~「RX24T」と1モータ用「RX23T」向け、各種モータ開発支援ツールの提供も開始~
2016年3月23日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、このたび産業機器、OA機器、白物家電に搭載される複数のモータを同時にインバータ制御可能な32ビットマイコン「RX24Tグループ」を6品種開発し、本日より順次、発売します。本製品はエアコン、洗濯機、食器洗い機などの白物家電製品、汎用インバータ、UPS(無停電電源装置)、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning: 冷暖房空調設備)などの産業機器、および複合機、プリンタなどのOA機器のブラシレスDCモータ制御に最適です。RX200シリーズのモータ制御用途向け第1弾製品である「RX23T」の演算能力、モータ制御周辺機能を強化し、ラインアップを拡充しました。量産は2016年3月より開始し、2017年7月には月産50万個となる計画で、サンプル価格は80ピン、128KBフラッシュメモリ品「R5F524T8ADFN」で400円/個(税別)です。さらに、1モータ用の「RX23T」と複数モータにも対応する「RX24T」に向けて、「24Vモータ制御評価キット」(注1)の提供を開始します。キットには評価ボード、ブラシレスDCモータ、センサレスベクトル制御ドライバソフト(注2)が付属しており、即時にモータ制御の評価ができます。

 新製品は、(1)1モータ制御向け「RX23T」からの上位互換として、演算性能、ピン数、ROM容量、モータ制御機能を約2倍に強化したラインアップを 拡充します。これによりユーザは、製品プラットフォームを幅広く展開できます。また、(2)1日でブラシレスDCモータのセンサレスベクトル制御の評価を 可能にするため、「24Vモータ制御評価キット」をはじめとするルネサス独自の各種モータ制御開発支援ツールを提供します。これにより、開発期間が短縮で きるため開発コストの低減を図ることができます。さらに、(3)モータ制御に必要な周辺回路(オペアンプ、コンパレータなど)を内蔵しているため、シャン ト電流増幅、過電流保護が実現でき、基板面積の縮小に貢献します。また、FPU機能(注3)を搭載しているためシンプルなソフトウェア構造となり、デバッグが容易で開発期間を約30%短縮でき、ソフトウェア不具合の発生も抑制可能です。

 近年、各国の省エネ規制に加えてモータの高効率化規制(注4)の 法整備が進み、高精度かつ高効率なインバータ制御の重要性が増しています。また、OA機器、小型家電などのステッピングモータ、ブラシ付DCモータからブ ラシレスDCモータへの採用が活発化しています。一方、こうした新規市場へ製品を早期投入したいが開発工数がない、モータ制御ノウハウがないという課題が 多く見られます。加えて、各種機器の小型化が進み、基板設置スペースが縮小され複数の制御基板を統合するために部品点数の削減が大きな課題になっています。

 このような省エネルギー化、制御の高精度化、基板面積の縮小、開発期間の短縮といった要求に対して、ルネサスは、複数のモータを1チップで制御可能となる 高速、高機能な32ビットマイコン「RX24T」を今回開発しました。新製品のラインアップは、端子数が80~100ピン、内蔵フラッシュメモリサイズが 128~256KB(キロバイト)の計6品種です。

 「RX24Tグループ」の特長は以下のとおりです。

(1)複数モータ制御用「RX24T」のラインアップにより、ユーザ製品の幅広いプラットフォーム展開が可能

 高効率モータの世界的な法制化とあわせ、モータ制御によりいっそうの効率化が求められているため、「RX24T」は、1モータ制御用途向け「RX23T」 をベースに、CPU性能を40MHzから80MHzに、ROM容量は128KBから256KBに、そしてピン数とモータ制御周辺機能(タイマ、A/Dコン バータ、アナログ回路)を約2倍に増強したことにより、複数のブラシレスDCモータを1チップで制御可能。さらに、「RX23T」の上位製品としてコンパ チビリティを確保しており、ハードウェア、ソフトウェアの資産を継承することができるため、ユーザは幅広い製品プラットフォーム展開が可能。

(2)ルネサス独自の各種モータ制御開発支援ツールにより、1日でセンサレスベクトル制御の評価まで可能

 急成長する市場へ新製品を投入するためにアプリケーション開発の短縮、ノウハウが求められているため、「RX24T」ではルネサスが独自に開発した「24Vモータ制御評価キット」(注1)を準備。キットには評価ボード、ブラシレスDCモータ、センサレスベクトル制御ドライバソフト(注2)が 付属しており、入手して即時にモータ制御の評価ができるため、初期投資を抑えて開発をスタートすることが可能。さらに、開発工数を短縮する必須ツール 「RAM変数波形表示ツールICS(In-Circuit Scope)」 を活用することにより安全にデバッグでき、評価時間を大幅に短縮可能。また、「RX24T」に対応する開発評価ツールとして、統合開発環境「CS+」、 「e2 studio」、コード生成支援ツール、Cコンパイラ、デバッガ、フラッシュ書き込みツールに加え、初期導入に必要な開発環境として、「RX24T」を実装したリファレンスボードとマイコンの評価環境がセットになった「RX24Tスタータキット」(注5)を提供。

(3)周辺部品削減により基板面積を縮小可能、またFPU機能搭載でソフトウェアの不具合を抑制

 アプリケーションの小型化が進み基板実装面積が非常に小さくなってきており、マイコンへの外付け回路部品の取り込み要求が強いため、「RX24T」は、3 シャント電流、1シャント電流などを同時に4ch増幅可能なオペアンプと、増幅した電流をそのまま過電流検出が可能なコンパレータ、3シャント電流などを 同時に最大5チャネル取得可能なサンプル&ホールド回路、ログや設定ファイル用EEPROMなどのインバータ制御システムに必要な外付け回路をマ イコンに内蔵しており、基板実装面積を縮小することが可能。また、モータ制御のソフトウェアは過去からの資産を継承しているケースが多いため、構造が複雑 でデバッグが難しくソフトウェア不具合の温床となりやすい。これに対し、本製品ではFPU機能を搭載しているため、従来の固定小数点演算時に必須である小 数部の桁合わせが不要となり、シンプルなソフトウェア構造で開発可能。その結果、デバッグなどが容易となり、開発期間を約30%短縮でき、ソフトウェア不 具合の発生率も抑制可能。

 ルネサスは、新製品「RX24T」によって、産業、OA、家電分野におけるインバータ制御の拡大を推進し、今後も省エネ化に貢献してまいります。

新製品の主な仕様は別紙(129KB)をご参照ください。

RX24Tの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/promotions/products-solutions/rx24t.htmlをご覧ください。

以 上

(注1)「Renesas Solution Starter Kit -24V Motor Control Evaluation System for RX23T- (Motor RSSK for RX23T)」は、24Vインバータボード、RX23T搭載CPUカード、ブラシレスDCモータが一式となり、入手して即時にルネサスマイコンにてモータ制御が可能な開発ツールキット。RX24T搭載のCPUカードは別売

(注2)モータ制御ソフトウェアやRAM変数波形表示ツールICS(In-Circuit Scope)、その他ツール類などはWebよりダウンロード可能

(注3)FPU(浮動小数点演算ユニット)とは、浮動小数点演算を専門に行う機能ユニット

(注4)モータの効率クラスは、国際規格 IEC(国際電気標準会議)の IEC 60034-30 で規定しており、高い効率から IE3(プレミアム効率)、IE2(高効率)及び IE1(標準効率)の効率クラスがある

(注5)Renesas Starter Kits(RSK)は低価格の開発ツールキット。ルネサスマイコン評価のためのユーザフレンドリな開発環境を提供し、付属のエミュレータおよび統合開発環境を使用して、コーディングやデバッグが可能

*新製品は Silicon Storage Technology, Inc.からライセンスを受けた SuperFlash® を使用しています。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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