2010年9月14日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、市場の成長を上回るマイコン事業の拡大を目指すための新たな施策を策定いたしました。

 当社は、本年4月1日にNECエレクトロニクス株式会社と株式会社ルネサス テクノロジの経営統合により発足して以来、マイコン事業の方向性や製品ポートフォリオなどについてシナジー効果を最大限に発揮するよう検討を重ねてまいりましたが、このほど、(1)分野ごとに最適なマイコン製品の早期市場投入の実現とラインアップの拡充、(2)顧客ソフトウェアの開発効率向上を支援、(3)柔軟性の高いファブネットワークを構築、といった施策の遂行を本格的に開始してまいります。

 施策の詳細は以下の通りです。

(1) 分野ごとに最適なマイコン製品の早期市場投入の実現とラインアップの拡充

 マイコン製品に内蔵するタイマや通信機能といった周辺機能(IP:Intellectual Property)を、当社マイコンのCPUコア(「78K」、「R8C」、「RX」、「SH(SuperHTM)」、「V850」)いずれにも対応できるように共通化。さらに、CPUコア、周辺機能、内蔵メモリを組み合わせてマイコン製品を開発する製品開発基盤も統合(プラットフォーム化)し、製品開発期間を従来の約2/3に短縮。

 これらの取り組みの結果として、マイコン製品の特長を構成する周辺機能をCPUコア別にそれぞれ開発していた従来に比べ、製品開発リソースを効率化し、捻出したリソースでマイコンの品種展開を加速するとともに、市場ニーズにきめ細かく対応する製品をタイムリーに市場投入できる体制を構築する。

(2)顧客ソフトウェアの開発効率向上を支援

 当社マイコンの顧客に対し、ソフトウェア資産の有効活用や開発効率向上を支援するために、上記すべてのCPUコアに対応した開発ツールを提供。

 具体的には、エミュレータやフラッシュライタなどのハードウェア開発ツールは2010年12月から順次、上記すべてのCPUコアに対応した製品を提供する。また、統合開発環境およびコンパイラなどのソフトウェア開発ツールにおいては、2011年度から順次、上記すべてのマイコンに対して操作性を共通化して提供。

 これにより、顧客は上記のどのCPUを持つマイコンを選択しても同じ開発ツールによりストレスなくソフトウェア開発ができるほか、既存のソフトウェア資産を有効活用できるため、ソフトウェア開発の効率化が可能になる。

(3)柔軟性の高いファブネットワークを構築

 統合前の2社はマイコン製品にそれぞれ3世代のプロセス技術を開発・適用しておりましたが、ルネサスはプロセスを、高速・高性能と大容量フラッシュ搭載を主眼とする40ナノメートル(nm)および90nmプロセス、小・中規模容量フラッシュ搭載で低消費電力を目指す130nmプロセスの3種類に統合。

 さらに、プロセスを統合することにより、同じ製品を複数の工場で生産可能とするファブネットワークを構築。具体的には、40nmおよび90nmプロセスは那珂工場(茨城県ひたちなか市)とルネサス山形セミコンダクタ株式会社鶴岡工場(山形県鶴岡市)において、130nmプロセスについては西条工場(愛媛県西条市)とルネサス セミコンダクタ九州・山口株式会社熊本川尻工場(熊本県熊本市)において、同じ製品をどちらの工場でも生産可能(クロス生産)なファブネットワークを構築。これにより、需要変動への対応能力を強化するとともに、災害などの緊急時の製品の安定供給体制を実現する。

 また、40nmのプロセスを採用したマイコンの開発を加速させ、第一弾製品のサンプル出荷を2012年より開始する。

 またルネサスはミドルウェア、リアルタイムOS、ボード・ハードウェアの設計支援など世界中のパートナー企業700社と連携を図ってまいります。Webサイトやカタログを活用した情報提供活動により、当社顧客はソフトウェア開発に必要な開発ツールなどを幅広く選択できるため、システム構築を短納期かつ容易に実現できます。

 ルネサスは市場の成長を上回るマイコン事業の拡大を目指すために、「Global & Green」をコンセプトとして、Globalな事業成長を目指した地域別最適ソリューションの提供、および省エネ意識の高まりを背景に進展するエコ社会の実現へ貢献する低消費電力マイコンや各種ソリューションの提供を推進してまいります。

 中国を中心とする新興国に向けては各地域に適した製品拡充体制を構築するため、本年10月、中国の販売会社「瑞薩電子(中国)有限公司(総経理:鄭 力、本社:北京市)」におけるマイコン組織のマーケティング機能を強化します。現地社員をトップとする同組織の体制強化により中国市場に対するタイムリーな事業判断を可能にし、2012年までに中国向けに1,000製品の市場投入を計画することで、ルネサスは中国市場におけるマイコン製品の売上を拡大させてまいります。また、先進国に対しては、携帯電話のSIMカードやIDカードの分野で培われた高度なセキュリティ・ソリューションを応用した電気自動車のバッテリシステムのセキュリティ管理技術などの提案を行います。

 エコ社会の実現に向けては、アナログICやフォトカプラなどのアナログ&パワー半導体製品とマイコンを組み合わせたハイブリッドカー/電気自動車向けのキット販売、をはじめ、スマートビルディング向けソリューション、工場全体の効率化に貢献するスマートファクトリ向けソリューションを幅広く準備してまいります。

 これらの施策をもとに、ルネサスはマイコン事業について、2012年度には年平均成長率+8~10%の事業拡大を、また特に中国などの新興国を中心とした海外売上比率を現在の5割から6割へ拡大させることを目指します。

以 上

*SuperHは、ルネサス エレクトロニクス(株)の商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする