~Cコンパイラがマイコンの処理性能を3倍高速化し、低消費電力化にも貢献~
2015年4月16日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)はこのたび、家電から産業、自動車分野に幅広く使用されている16ビットマイコン「RL78ファミリ」向けの開発環境として、Cコンパイラ(注1)「CC-RL」を開発し、4月20日より販売を開始します。

 今回の開発環境を使用すれば、(1)マイコンの処理性能を3倍(注2)に 高速処理できるため「RL78ファミリ」を使用したままシステムの高性能化を実現可能です。また、(2)処理性能を向上させたことによりマイコンの動作時 間が短縮できるので低消費電力化を実現し、バッテリ駆動機器を長時間駆動させることが可能になります。さらに、(3)自動車分野の「機能安全」への対応を 強化するため、コンパイル時に自動的にMISRA-C(注3)に沿ったプログラムであるかどうかのチェックをする機能を搭載しました。これにより、チェック漏れや対象ファイルの指定ミスを防ぐことができるので、システムの安全性向上に貢献します。

 昨今、家電や産業機器等のモータを搭載したシステムでは、多機能化 や高性能化が進んでおり、マイコンの高速処理が求められております。一方、ヘルスケア機器や火災検知器など、バッテリで駆動するシステムでは長時間の駆動 が求められるため、マイコンの低消費電力化の要求が高まっています。こうした高性能化と低消費電力化という両方のニーズに応えるため、「RL78」の低消 費電力性能を活かし、さらなる高性能化を実現する「CC-RL」を開発しました。

 この新製品は、当社の統合開発環境「CS+」に加え、グローバルで普及が進むEclipseベースの統合開発環境「e2 studio」と組み合わせて使用できるので、「CS+」や「e2 studio」を使用していたユーザ、およびEclipseベースの統合開発環境を使用していたユーザは採用が容易です。

 このたび開発したCコンパイラ「CC-RL」の特長の詳細は、以下のとおりです。

(1) 最新の最適化技術でマイコンの処理性能を3倍(注2)に高速化

 「CC-RL」の最大の特長はマイコンの処理性能の向上です。ANSI-C(注4)準拠で記載されたプログラムを変更することなく、マイコンの処理性能を当社従来コンパイラ比で3倍(注2)に向上します。さらに、システムで重要となる割り込み応答性能も6倍(注2)に向上します。これらの高速化によりシステムの高性能化に大きく貢献します。また、「CC-RL」は従来のコンパイラからのプログラムを移植する「移行支援機能」を搭載しているので、従来のソフトウェア資産を有効に活用できます。

(2) マイコンの消費電力を削減し、プログラムのコードサイズも1割(注2)削減

 「CC-RL」は、処理性能を大幅に向上させたことにより、システムの低消費電力化にも貢献します。多くのシステムは、アプリケーションが動作する通常状態と、ほぼ電力を消費しない待機状態を繰り返しています。上記(1)の高速化により、従来よりも通常状態の時間は短くなり、待機状態の時間は長くなるため、マイコンの消費電力を削減できます。また、「CC-RL」は、従来コンパイラ比でプログラムのコードサイズを1割(注2)削減しました。これにより、プログラムを格納するメモリ内に、より多くの機能を搭載できるので、システムの付加価値向上に貢献します。

(3) MISRA-Cガイドラインのチェック機能を搭載

 「CC-RL」は、MISRA-C:2004ガイドラインの項目をチェックする機能を搭載。コ ンパイル時に自動的にチェックが行われるため、チェック漏れや対象ファイルの指定ミスを防ぎ、ガイドラインに反する記述を漏れなく修正できます。これにより、システムの安全性の向上に貢献します。なお、「CC-RL」にはStandard版とProfessional版がありますが、MISRA-Cチェッ ク機能はProfessional版のみに搭載する機能です。

今後もルネサスは、お客様の開発作業の効率化だけでなく、システムの高性能化や信頼性向上など、システムの高付加価値化に貢献するマイコン用開発環境を順次リリースしてまいります。

RL78ファミリの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/software-tools/tools/compiler-assembler/compiler-package-for-rl78-family.htmlをご覧ください。

以 上

(注1)コンパイラとは、C言語等で書かれたプログラムをCPUが理解できるコードに変換するソフトウェアのこと。

(注2)「RL78」用の当社製従来コンパイラとの比較。当社保有のアプリケーションプログラムでの平均値。

(注3)MISRA-C:Motor Industry Software Reliability Associationが策定した自動車に搭載するC言語ソフトウェア向けのガイドライン

(注4)ANSI-C:American National Standard for Information Systems -Programming Language-Cの略。標準的なC言語の規格。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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