~USBハブを内蔵するドッキングステーション、モニター、家電製品などの省電力化、省スペース化に貢献~
2012年9月10日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、パソコン周辺機器やデジタルテレビなどの電気・電子機器が複数のUSB3.0対応周辺機器と接続を行う際に使用される集線 装置(Hub:ハブ)向けに、USB3.0対応ハブ・コントローラLSI「μPD720210」を製品化し、本年10月より量産出荷を開始いたします。

 新製品は、(1)ハブで重要なホストとの互換性に対し、主要PCベンダーに採用され業界標準と なっている当社製USB3.0対応ホスト・コントローラLSIとの高い接続互換性を実現。ホストの高速性を十分活かしたデータ転送が可能です。加えて新製 品は、Microsoft社よりWindows8ハードウェア認定を受けており、接続互換性および製品自体の高い完成度を有しております。そして、(2) パソコン周辺機器やデジタルテレビなどの待機時に設定される省電力モード時には約5mW(ミリワット)、USB3.0動作時でも約350mWと、いずれも 業界最小クラスの低消費電力動作を可能とし、(3)USB3.0対応ハブ・コントローラLSIとして業界最小クラスの小型QFN(Quad Flat No-Lead)パッケージを実現。さらに、降圧の為のレギュレータ等の周辺部品を内蔵しており、システムの部品点数削減と総実装面積の低減が可能となる ため、ハブのボードコスト低減や省スペース化に貢献できる、といった特長を有しております。

 このため、モニターやドッキングステーション(ノートパソコンに接 続する機能拡張ユニット)、デジタルテレビなどに、USB3.0の高速データを転送可能な接続口(ポート)を容易かつ安価に増設できます。また環境に配慮 し、各国の環境規制を意識して機器のスタンバイ時および未使用時における新製品の消費電力を大幅に削減しております。さらに新製品には、認証を受けた Microsoft社製OSのビルトインドライバを使用できることは言うまでもなく、すでに市場実績のある当社製のWindows用ホストコントローラド ライバスタックやLinuxでサポートされたデバイスドライバを無償で活用することも可能です。

 新製品は、2012年10月から量産を開始し、2013年4月より月産100万個を生産する予定です。

背景

 USBは現在世界中に幅広く普及しており、近年、映像コンテンツや記録メディアの大容量化に伴い、インタフェースに対する高速化へのニーズが高まった結果、従来の480メガビット/秒という転送速度を10倍に高速化したUSB3.0が規格化されています。そして最近では、ハードディスクよりも高速に読み書き可能なSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の登場や、高速データを扱う機器に搭載可能なUSB3.0対応ホスト・コントローラLSI内蔵チップセットの登場により、パソコンの他にもデジタル家電等でUSB3.0が普及しつつあります。

 このような状況の下、ホスト機器に接続するUSB3.0対応周辺機器の増加に対応するため、ハブとよばれる集線装置を搭載して、各周辺機器へのデータ転送処理を高速化できるよう、ホストと接続されるドッキングステーション、モニター、デジタルテレビ等へのハブ搭載のニーズが高まっています。このため、ハブには、待機電力の低減、小型基板への搭載が求められており、そこに使用するUSB3.0対応ハブ・コントローラLSIに要求されるパッケージの小型化や周辺部品内蔵に伴う省スペース化などのニーズに応えるべく、今回「μPD720210」を開発したものです。

特長

 新製品の主な特長は次の通りです。

(1) 高い接続互換性を確保

当社ではハブ・コントローラLSIとして、既にUSB2.0規格に準拠した「μPD720114」を販売し、好評を得ており、その10年以上の実績により蓄積された接続性と省電力のノウハウをベースに、当社USB3.0対応ホスト・コントローラLSI「μPD72020x」シリーズで培ったUSB3.0技術を結実させ、新製品において 「μPD72020x」と高い接続互換性を実現しました。これにより、ホストの高速性を十分活かしたデータ転送が可能な高性能と高信頼性を実現しております。その高性能と高信頼性から、新製品にはMicrosoft社より、Windows8ハードウェア認定が与えられています。また、USB関連の仕様策定団体である「USBインプリメンターズ・フォーラム(以下USB-IF)」の認証に関しましても、USB-IFでの公式なUSB3.0ハブ認証開始後、速やかに認証がとれるよう、準備を行っております。

(2) 業界トップクラスの低消費電力化を実現

当社従来品で実現した"周辺機器が未接続な状態におけて電力を低減する技術"に加え、今回は周辺機器の省電力モード時に新製品のリーク電流を徹底的に抑制できるように回路を改良。これにより、省電力モード時の新製品の消費電力は約5mWと、国際的省エネルギー制度である「国際エネルギースター(ENERGY STAR)」など機器向けの厳しい省電力規格準拠に貢献します。さらに、USB3.0動作時でも約350mWと、業界最小クラスの低消費電力を実現しています。

(3) USB対応のオーディオシステムに必要な機能を1チップに集積

新製品は、9mm×9mmの小型QFN(Quad Flat No-Lead)パッケージ採用により実装面積を低減。 これにより、業界最小クラスのパッケージサイズ実現に加え、周辺部品の"5V電源を新製品に必要な3.3V及び1.05Vに降圧するレギュレータやバッテリーチャージ規格に対応した充電サポート機能などの部品"を新たに内蔵したことにより、必要周辺部品を含めた総実装面積においても業界最小クラスを実現。これにより、機器の省スペース化に貢献します。

 加えて、これらの特長をもつ新製品の採用により、従来電力や実装面積の制限で不可能だったモバイル用ドッキングステーションの実現、また、従来高価であったUSBユニバーサルチャージング機能を追加コストなしに実現することが可能となります。

 新製品のサンプル価格は300円/個となっております。

 ルネサスは、新製品が省電力で小型のハブシステムの実現に貢献することにより、パソコンやデジタル家電のデータ転送処理の高速化が図れるため、本製品の積極的な拡販活動を推進してきます。また、それ以外の通信機器やOA機器などにおいても、今後データ転送量が増えることにより通信速度を要求されると考え、今後もUSB3.0を重要技術として積極的な製品展開を計画しております。

 新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

 なお、当社は、本年9月11日から9月13日まで、米国サンフランシスコ市で開催される「Intel Developer Forum」にて、新製品の展示・実演を行います。

以 上

*Windows は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。Linux は、Linus Torvalds 氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。ENERGY STARは米国政府が所有する登録マークです。Intel、インテルは、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporationの商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

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