2021年2月8日

主な案件内容

  • 低電力およびコネクティビティ技術を得意とするアナログ・ミックスドシグナル企業のDialog社買収により、ルネサスは補完的に製品ラインアップを拡充し、IoT、産業、自動車分野での大規模かつ高成長市場におけるグローバルポジションを強化
  • ソリューション提供力を継続的に強化し、クロスセルや高成長市場にアクセスすることにより、約200百万米ドル(Non-GAAPベースの営業利益、約210億円)の売上増による統合効果を見込み、さらには業務効率化により、約125百万米ドル(Non-GAAPベースの営業利益の年間ランレート、約131億円)のコスト節減による統合効果を獲得する見込み
  • Dialog社の全株式(完全希薄化ベース)に対し、1株当たり67.50ユーロを現金で支払う予定であり、買収総額は約49億ユーロ(約6,157億円)に相当
  • ルネサスのNon-GAAPベースの売上高総利益率およびEBITDAが、2021年末までの本件買収完了後に増加する見込み

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下 ルネサス)とパワーマネジメント、チャージング、AC/DCコンバータ、Wi-Fi、Bluetooth® Low Energy(BLE)技術を提供する英国のアナログ半導体会社Dialog Semiconductor Plc(本社:英国レディング、CEO: Jalal Bagherli、以下 Dialog社)は、ルネサスがDialog社の発行済普通株式および発行予定普通株式を1株当たり67.50ユーロにてすべて取得すること(以下、本件買収)につき、合意しました。買収総額は、約49億ユーロ(約6,157億円)に相当します。

 Dialog社は、高集積かつ低電力のミックスドシグナル製品を中心としたアナログ半導体企業として、IoTや家電分野、また高成長市場である自動車や産業分野の幅広いお客様向けに、製品提供しています。特に、低電力のミックスドシグナル技術を強みとして、Dialog社はバッテリー&パワーマネジメント、パワーコンバージョン、コンフィギュラブル・ミックスドシグナル、LEDドライバ、カスタム・ミックスドシグナル(ASIC)および自動車向けパワーマネジメントIC(PMIC)、ワイヤレス充電技術など多岐にわたる製品群を有しています。また、BLE、WiFi、オーディオ向けSoCといった幅広く特色ある先進コネクティビティ技術も持ち、スマートホーム、ビルディングオートメーション、ウェアラブルデバイス、コネクテッド医療機器などの広範なアプリケーションに通信機能を提供しています。こうした製品・技術は、ルネサスの製品ポートフォリオを補完して拡充し、ルネサスは、高性能電子機器のパフォーマンスや電源効率をさらに向上させる網羅的なソリューションが提供できるようになります。

 本件買収にあたり、ルネサスの代表取締役社長兼CEOの柴田 英利は次のように述べています。
「本件買収は、ルネサスが事業戦略面および財務面で大きなメリットを享受し、事業・売上成長に向けて前進する上で、これまでのルネサスの買収案件に続く、次の重要な一歩となります。Dialog社はイノベーションを重んじる社風の下、お客様と優れた関係を構築し、IoT、産業、自動車分野の高成長市場に製品提供しています。Dialog社の優秀な人材や高度な知見がルネサスに加わることで、ルネサスとDialog社は、お客様に更なるイノベーションをもたらし、株主にも継続的に価値を提供してまいります。」

 Dialog社CEOのJalal Bagherliは次のように述べています。
「Dialog社は過去数年にわたり、多様性を追求する戦略を実行し、高成長を遂げてきました。高性能のアナログ製品や低電力ミックスドシグナル製品・技術の強力な基盤を築き上げ、製品ポートフォリオを拡大し、5G、ウェアラブルデバイス、自動車、スマートホーム、コネクテッドメディカル、インダストリアルIoTなどの市場に製品・技術を提供しています。こうした製品・技術基盤が、ルネサスの組み込みプロセッサやアナログ・パワー製品と統合することで、今後ますますコネクテッド化が進む今日の世界での成長機会を拡大します。Dialog社一同、ルネサスの一員に加わることを大変嬉しく感じています。統合後は、ルネサスの幅広いセールス、ディストリビューション、顧客サポート網の下、革新的な製品を提供できるポジションになると考えています。」
 

本件買収の目的

 本件買収は、ソリューション提供力を進化させるというルネサスの継続的で揺るぎないコミットメントを示すものです。本件買収により、ルネサスは、ルネサスのマイコンやSoCを中心とした自社製品と補完関係のある低電力やコネクティビティ技術を強みとするDialog社のアナログ半導体の技術資産を獲得して製品ポートフォリオを拡充し、IoT、産業、自動車分野の高成長市場向けに、さらに強力で網羅的なソリューションが提供できるようになります。具体的には、今回の戦略面および財務面での買収の狙いは、以下のとおりです。

  • Dialog社の低電力技術によりIoT分野での提供範囲・能力を拡大
    Dialog社は、低電力ミックスドシグナル製品の特色あるポートフォリオを持ち、世界最大級の半導体ユーザー顧客向けにカスタム品やお客様側での回路変更が可能となるコンフィギュラブルなソリューションを長年供給してきました。また、ルネサスが扱う製品と補完性の高い低電力のコネクティビティ製品についても、優れた技術を有しています。こうした低電力技術は、ルネサスの製品ポートフォリオを強化して提供範囲と能力を大きく広げ、IoT分野での高成長市場への対応を可能とします。
  • コネクティビティ技術でルネサスのシステムソリューションを差異化
    ルネサスは、本件買収により、Dialog社のお客様にアクセス可能となり、ルネサスの顧客基盤を広げるとともに、産業インフラ、IoT、自動車分野という高成長市場での事業成長機会を獲得します。Dialog社のBLE、低電力Wi-Fi、オーディオSoCは、マイコンやSoCを中心としたルネサスのソリューションを補完するものです。こうしたWi-FiやBluetooth無線技術・製品とルネサスの既存製品を組み合わせることで、ルネサスが提供するシステムソリューションは差異化され、スマートホーム、ビルディングオートメーション、医療機器などの非接触IoT分野の高成長市場に対応可能となります。また、コネクティビティ技術によってルネサスの自動車分野向けのソリューションも充実化し、安心・安全に関する幅広いアプリケーションに貢献します。
  • エンジニア陣および設計開発技術を拡充し、新製品の市場投入を効率化 
    過去の買収により、ルネサスは多様な人材を獲得してマネージメント力を強化し、ルネサスのグローバルオペレーションが加速することとなりました。本件買収はルネサスのこの取り組みの延長線上にあるもので、Dialog社のR&D部隊が加わることで低電力アナログ・ミックスドシグナルでのエンジニア陣および設計開発技術を拡充します。こうした技術の拡充やルネサスとは異なるDialog社の拠点配備により、ルネサスは、「ウィニング・コンビネーション」のラインアップを増やすとともに、世界中のお客様に対し、シームレスでボーダーレスな対応が可能となり、新製品の市場投入を効率化させます。
    具体的には、ルネサスは、2017年に米国のアナログ半導体企業Intersil Corporation(インターシル)を買収し、2019年には同じく米国のアナログ半導体企業Integrated Device Technology, Inc.(以下、IDT)の買収を完了しており、既存のマイコン/SoCとアナログ半導体製品を組み合わせたキットソリューションの拡充を進めています。IDT買収直後からは、アナログ+パワー+組み込みプロセッサ(マイコン/SoC)から成る「ウィニング・コンビネーション」を統合成果としてお客様に提供し始め、お客様の製品開発の容易化と市場投入の迅速化を促進してまいりました。ウィニング・コンビネーションは現在210品目以上に及び、産業、インフラ、自動車、民生分野などに幅広く提供しています。
  • 売上・利益の拡大とコスト節減
    ルネサスは、ソリューション提供力を継続的に強化し、クロスセルや高成長市場にアクセスすることにより、約200百万米ドル(Non-GAAPベースの営業利益、約210億円)の売上増による統合効果を見込み、さらには業務効率化により、約125百万米ドル(Non-GAAPベースの営業利益の年間ランレート、約131億円)のコスト節減による統合効果を獲得する見込みです。コスト節減による統合効果は、買収完了から概ね3年以内に実現し、売上増による統合効果は買収完了から概ね4~5年以内に実現すると見込んでいます。2020年9月25日までの12か月間におけるDialog社のNon-IFRSベースのEBITDA は約355億円であり、本件買収が同期間を通じて有効であった場合には、ルネサスのNon-GAAPベースの売上高総利益率は0.6%ポイント改善することとなります。

 

本件買収の方法および手続き

 ルネサスは、本件買収の条件に基づき、Dialog社の発行済普通株式および発行予定普通株式1株につき67.50ユーロの現金を支払う予定です。本対価は、本件買収発表日の1営業日前となる2021年2月5日時点のDialog社1株当たりの終値56.12ユーロに20.3%のプレミアムを付与したものです。買収資金については、主要取引銀行から新たに約7,354億円を借り入れることにより調達することを予定しています。ただし、ルネサスは、今後、新株発行を伴う資金調達を行う可能性があり、その実施時期等によっては、上記の借入の一部を実行せず、当該新株発行を伴う資金調達による手取金を本件買収の対価の支払いに充当する可能性があります。

 本件買収は、両社の取締役会にて全会一致で可決されており、2021年末までの買収完了を見込みます。本件買収は、英国法に基づくスキーム・オブ・アレンジメント(Scheme of Arrangement)により実施する予定です。スキーム・オブ・アレンジメントでは、裁判所の承認取得とともに、Dialog社が本発表から28日以内に同社の株主に本件買収の承認を取得する目的で必要書類を送付することが必要となります。Dialog社株主の承認と関係当事国において必要となる当局の承認の取得と一般的な買収手続きの完了を以って、本件買収は完了します。

 

本件買収のアドバイザーとリーガルカウンセル

 本件買収では、Nomura International Plcがルネサスのフィナンシャルアドバイザーを務めています。また、リーガルカウンセルはCovington & Burling LLPおよび長島・大野・常松法律事務所が務めています。Dialog社に対しては、J.P. MorganとQatalyst Partnersがフィナンシャルアドバイザーを務め、Linklaters LLPがリーガルカウンセルを担当しています。


(注)本発表資料での円換算値は、2021年2月3日時点の為替レート(1ドル105円、1ユーロ126円)を使用して計算しています。
 

 

<ルネサスについて>

ルネサス エレクトロニクス株式会社 (TSE: 6723)  は、人々が安心・安全に暮らせる社会を実現するために、あらゆるモノとモノをつなぎインテリジェント化することを通して、組み込み機器に進化をもたらしています。そして、コネクテッドワールドの実現に向け、自動車、産業、OA (Office Automation)・ICT (Information Communication Technology)分野に対して、幅広いポートフォリオのマイコンに加え、アナログ&パワーデバイス、SoCなどの各種半導体と幅広いソリューションを提供していきます。ルネサスの詳細は、renesas.comをご覧ください。

 

<Dialog社について>

Dialog Semiconductorは、パワーモバイルデバイス、コンシューマ、IoTやIndustry 4.0関連のアプリケーション向けに革新的な製品を提供しています。Dialog社のソリューションは、現在の主要なモバイルデバイスの一部機種に不可欠な存在であり、外出先でパフォーマンスと生産性を向上させることに貢献しています。Dialog社の数十年の経験とグローバルなイノベーションにより、スマートフォンの電力効率を高め、充電時間を短縮し、どこからでも家電製品を制御可能とし、さらに次世代のウェアラブルデバイスをインターネットに接続させるなど、顧客企業が実現したい新たな取り組みの手助けを行います。
Dialog社はファブレスとして事業運営しており、従業員、コミュニティ、その他ステークホルダー、環境に対するメリットを追求して社会的責任を全うする雇用主です。Dialog社はイギリスに本社を置き、グローバルなセールス、R&D、マーケティング組織を有しています。Dialog社は、2019年度(2019年12月期)には約14.2億USドルの売上と324百万USドルの営業利益を達成しました。現在は世界中に約2,300人の従業員がおり、フランクフルト市場に上場しています。
Dialog社の詳細はwww.dialog-semiconductor.com をご覧ください。

 

<留意事項>

この文書は、「ルネサスがDialog社を買収し、組み込みソリューションでのグローバルリーダーシップを強化」について一般に公表するための記者発表文であり、日本国内外を問わず、投資勧誘又はそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。また、この文書は、米国における証券の募集又は販売を構成するものではありません。米国内においては、1933年米国証券法に基づいて証券の登録を行うか又は登録義務からの適用除外を受ける場合を除き、証券の募集又は販売を行うことはできません。

<将来予測に関する注意事項>

本資料に記載されているルネサス エレクトロニクスグループの計画、戦略および業績見通しは、現時点で入手可能な情報に基づきルネサス エレクトロニクスグループが判断しており、潜在的なリスクや不確実性が含まれております。そのため、実際の業績等は、様々な要因により、これら見通し等とは大きく異なる結果となりうることをあらかじめご承知願います。実際の業績等に影響を与えうる重要な要因としては、(1)ルネサス エレクトロニクスグループの事業領域を取り巻く日本、北米、アジア、欧州等の経済情勢、(2)市場におけるルネサス エレクトロニクスのグループ製品、サービスに対する需要動向や競争激化による価格下落圧力、(3)激しい競争にさらされた市場においてルネサス エレクトロニクスグループが引き続き顧客に受け入れられる製品、サービスを供給し続けていくことができる能力、(4)為替レート(特に米ドルと円との為替レート)の変動等がありますが、これら以外にも様々な要因がありえます。また、世界経済の悪化、世界の金融情勢の悪化、国内外の株式市場の低迷等により、実際の業績等が当初の見通しと異なる結果となる可能性もあります。