~エンドポイントのシステム向けにフラッシュ機能の強化とHMIインタフェースを追加~
2017年11月13日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、産業用オートメーション、ビルディング・オートメーション、スマートメータなどのIoT(Internet of Things)機器への先進的なセキュリティ・ニーズに対応するため、市場で定評のある32ビット・マイクロコントローラ(以下、マイコン) 「RX65N/RX651」グループのラインアップを拡充し、本日よりサンプル出荷を開始いたします。

 新製品は、産業用制御システムとネットワーク制御システム向けにセキュリティ機能を強化しており、(1) Trusted Secure IPおよびプロテクション機能付加により信頼性を高めたフラッシュ機能を内蔵し、先進的なセキュリティを実現、(2) ネットワーク・コネクティビティの実現とHuman Machine Interface(HMI)機能の搭載により優れたユーザビリティを提供可能、などの特長を有しています。

 またルネサスは、新製品のサンプル出荷と同時に、ユーザのソフトウェア開発負荷を軽減するために、評価キット「Envision Kit」やスタータキット「RX65N Renesas Starter Kit (RSK)」も発売します。

 ルネサスのハイエンドMCU事業部シニア・ディレクタであるティム・バージェスは次のように述べています。「産業用市場では高性能と高品質に加え、特にセキュリティ、信頼性、コネクティビティがシステム設計者にとって重要な採用基準になっています。新製品は、拡大するネットワーク接続環境下のエンドポイントに必要なセキュリティとコネクティビティ機能を強化しており、産業用システム・メーカに、産業用システムの動作に必要な高い信頼性、電力効率、コネクティビティを提供します。」

 近年、産業用IoT(IIoT)のエンドポイントで動作するシステムの増加により、ファームウェアのアップデートにおけるセキュアなネットワーク・コネクティビティと信頼性確保に対するニーズが高まっています。新製品は暗号アルゴリズム試験「Cryptographic Algorithm Validation Program (CAVP)」の認証を取得したTrusted Secure IPフラッシュのプロテクト機能など先進的な技術を用い、進化したセキュリティとファームウェアの書き換えに対するニーズをサポートし、市場において他を凌駕するセキュアで安定したソリューションの構築に貢献します。これらのセキュリティ機能の進歩は、セキュアなネットワーク通信を通じて現場でのシームレスなフラッシュのファームウェアアップデートを可能にします。

 新しいRX65N/RX651の主な特長は、以下の通りです。

(1) Trusted Secure IPの内蔵により先進的なセキュリティを実現

 新製品は高性能なCPUであるRXv2コアと40nmプロセスをベースとしており、CPU動作に関して4.55 Core Mark/MHzの高い電力効率を提供する。新しくラインアップに追加されたマイコンにTrusted Secure IPを内蔵したことにより、制御用システムの開発者は以下の3つの新機能を組み合わせ、デバイス動作に対して高い「ルートオブトラスト(信頼の起点)」レベルを実現できる。

  • Trusted Secure IPによる暗号化鍵の保護
  • Trusted Secure IPによるAES、3DES、SHA、TRNGなどの暗号ハードウェア・アクセラレータ処理
  • フラッシュのエリアプロテクションによるブートコード保護

 Trusted Secure IPはCAVP認証済みのため、ユーザはセキュリティ・レベルの高いデバイスの使用が可能。

(2) ネットワーク・コネクティビティの実現とIIoT向けに最適化されたHMI機能の搭載により優れたユーザビリティを提供可能

 新製品は、高機能なグラフィックス機能、TFTコントローラおよび2Dグラフィック・アクセラレータの搭載によるHMI機能をサポートしているため、以下のニーズに対応する。

  • 工場の内外から機械の動作状態を監視
  • 生産指示の変更のためにデータを交換
  • 機器設定更新のためにマイコンの内蔵メモリの書換え

 IoT機器や制御用システムには、低コストHMIによる機器の挙動のモニタ表示を可能にするため、小型の薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイの組み込みが求められている。新製品は高機能なグラフィックス機能と、アプリケーション実行のためのTFTコントローラおよび2Dグラフィック・アクセラレータを搭載しており、TFTディスプレイの制御を可能にする。また、IIoT向けに最適化されたネットワーク・コネクティビティにより、ディスプレイでファームウェアのアップデートを操作することもできる。さらにWQVGAディスプレイ・サイズを選択した場合、640KB(キロバイト)の内蔵RAMをディスプレイ・フレーム・バッファとして使用し、外付けRAMを削減することで、BOM(Bills of Materials)コストを削減することができる。

(3) 現場でのシームレスなファームウェアアップデートが可能

 産業用IoT機器は他のIoT機器に比べ、長期間の動作向けに設計されており、現場でのファームウェアアップデートなどの業界特有で時に技術的課題の大きい要件への対応が求められている。新製品はバックグラウンドオペレーション(BGO)とSWAP機能をサポートするデュアルバンクフラッシュに対応しており、システム制御機器メーカとネットワーク制御機器メーカによるセキュアで信頼性の高い市場でのファームウェアアップデートの実現を容易にする。

(4) Firmware Integration Technology(FIT)によりソフトウェア資産の流用が可能

 FITはRXファミリ間における周辺機能モジュールのドライバのポータビリティ性向上を重視する。この技術により、従来のRXファミリ向けに開発されたソフトウェア資産の流用が容易になるため、新製品の採用による新たなソフトウェア開発の負担を軽減する。FITは、マイコン、クロック、ボード設定などの共通初期設定部分を制御するBoard Support Package(BSP)の上で動作する、RXファミリの周辺機能ドライバとミドルウェア用の共通アプリケーション・プログラム・インタフェースを提供する。FITはRXファミリに対応しており、開発環境にも統合されている。

(5) RXファミリエコシステムの拡張により、開発負荷を軽減

 ルネサスはRXファミリの開発環境を拡張し、ソフトウェア開発者の開発負荷を軽減するため、評価キットのEnvision Kitおよびスタータキットを提供する。Envision Kitは、エンジニアが容易にマイコンの性能ベンチマークを行ったり、独自ソフトウェアの開発を行える評価環境を提供する。またRX65N Renesas Starter Kit (RSK)にはマイコン、ディスプレイ、オンチップ・デバッガ、評価版Renesas 製Cコンパイラ、統合開発環境(IDE)を備えた開発ボードが含まれており、迅速な評価と開発が可能になる。

 特にRXファミリのユーザに対しては、ディスプレイシステムの設計を容易にするGUI(Graphical User Interface)ツールなど、エコシステムが提供するパートナ製ツールも用意されている。株式会社アイ・エル・シーアイティアクセス株式会社SEGGER Microcontroller GmbH & Co. KGなどのアライアンス・パートナーとそのGUIパッケージは、RX651/RX65N関連のサポートをユーザに提供する。

 新製品の主な仕様は、 別紙(210KB)をご参照ください。

RX65N/RX651の製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx600/rx65n-651.htmlをご覧ください。

以 上

*  本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する登録商標または商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする