより、人工衛星を開発するメーカは、中軌道(MEO)、静止軌道(GEO)、高軌道(HEO)、および深宇宙用のシステムに対して、性能を向上しつつ、サイズ、重量、消費電力を大幅に低減可能です。

 通信衛星のペイロード内には1,500個以上のRFスイッチがありますが、ISL72814SEHは16チャネルもの多チャンネル対応のため、使用個数の削減が可能です。ISL72814SEHは、これらのRFスイッチに、750ms(ミリ秒)で28V/500mAパルスを、指定したインターネットラジオ局やテレビチャンネルにルーティングすることが可能です。また、推進システムのスラスタのオン/オフ、軌道高度の変更、ソーラーパネルのチルト用モータの起動に使われるソレノイドとリレーを、50mA~600mAのラッチパルスを持つ12V~30Vを出力して制御します。ISL72814SEHは、1チャネル当たりのVCE(SAT)電力消費は低く、さらにレベルシフタを統合したことにより、いくつかの周辺部品を取り除くことが可能となり、内蔵クランプダイオードにより、誘導性負荷によるサージ発生時にも保護回路を外部に追加する必要がありません。

 ISL72814SEHは、ルネサス独自のシリコンオンインシュレータ(SOI)プロセスを利用して、重イオン環境下におけるシングルイベント効果(SEE)に対する堅牢性を実現。ドライバに内蔵されたデコーダは、FPGAの多用途I/Oと衛星のフライトコンピュータのマイクロプロセッサに直接インタフェースで接続できるため、1 Input 1 Outputドライバアレイを使用する場合と比較してピン数は劇的に少なくなります。ISL72814SEHの16チャネルのコレクタ接地オープンエミッタPNPドライバ出力は、それぞれ最大42V、700mAのパルスを生成可能です。本デバイスは、高線量(HDR)では100krad(Si)、低線量(LDR)では75krad(Si)までの線量に対してウェハ合格検査済みです。特性化試験では、最大86MeV*cm2/mgの線エネルギー付与(LET)で、シングルイベントラッチアップ(SEL)、シングルイベントバーンアウト(SEB)、シングルイベントトランジエント(SET)は認められませんでした。

 ルネサスのインダストリアルA&P事業部、事業部長のPhilip Chesleyは、次のように述べています。「ISL72814SEHは、衛星分野のお客様向けに究極の耐放射性を実現し、小型・軽量化、電力の低減を可能にします。当社のカレントドライバはバス上に必要な回路を大幅に削減するため、お客様はより多くの機能と処理能力を次世代の衛星に追加できるようになります。」

ISL72814SEH 16チャネル ドライバサーキットの主な特徴

  • 4ビット・16チャネル デコーダ、および入力レベルシフタ内蔵
  • 高電流出力最大700mA
  • 高電圧出力最大42V
  • VCC供給範囲3V~13.2V
  • 500mAで1.35Vの超低VCE飽和電圧
  • 広い稼働温度範囲-55°C~+125°C

 ISL72814SEHは、卓越した耐放射線性能を持つ衛星コマンドおよびテレメトリ信号処理ソリューションを実現するため、ISL71590SEH温度センサ、ISL70591SEH精密電流源、ISL71840SEH 30V 16チャネル マルチプレクサ、ISL70517SEH 36V差動入力アンプ、ISL70419SEH精密オペアンプ、ISL71090SEH12精密基準電圧源、ISL72026BSEH CANトランシーバなどのICと組み合わせてご使用いただけます。

供給

 ISL72814SEH放射性硬化16チャネル カレントドライバは、28リード セラミックフラットパックパッケージで販売中です。デバイスの機能とパフォーマンスを評価する評価用ボードもお求めいただけます。詳細はwww.renesas.com/products/ISL72814SEH をご覧ください。

(製品ブランドについて)
ルネサスはブランド方針として、インターシル統合後も軍事・航空分野向けの製品は、引き続きインターシルブランドとして販売いたします。

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする